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「下水道接続案内が届いたが、浄化槽で十分なのに切り替える必要があるのか」と悩む方は多いです。工事費用や手続きの手間を考え、判断に迷うことも少なくありません。
この記事では、下水道工事や環境保全の観点から、浄化槽から下水道への切り替えについて詳しく解説します。
記事を読むことで、切り替えのメリットや費用対策を理解できます。助成金や融資制度を活用し、安心して工事を進め、快適で環境にやさしい生活を目指しましょう。
浄化槽から下水道に切り替える理由
浄化槽から下水道に切り替える理由は以下のとおりです。
- 環境面でのメリット
- コストや利便性の向上
環境面でのメリット
下水道は浄化槽よりも高い処理能力があり、生活排水を安定的かつ効率的に処理します。下水に接続することで地域環境の改善につながります。
くみ取り便所や単独浄化槽を使用している家庭では、全ての生活排水を処理できるため、環境保全への貢献がさらに高まります。
コストや利便性の向上
下水道接続後は、下水道使用料を支払うだけで、個人でのメンテナンスは不要です。自治体が管理を行うため、利用者の手間が省けます。
浄化槽に必要だった点検や清掃が不要になることで、費用負担も軽減されます。下水道接続は、利便性と経済性の両面で大きなメリットがあります。
浄化槽から下水道への切り替えにかかる工事費用と助成金制度
浄化槽から下水道に切り替える際の工事費用や助成金制度について、以下で詳しく説明します。
- 接続工事費
- 助成金制度の概要
- 地域別の具体例
接続工事費
下水道への接続工事費は30〜50万円程度が目安です。敷地の広さ、下水道本管の位置、土地の形状によって費用は変動します。現地調査後に見積もりを依頼しましょう。
敷地近くに本管があり、合併処理浄化槽が設置済の場合は、工事費が比較的安く済みます。
くみ取り式便所の場合はトイレの改修工事が必要になり、費用が高くなります。工事費用とは別に、既存の浄化槽内の清掃と消毒が必要です。槽内の水を全て引き抜くため、通常の清掃より費用がかかります。
多くの自治体では、浄化槽から下水道への切り替えを支援する助成金制度を設けています。スムーズに進めるためにも、事前確認を忘れないようにしましょう。
新潟市の具体例
以下では、新潟市の下水道接続や助成金制度についてご紹介します。
助成の対象 | 詳細 |
助成額30,000円 | 汲み取り便所改造(処理開始日から1年以内)または私道公共工事完了日から1年以内の改造工事。 |
助成額30,000円 | し尿浄化槽改造(合併浄化槽を含む)。処理開始日から1年以内、または私道公共工事完了日から1年以内の改造工事。 |
助成額20,000円 | 汲み取り便所改造(処理開始日から1年を超え3年以内)または私道公共工事完了日から1年を超え3年以内の改造工事。 |
助成額20,000円 | し尿浄化槽改造(合併浄化槽を含む)。処理開始日から1年を超え3年以内、または私道公共工事完了日から1年を超え3年以内の改造工事。 |
100万円を限度に無利子で貸付を行います。償還期間は60か月以内です。契約は金融機関との直接契約で、借入先金融機関の貸付規定をもとに契約します。
さいたま市|助成金および無利子の融資制度
さいたま市の助成金および無利子融資制度については以下のとおりです。
- 助成金の概要
- 市民税非課税世帯を対象に、工事費用の2分の1(上限25万円)を助成します。世帯分離している場合も対象です。
- 無利子融資制度
- 最大50万円まで借り入れ可能で、償還期間は最長36か月です。利子は発生しません。
詳しい手続きについては、さいたま市の担当窓口にお問い合わせください。
» 水洗便所改造資金貸付制度/設置費助成制度(さいたま市)(外部サイト)
浄化槽から下水道への切り替え工事の流れ
浄化槽から下水道への切り替え工事の手順は以下とおりです。
- 全体の流れ
- 工事前の準備
- 工事内容と期間
- 廃止した浄化槽の処分方法
- 実際の工事の流れ
- 工事後の手続き
全体の流れ
全体の流れは以下を参考にしてください。
- 供用開始の告示が行われ、通知が届く
- 下水道事業受益者負担金を申請・納付する
- 下水道接続工事を実施する
- 下水道使用開始の届出を行う
- 下水道使用料の請求が始まる
工事前の準備
下水道工事業者を選びましょう。見積もりは3社以上から取り、金額や工事内容を比較するのがおすすめです。業者が決まれば相談しながら進められるため、選定は重要です。
市町村への申請手続きは、通常業者が代行します。助成金の申請も忘れずに確認しましょう。
工事内容と期間
工事内容と期間は以下のとおりです。
- 配管工事の種類と手順
- 合併処理浄化槽の場合は、下水道管へのつなぎ替えのみで完了します。単独処理浄化槽の場合は、トイレと生活雑排水を下水道に接続する工事が必要です。
- 浄化槽の廃止作業
- 浄化槽内の汚水をくみ取り、消毒後に全撤去または埋め戻しを行います。
- 工事期間の目安
- 1〜3日程度が一般的です。地域の特性や天候などで延長する場合もあります。
廃止した浄化槽の処分方法
使わなくなった浄化槽の処分方法は3つあります。各方法にはメリットとデメリットがあるため、工事業者と相談して選びましょう。
- 全撤去
- 浄化槽を完全撤去する方法です。地中に残らないため将来の問題はありません。費用が高くなる場合や敷地条件により全撤去が難しいこともあります。
- 埋め戻し
- 浄化槽の部材を取り出し、上部を撤去した後、底に穴を開けて土で埋める方法です。費用は比較的抑えられますが、地中に一部が残るため、土地売却時に問題になる可能性があります。
- 埋め殺し
- 浄化槽をそのまま残し、底に穴を開けて土で埋める簡易的な方法です。費用を抑えられますが、地中に全体が残るため将来問題が生じる可能性があります。
どの方法を選んでも、作業前には浄化槽の清掃、汚水のくみ取り、消毒が必要です。汚水を放置すると廃棄物処理法違反となるため注意しましょう。
市町村によっては、全撤去の場合に助成金が支給される制度があります。処理方法は市町村ごとに異なるため、事前に確認し、慎重に検討して決めましょう。
浄化槽から下水道へ切り替える工事の流れ
浄化槽から下水道へ切り替える工事の流れは以下を参考にしてください。
- 浄化槽の最終清掃・消毒
- 配管を公共汚水桝に接続する
- 浄化槽の全撤去または埋め戻し
- 市町村職員の現地検査(完了検査)
工事後の手続き
市町村へ下水道使用開始届を提出すると、下水道使用料が計算されます。都道府県へは、浄化槽を使用しなくなった日から30日以内に浄化槽使用廃止届を提出する必要があります。
浄化槽から下水道への切り替えを依頼する業者の選び方
浄化槽から下水道への切り替えを依頼する業者の選び方は以下のとおりです。
- 市町村に登録済みの業者を選ぶ
- 見積もりは3社以上から取得する
- 口コミや評判のよい業者を選ぶ
- 適正価格を提示する業者を選ぶ
市町村に登録済みの業者を選ぶ
下水道工事は、市町村が指定した業者に依頼する必要があります。下水道は公共インフラであり、品質確保のため資格や技術を持つ業者が施工します。
見積もりは3社以上から取得する
見積もりは複数の業者から取りましょう。料金だけでなく、工事内容の違いも確認します。金額だけでなく、対応の良さや説明の丁寧さも選定の基準になります。
口コミや評判のよい業者を選ぶ
近隣で下水道工事を終えた家庭があれば、業者の口コミや評判を聞いてみましょう。インターネットで工事実績や保有資格、口コミを調べるのも効果的です。
適正価格を提示する業者を選ぶ
見積もりを比較する際は、工事費の内訳が詳細に記載された業者を選びましょう。「◯◯一式」とある場合は、内容を必ず確認してください。工事後の保証やアフターフォローも重要です。
不具合が発生した際に追加費用がかかると、結果的に高額になります。
浄化槽から下水道への切り替えに関するよくある質問
浄化槽から下水道への切り替えに関するよくある質問は以下のとおりです。
- 切り替え工事はいつまでに終わらせる必要がある?
- 切り替え工事中の生活への影響は?
- 現在の浄化槽はどうなる?
- 自宅前の道路が私道の場合の切り替えは可能?
- 切り替え後の水道料金はどう変わる?
- 個人の敷地内の下水道管も自治体が管理してくれる?
切り替え工事はいつまでに終わらせる必要がある?
下水道法では、浄化槽使用者は遅滞なく、くみ取り式トイレ使用者は3年以内に接続する義務があります。市町村によっては独自の期限があり、新潟市では条例で3か月以内の接続が義務付けられています。
工事資金に不安がある場合は、市町村に相談しましょう。特段の事情がない限り、早急に接続するほうが多くのメリットを得られます。
切り替え工事中の生活への影響は?
浄化槽から下水道への切り替えでは、1日程度排水ができない期間があります。トイレや台所、風呂が使用できません。工事業者と日程をよく打ち合わせましょう。
作業中に誤って水を使わないよう、外出するのも一つの方法です。
現在の浄化槽はどうなる?
廃止した浄化槽の取り扱いには、全撤去、埋め戻し、埋め殺しの3つの方法があります。費用だけでなく将来の影響も考慮し、工事業者と相談して決めましょう。
自宅前の道路が私道の場合の切り替えは可能?
自宅前の道路が私道でも、下水道への切り替えは可能です。
ただし、自宅敷地内の工事の前に、私道内の下水管工事が必要です。私道内の下水道工事は、所有者全員の同意を得て進めます。
工事費は私道の共有者間で話し合い、負担を分担します。工事には自治体の許可が必要です。お住まいの市町村の下水道担当課に相談しましょう。
切り替え後の水道料金はどう変わる?
下水道使用開始届を提出後、下水道使用料が請求されます。水道料金と下水道料金をまとめて請求する市町村も増えています。お住まいの市町村では、下水道使用料の請求タイミングを事前に確認しておきましょう。
個人の敷地内の下水道管も自治体が管理してくれるの?
個人敷地内の下水道管(排水設備)の維持管理は、土地所有者の責任です。自治体が管理するのは、公共汚水桝から下水処理施設までの部分です。
まとめ
下水道は浄化槽より浄化能力が高く、環境負荷をさらに軽減します。管理は自治体が行うため、メンテナンスの手間や費用は不要です。2か月に1回の下水道使用料を支払うだけで快適に利用できます。
下水道への接続工事費は30〜50万円程度が目安です。敷地の広さや下水道本管との距離によって費用が増加します。事前に見積もりを取ることをおすすめします。
助成金制度や無利子融資制度を利用できる場合があります。補助金を活用し、早めの下水道接続を検討しましょう。