【浄化槽設備士とは？】仕事内容・試験難易度・資格取得のメリットを徹底解説！

環境問題への関心が高まる中で、浄化槽設備士の需要が増加しています。浄化槽設備士とはどのような資格で、どんな業務内容なのか疑問に思う方も多いです。

浄化槽設備士は、浄化槽設置工事で現場監督や管理を担う国家資格者です。この記事では、浄化槽設備士の仕事内容や役割、試験の詳細、資格取得後について解説します。

資格取得に向けた準備や将来の展望についても、具体的なイメージを持てます。

記事を読むことで解決できる疑問は、以下のとおりです。

浄化槽設備士とは？現場監督や管理を行う国家資格者

浄化槽設備士については、以下を参考にしてください。

仕事内容と役割

浄化槽設備士は、浄化槽設置工事の際に現場監督や管理を行う国家資格者です。仕事内容は以下を参考にしてください。

施工図面の作成

工事に必要な図面を自ら作成するか、外部業者に依頼します。作成された図面を確認し、施工概要を現場作業者に指示します。適切な図面の検証と施工方法の検討が重要です。浄化槽工事が適切でないと汚水漏出のリスクがあります。

施工内容の管理

浄化槽施工には浄化槽設備士の立ち会いが必要です。作業者の管理に加え、施工記録として浄化槽本体の写真撮影も行います。施工管理の不備は重大な欠陥につながるため、慎重な対応が必要です。

作業工程の調整

作業の開始・終了時期を計画し、スケジュール通りに進めるための管理を行います。業者との工事金額の調整や支払いも担当し、適切な施工方法とコストのバランスを考慮して進行します。

浄化槽設備士の役割は、設置工事において、図面の作成や現場の監督、管理を円滑に行い、適切な工事を進めることです。

浄化槽設備士と浄化槽管理士の違い

浄化槽設備士と浄化槽管理士は、いずれも浄化槽に関連する国家資格ですが、役割は異なります。浄化槽管理士は、浄化槽の保守点検を専門とし、定期的なメンテナンスを行うことが主な仕事です。

» 浄化槽管理士について

浄化槽設備士は、浄化槽の設置工事において現場監督を務め、施工計画や管理を担当することが役割です。浄化槽の維持管理と設置において、それぞれの資格が異なる側面を担っています。

資格	役割
浄化槽設備士	浄化槽の設置工事における監督、指導、施工図面の作成
浄化槽管理士	浄化槽の保守点検とメンテナンス業務

浄化槽設備士になる方法

浄化槽設備士になる方法は、以下のとおりです。

試験を受けて資格を取得する

試験は学科試験と実地試験で構成されており、各試験の合格基準を満たすことで資格を取得できます。

講習を受講する(指定の資格を有している場合)

浄化槽設備士講習は、日本環境設備センターが実施し、5日間(合計37時間)のカリキュラムで構成されています。
受講には、1級または2級の管工事施工管理技士の資格が必要です。

講習内容の範囲や時間割は、以下のとおりです。

上記の科目を学習後、最終日に試験が行われ35問中60％以上の正解が合格ラインとなります。

浄化槽設備士試験の詳細

浄化槽設備士試験の詳細は、以下のとおりです。

試験の形式と科目

試験は学科試験と実地試験で構成されており、学科試験は180分、実地試験は60分です。どちらもマークシート方式で解答します。学科試験の科目は以下のとおりです。

学科試験科目	詳細
機械工学・衛生工学等	浄化槽工事に必要な機械工学や衛生工学に関する知識
汚水処理法等	汚水処理方法や浄化槽の構造と機能に関する知識
施工管理法	浄化槽工事の施工計画、工程管理、品質管理、安全管理
法規	浄化槽に関連する法令に関する知識

実地試験では、施工管理法や設計図書の理解、浄化槽の施工図面の作成、必要な機材の選定と配置能力が求められます。浄化槽設備士試験は、専門的な知識と技術が問われ、合格には浄化槽設置工事を適切に監督できる能力が必要です。

» 令和3年設備士試験合格発表(外部サイト)

受験資格

浄化槽設備士の受験資格は、実務経験年数や保有資格により申請区分が変わります。

申請区分については、以下のとおりです。

大学卒業者

指定学科を卒業後、1年以上の実務経験が必要。指定学科以外の場合は、1年6か月以上の実務経験が必要です。

短期大学・高等専門学校卒業者

指定学科を卒業後、2年以上の実務経験が必要。指定学科以外の場合は、3年以上の実務経験が必要です。

高等学校卒業者

指定学科を卒業後、3年以上の実務経験が必要。指定学科以外の場合は、4年6か月以上の実務経験が必要です。

その他

学歴に関係なく、8年以上の実務経験が必要。

保有資格による区分1

建築法にもとづく1級または2級管工事施工管理技術検定に合格した者。技術検定に合格した者とは、第二次検定合格者(管工事管理技士)を指します。第一次検定合格者(管工事施工管理技士補)は含まれません。

保有資格による区分2

職業能力開発促進法(旧職業訓練法)にもとづく技能検定のうち、1級または2級配管(建築配管作業)に合格した者。平成16年度以降に2級配管(建築配管作業)に合格した者は、同種目に関して4年以上の実績が必要です。改正前の職業訓練法施工令による「空気調和設備配管」「給排水衛生設備配管」または「配管工」も含まれます。

» 日本環境整備教育センター(外部サイト)

試験日程

浄化槽設備士試験の申込期間は毎年4月初旬から5月下旬です。試験は7月上旬に実施され、合格発表は9月中旬に行われます。試験会場は以下の5か所です。

試験は年に1回のみのため、申込期間を逃さないようにし、7月の試験に向けて準備しましょう。

申込方法

浄化槽設備士の申し込み方法は、令和6年からオンライン申請のみとなります。オンライン申請の手順は、以下を参考にしてください。

浄化槽設備士では、実務経験年数や保有資格により申請区分が変わります。以下の日本環境整備育成センターのホームページ公式サイトをご参照ください。

» 日本環境整備センター(外部サイト)

浄化槽設備士試験の合格率と難易度

浄化槽設備士の合格率と難易度は、以下のとおりです。

過去の合格率

浄化槽設備士試験の過去の合格率は、以下のとおりです。

試験実施年度	合格率
2020年	37.5%
2021年	45.3%
2022年	19.0%
2023年	23.2%
2024年	15.7%

» 受験者と合格率の推移(外部サイト)

浄化槽設備士試験の合格率は30％前後で推移していますが、近年は低下傾向にあります。試験の難易度が高いため、十分な準備が求められます。

試験の難易度

浄化槽設備士試験の合格率は30％前後で、難易度が高い試験です。受験には特定の学歴や実務経験が必要なため、受験者数が限られています。

浄化槽設備士試験に合格するための勉強方法

浄化槽設備士に合格するための勉強方法は、以下を参考にしてください。

学習計画を立てて効率的に勉強する

浄化槽設備士試験は、学科試験と実地試験に分かれています。どちらも過去問題が出題される可能性が高いため、過去問題を繰り返し解くことで出題傾向を把握し、効率的に学習できます。

実地試験では、経験記述の問題が多く出題されるため、あらかじめ工事経験を文章化しておくことが重要です。テキストを読みながら、いくつかのパターンで文章を作成しておくと、試験当日に対応できます。

試験の3か月以上前から計画的に勉強を始め、毎日学習時間を確保して無理のないペースで進めましょう。

自分に合った参考書や教材を選ぶ

学習を行う上で、自分に合った教材選びは重要です。学習レベルに合わせた参考書や教材をおすすめします。

以下の参考書や教材、アプリを参考にしてください。

これだけマスター浄化槽設備士試験

最新の出題傾向や法改正を反映した効率的な学習内容です。過去問題を徹底分析し、試験で出題されやすい重要事項をわかりやすく整理しています。コンパクトにまとめられているため、短時間で学べ、多忙な方にも最適です。
» これだけマスター浄化槽設備士試験(外部サイト)

浄化槽設備士試験完全対策(なるほどナットク)

試験の基礎を固めたい初心者から中級者まで対応した内容です。出題頻度が高い事項や重要な問題に重点を置いており、1ページに1問形式で構成されています。
» 浄化槽設備士試験完全対策 (なるほどナットク)(外部サイト)

過去問題集

日本環境設備教育センターでは、過去3年分の学科試験と実地試験の問題が掲載されています。過去問題を繰り返し解くことで、出題傾向を把握しながら実践的な学習が可能です。
» 日本環境設備教育センター公式サイト(外部サイト)

浄化槽設備士(Android専用アプリ)

APPLIONが提供する「浄化槽設備士」アプリは、移動中や待ち時間にも勉強しやすいツールです。試験対策に便利な機能が搭載されており、効率的に学習できます。価格は700円で、Android版のみの提供です。
» 浄化槽設備士(Android専用アプリ)(外部サイト)

以上の教材を活用すれば、浄化槽設備士試験に向けた学習ができます。

浄化槽設備士に関するよくある質問

浄化槽設備士に関するよくある質問は、以下のとおりです。

資格取得後の更新や継続教育は？

浄化槽設備士資格自体には更新はありませんが、浄化槽事業者の登録には有効期限があり、5年ごとの更新が必要です。

登録更新は、有効期限満了の30日前までに行う必要があり、申請書類は所在地を管轄する都道府県の担当部署に提出します。詳細は各都道府県の指示に従ってください。

資格取得後も定期的な研修が求められ、新しい知識と技術を学び続けることが必要です。

浄化槽設備士のキャリアパスは？

浄化槽設備士として経験を積むことで、現場での施工管理や技術スキルが向上します。工事業者内での昇進や、責任のあるポジションに就くことができます。

基礎を固めた後は、浄化槽管理士や管工事施工管理技士などの資格を取得することで、業務範囲を広げることも可能です。

豊富な経験と知識を活かして技術管理者や教育担当者として活躍し、技術の向上や次世代の技術者育成にも貢献できます。

浄化槽設備士として独立するには？

十分な経験を積んだ後は、浄化槽工事業者として独立することも可能です。経営スキルや顧客管理能力が必要ですが、成功すればキャリアアップに繋がります。

浄化槽設備士として独立する際のステップは、以下を参考にしてください。

経験とスキルの蓄積

現場での施工管理や技術スキルを磨くことで、独立後の業務に役立ちます。浄化槽設備士としての実務経験を積むことは重要です。

関連資格の取得

浄化槽管理士や管工事施工管理技士など、関連資格を取得すれば業務範囲を拡大できます。資格を取得することで、多様なプロジェクトに関与する機会が増え、事業の成長にも繋がります。

事業計画の策定

独立する際には、明確な事業計画の策定が重要です。市場調査や競合分析を行い、自分の強みを活かしたビジネスモデルを構築しましょう。

資金調達と財務管理

独立には初期投資が必要です。資金を調達し、財務管理を徹底することで、安定した経営基盤を築きましょう。

法的手続きと登録

浄化槽工事業者として営業を始めるには、都道府県知事への登録が必要です。登録には、指定された書類の提出や条件の達成が求められます。

ネットワークと顧客の開拓

業界内でのネットワーク構築と新規顧客の開拓が、成功の鍵です。信頼性と実績をアピールし、着実に顧客基盤を広げましょう。

独立にはリスクが伴いますが、十分な準備と戦略を立てることで、成功に向けた基盤を築けます。

まとめ

浄化槽設備士とは、浄化槽設備工事の際に現場監督を行う国家資格者です。

仕事内容は、以下のとおりです。

浄化槽設備士は浄化槽の設置工事を担当し、浄化槽管理士は維持管理を行うという役割の違いがあります。浄化槽設備士資格は、学科と実地の両試験に合格するか、講習後の試験に合格することで取得可能です。

近年、合格率が低下傾向にあるため、十分な準備が求められます。

試験対策として、テキストや問題集、アプリを活用し、効果的に学習を進めることが重要です。浄化槽事業者の登録有効期限は5年であり、期限満了の30日前までに更新申請が必要です。

浄化槽設備士の資格は専門性が高く、持続可能なキャリアパスを提供する大きなメリットがあります。計画的に学習スケジュールを立て、資格取得を目指し、積極的にキャリアアップに挑みましょう。