単独処理浄化槽の4つの種類と特徴|合併処理浄化槽へ切り替えるメリットと費用
浄化槽には「単独処理浄化槽」と「合併処理浄化槽」の2種類があります。単独処理浄化槽はトイレの排水だけを処理する設備です。
川や海を汚しやすいため、今は新しく設置することが法律で禁止されています。
この記事では浄化槽管理士歴10年以上の私が、2種類の浄化槽の違いと単独処理浄化槽の種類を解説します。
自宅の浄化槽がどのタイプか知りたい方や切り替えを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
くわしい内容は次の動画でも紹介しています。
単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違い|処理する排水の範囲


単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の違いは処理する排水の範囲です。
単独処理浄化槽は2001年(平成13年)の法改正より前に設置された設備で、トイレの排水だけを処理します。
台所やお風呂の水(生活雑排水)はきれいにされないまま川へ流れていきます。
家庭から出る汚れの約7割は台所やお風呂などの生活雑排水です。単独処理浄化槽ではその大部分がきれいにされないまま流れてしまいます。
合併処理浄化槽はトイレ排水に加えて台所や風呂の生活雑排水も処理できるのが特徴です。
今使っている単独処理浄化槽も、できるだけ早く合併処理浄化槽に切り替えるよう努めることが法律で決められています。
単独処理浄化槽の4種類|構造と特徴を比較

単独処理浄化槽は大きく次の4つの型式に分けられます。
- 接触ばっ気型浄化槽
- 沈殿分離ばっ気型浄化槽
- 全ばっ気型浄化槽
- 腐敗型浄化槽
接触ばっ気型浄化槽


第1室で汚水を固形物と水に分けたあと、接触ばっ気槽で微生物が汚れを分解します。
接触ばっ気型は微生物がすみつきやすい「接触ろ材」が入っているため、汚水を効率よく処理できるのが特徴です。
接触ばっ気型浄化槽には赤いバルブがあります。
ろ材の手入れをするときはこのバルブを使って空気を逆向きに送り、ろ材の汚れを落とす「逆洗」という作業が必要です。
処理の流れは次の動画でも紹介しています。
沈殿分離ばっ気型浄化槽

沈殿分離ばっ気型は接触ばっ気型と構造が似ていますが、第1室の水位がばっ気槽より高い点が特徴です。
接触ろ材は使わず、微生物を含んだ泥(活性汚泥)を空気でかき混ぜて汚れを分解する「活性汚泥方式」です。
沈殿分離ばっ気型は接触ばっ気型より大きめに作られています。接触ろ材がない分、泥がたまる時間を長くとって処理する仕組みです。
全ばっ気型浄化槽

全ばっ気型浄化槽はばっ気槽で汚水を空気でかき混ぜながら、微生物を含んだ泥(活性汚泥)を育てて汚れを分解します。
沈殿槽で処理水と汚泥を分け、消毒したあとに処理水を放流します。
全ばっ気型浄化槽は接触ばっ気型や分離ばっ気型よりも古いタイプです。槽の容量が小さく、半年に1回以上の清掃が必要です。
腐敗型浄化槽|ブロワー不要で動く仕組み

腐敗型浄化槽はブロワーを使わず、自然な空気の流れだけで汚水を処理するいちばん古いタイプの浄化槽です。
川の流れに似せた構造で空気を自然に取り込み、微生物の働きで汚水をきれいにします。
腐敗型には「散水ろ床型」と「平面酸化型」があり、一般家庭では平面酸化型がよく使われます。
平面酸化型浄化槽の仕組みと特徴【動画付き】



平面酸化型浄化槽は腐敗型の中でも家庭や小さな施設でよく使われているタイプです。
汚水がでこぼこした「酸化床」の上を流れる間に、表面にすみついた微生物(生物膜)が汚れを分解します。
くわしくは次の動画をご覧ください。
散水ろ床型浄化槽の仕組みと特徴

散水ろ床型浄化槽は水をまく「散水樋」の下に、ろ過材になる石を敷き詰めた構造です。
散水樋から落ちた水が石に触れることで、石の表面にすみついた微生物が汚れを分解します。
構造や仕組みの詳細は次の動画をご覧ください。
単独処理浄化槽の清掃とメンテナンス【動画付き】

浄化槽の処理能力を保つには定期的な手入れが必要です。接触ろ材や沈殿槽の清掃は動画で紹介しています。
接触ろ材のメンテナンス方法【動画付き】
接触ろ材には汚れや古くなった微生物のかたまりがだんだんたまっていきます。そのため逆洗で余分な汚れを落とさなければいけません。
逆洗の手順は次の動画で紹介しています。
単独処理浄化槽と合併処理浄化槽の清掃方法【動画付き】
清掃方法は次の動画を参考にしてください。
合併処理浄化槽への切り替えで得られる3つのメリットと費用
切り替えで知っておきたいことは次の2つです。
- 合併処理浄化槽への切り替えメリット
- 合併処理浄化槽への切り替えの流れと費用
合併処理浄化槽への切り替えメリット
合併処理浄化槽に切り替えるおもなメリットは次の3つです。
- 環境を守れる
- きれいにしていない水を流さなくなり、地域の川や海がきれいになる
- 法律に合った設備になる
- 単独処理浄化槽は法律で切り替えが求められているため、安心して使い続けられる
- 暮らしが快適になる
- 台所やお風呂の水も処理でき、においや害虫が減って衛生的になる
合併処理浄化槽への切り替えの流れと費用の目安
合併処理浄化槽へ切り替えるときは、まず浄化槽設置業者を選んで見積もりを依頼します。
工事期間は設置場所や既存設備の状況で変わりますが、通常は数日で完了します。
費用は地域や浄化槽の大きさによって変わりますが、5人槽で約80〜120万円が目安です。補助金を使える場合があるので、お住まいの自治体に確かめましょう。
まとめ|単独処理浄化槽は合併処理浄化槽へ切り替えよう

単独処理浄化槽はトイレ排水しか処理できず、家庭から出る汚れの約7割が処理されないまま流れてしまいます。
環境と法律の両方の面から、合併処理浄化槽への切り替えがすすめられています。合併処理浄化槽は処理能力が高く、川や海の水をきれいに保つのに役立つ設備です。
浄化槽の設置やメンテナンスには専門知識が必要です。契約している管理会社に相談して、合併処理浄化槽や下水道への切り替えを検討しましょう。






