浄化槽設置で補助金がもらえる条件とは?費用負担を軽減する方法

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浄化槽設置で補助金がもらえる条件とは?費用負担を軽減する方法

浄化槽の設置を検討する際、「新築の家に浄化槽を設置すると補助金が出るのか」「浄化槽の入れ替え工事をしたいが、工事費が高額で困っている」という悩みを持つ方が多いです。

この記事では、浄化槽工事に関する補助金制度について解説します。補助金制度を理解し、浄化槽工事費用の負担を軽減するために役立ててください。

» 浄化槽基礎知識はこちら

補助金の目的は合併処理浄化槽に転換するため

浄化槽補助金の基本情報は以下を参考にしてください。

  • 浄化槽補助金の目的
  • 地域ごとの補助金概要

浄化槽補助金の目的

下水道が未整備の地域で合併処理浄化槽を設置することで、公共水域の水質向上を目指しています。2001年以前に設置された単独処理浄化槽を、合併処理浄化槽に転換することで、水質改善を図ります

家庭から排出される排水が海や川、地下水を汚染しないようにするためには、浄化槽の設置が不可欠です。そのため、設置者には補助金が交付されています。

» 単独処理浄化槽から合併処理浄化槽へ(外部サイト)

2008年(平成20年)度末時点で、単独処理浄化槽は約545万基存在しました。2019年時点でも、単独処理浄化槽は浄化槽全体の約50%にあたる400万基が残っています

既存の単独処理浄化槽を早急に合併処理浄化槽へ転換することが目的です。

» 浄化槽法の一部を改正する法律について(外部サイト)

地域ごとの補助金概要

国や県からの交付金を受けて、市町村が主体となって浄化槽の設置者に補助金を交付しています。補助金の詳細については、浄化槽を設置する市町村に問い合わせましょう。

補助金対象となるケース

浄化槽補助金の対象となるケースは、新設や転換など複数あり市町村ごとに基準が異なります。対象となるケースは以下のとおりです。

  • 補助金申請者の資格
  • 浄化槽の種類
  • 浄化槽の工事内容

補助金申請者の資格

浄化槽補助金を申請するために、下記のような要件を設けている市町村もあります。

  • 申請者は個人であること
  • 市税の滞納がないこと
  • 法定検査を受けること

浄化槽の種類

2000年(平成12年)の浄化槽法の改正により浄化槽と呼べるものは合併処理浄化槽のみになりました。それまで主流だった単独処理浄化槽(みなし浄化槽)は新規の設置が禁止されています

現在、新規に設置できるのは、家庭から出るすべての排水を処理する合併処理浄化槽のみです。補助金の対象となる合併処理浄化槽には、一定の基準が設けられています。

» 単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違い

浄化槽の工事内容

浄化槽補助金の対象となる工事内容は主に以下の2点です。

新築の家に浄化槽を設置する(新設)
新たに家を建てる際に浄化槽を設置する場合や、大規模な修繕で建築物の申請や確認が必要な場合も、新設として扱われます。
既にある浄化槽を新しく入れ換える(転換)
単独処理浄化槽やくみ取り便槽から合併処理浄化槽に転換する場合、工事内容によって補助金額が異なります。

浄化槽の補助金額詳細

補助金額の詳細は以下のとおりです。

  • 新設もしくは転換
  • 浄化槽の大きさ(人槽)5人槽・7人槽・10人槽
  • 浄化槽の処理性能 

新設もしくは転換

「新設」とは、新たに浄化槽を設置することを指します。新築やリフォームなど、新しく家を建てる際に浄化槽を設置するケースが該当します。

「転換」とは、既存のくみ取り便槽(くみ取り便所)や単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に入れ替えることです。

既にくみ取り便槽や単独処理浄化槽がある場合でも、建築物の申請や確認が必要となる場合は、新設扱いになります。

»リフォームにかかる費用相場

浄化槽の大きさ(人槽)5人槽・7人槽・10人槽

大多数の市町村で補助金対象の浄化槽は10人槽以下です。

浄化槽の大きさによって補助金額が異なります。

» 人槽の違いについて

浄化槽の処理性能 

浄化槽の処理性能により補助金額が異なる場合があります。浄化槽の種類は以下の表を参考にしてください。

種類性能
家庭槽BOD(生物化学的酸素要求量)20mg/L以下、除去率90%以上
窒素除去型通常型の性能+全窒素濃度20mg/L以下
窒素及びリン除去型通常型の性能+窒素除去型+全リン濃度1mg/L以下
BOD高度除去型BOD(生物化学的酸素要求量)5mg/L以下、除去率97%

» 浄化槽施設整備について(外部サイト)

新潟市の補助金額例

浄化槽設置工事にかかる費用に対する補助は、浄化槽の設置に必要な基本工事に対して提供されます。補助金には浄化槽本体の費用も含みます

人槽単独浄化槽から転換くみ取り便槽から転換新設
5人槽825,000円825,000円405,000円

上乗せの補助金額

既存の単独処理浄化槽やくみ取り便槽の撤去には、撤去工事費用に対する追加補助が適用されます

合併処理浄化槽へ転換する際は、台所や洗面所、浴室からの排水を新たに浄化槽へ接続するための配管工事が必要です。工事費用にも補助金が適用されます。

適用される補助金は以下の表を参考にしてください。

単独浄化槽から転換くみ取り便槽から転換
宅内配管工事300,000円300,000円
単独処理浄化槽撤去工事120,000円
くみ取り便槽撤去工事90,000円

新潟市では単独処理浄化槽から合併処理浄化槽に転換する工事を行った場合、補助金の上限額まで交付されると825,000円が支給されます。詳細は以下の表を参考にしてください。

単独浄化槽から転換くみ取り便槽から転換新設
5人槽825,000円825,000円405,000円

新設の場合は上乗せ補助がないため、補助金が上限額いっぱいに交付されても405,000円です。

» 新潟市浄化槽補助金(外部サイト)

浄化槽の補助金申請の手続きのポイント

補助金の申請は市町村へ申請書を提出する必要があります。浄化槽の補助金申請の手続きのポイントは以下を参考にしてください。

  • 補助金申請に必要な書類
  • 補助金の申請方法
  • 補助金申請時の注意点

補助金申請に必要な書類

浄化槽を設置する際は、土地の市町村のWebページを確認するか、担当部署に電話で問い合わせてください。補助金の申請には専門的な書類が必要になるため、事前に確認しておきましょう

補助金申請の手続きは、浄化槽の工事業者と相談しながら進めると安心です。工事業者は必要な書類に精通しており、業者しか作成できない書類もあります。

実績報告時に必要な工事中の写真も工事業者が撮影するので、手続きをスムーズに進められます。添付書類は以下を参考にしてください。

  • 審査期間を経過した浄化槽設置届出書の写し又は確認済証の写し
  • 合併処理浄化槽の設置位置、配管系統を示した平面図
  • 全国浄化槽推進市町村協議会の登録浄化槽管理票(C票)および登録票

補助金の申請方法

申請書と必要な添付書類をそろえたら、浄化槽設置予定地の市町村にある浄化槽補助金担当窓口に提出します。申請書は市町村のWebページからダウンロードできます。

浄化槽工事業者が申請書を代行して市町村窓口に提出してくれることも多いので、業者に相談すると手続きがスムーズです。

補助金申請時の注意点

必ず工事に着手する前に補助金の申請をしましょう。どの市町村も、注意事項として記載しています。

浄化槽補助金申請の流れ

浄化槽補助金申請の流れは以下のとおりです。

  1. 事前準備
  2. 浄化槽設置の届出
  3. 交付申請
  4. 交付決定通知
  5. 浄化槽設置工事
  6. 実績(完了)報告
  7. 完了検査
  8. 補助金振り込み

事前準備

浄化槽の工事業者を選ぶ際は、浄化槽の性能も確認しましょう。長期間使用する浄化槽の性能は重要です。補助金については、市町村に直接問い合わせてください。

浄化槽設置の届出

浄化槽工事業者が行う都道府県の審査期間は、届出日の翌日から10日間です。審査が終了した後、浄化槽法第5条に基づく書類が交付申請の添付書類として必要になります。

交付申請

申請者が市町村へ提出する添付書類は多いため、工事業者と相談しながら準備しましょう。市町村は申請書類を審査し、必要に応じて現地調査を行います。

交付決定通知

申請した市町村から補助金の交付が決定した通知が届きます。交付決定通知書を受け取った後、工事を開始できます。

浄化槽設置工事

申請どおりに工事が進めば問題ありませんが、工事途中で申請内容と異なる工程が必要になった場合は、変更申請が必要ですので注意が必要です。

市町村によっては中間検査が実施される場合もあります。

実績(完了)報告

工事完了後、申請者は市町村へ実績(完了)報告書を提出します。提出期限は、工事完了後30日以内か、市町村が定めた期日のいずれか早い日までです。

完了検査

市町村職員が現地を確認し、申請書通りに工事が行われたかを検査します。申請者の立会いが必要です。検査が完了すると、市町村から補助金の交付が確定した旨の通知が届きます

その後、申請者は交付請求書を市町村へ提出しましょう。

補助金振り込み

交付請求書を提出してから約1か月後に、指定口座に補助金が振り込まれます。補助金が振り込まれると、浄化槽補助金申請に関する一連の手続きが完了します。

浄化槽補助金に関するよくある質問

浄化槽補助金に関するよくある質問は以下を参考にしてください。

  • 補助金申請の期限は?
  • 既存の浄化槽を改修した場合も補助対象?
  • 補助金の申請を忘れた場合の対処法は?
  • 浄化槽の維持管理費用は補助してもらえる?

補助金申請の期限は?

市町村によって手続きが異なるため、必ず補助金申請をする市町村に確認してください。

市町村は年度単位で事業を行うため、年度末(3月31日)までに補助金交付の一連の手続きを終える必要があります。

工事期間を考慮して補助金申請を12月までと定めている市町村や、実績報告書の提出を2月末としている市町村もあります。定められた期日に間に合うように工事を計画しましょう。

市町村は予算の範囲内で補助金を交付するため、申請期限まで時間があっても予算がなくなれば補助金は受けられません。毎年4月が年度の始まりです。

既存の浄化槽を改修した場合も補助対象?

既存の浄化槽の修繕に対して補助金を出している市町村は少ないですが、存在します。お住まいの市町村に問い合わせて確認してください。

補助金の申請を忘れた場合の対処法は?

補助金の申請を忘れて工事をしてしまうと、補助金を受け取ることができません。念のため市町村に問い合わせて確認してください。

浄化槽の維持管理費用は補助してもらえる?

市町村によっては、浄化槽の維持管理費に対する補助金制度があります。お住まいの市町村に問い合わせて確認してください。

まとめ

浄化槽の補助金制度は、川や海、地下水など公共水域の水質向上を目的としています。浄化槽事業は国や県からの交付金を受け、市町村が主体となって実施しています。

補助金の基準や条件は市町村ごとに異なるため、各地域の制度に基づいて対応が必要です。全ての市町村で共通する点は、補助金の申請を工事の着手前に行う必要があります。

申請に必要な書類は専門的なものが多いため、浄化槽工事業者に相談するのが良いです。

工事業者が代わりに申請書を提出してくれる場合もあります。補助金を申請した後は、工事を実施し、完了報告書を提出した上で完了検査を受けましょう。

浄化槽の設置工事は高額なため、補助金を利用できるかどうかで経済的負担は大きく異なります。この記事を参考にして、補助金を活用し、浄化槽工事の費用負担を軽減してください。