浄化槽の法定検査を受けないとどうなる?保守点検だけではダメな理由解説!

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浄化槽の法定検査を受けないとどうなる?保守点検だけではダメな理由解説!

浄化槽の管理では、清掃や保守点検の他に法定検査があります。

「法定検査を受けてください」と言われた際に、以下の疑問を持つ方が多いです。

  • みんな法定検査を受けているの?
  • 保守点検をしているのに、法定検査が必要なの?
  • 受けなかった場合どうなるの?

以上の疑問を解消するため、浄化槽管理士10年以上の経験を持つ私が、法定検査について詳しく解説します。

法定検査の目的や種類、必要性が明確になります。法定検査の重要性を理解し、浄化槽を正しく管理しましょう。

法定検査とは?公共衛生と環境保全を図る検査機関

法定検査については、以下のとおりです。

  • 法定検査の目的
  • 法定検査の種類
  • 法定検査の頻度

法定検査の目的

法定検査の目的は、浄化槽の維持管理が適切に行われているか確認し、公共衛生の向上や環境保全を図ることです。

法定検査では、浄化槽から排出される水が法律で定められた基準を満たしているかを検査します。保守点検や清掃が適切に行われているか、浄化槽の使用方法が適正かも確認します。

保守点検や清掃を実施していても、法定検査を受けることは義務です。法定検査は、県が指定した検査機関が公正かつ中立に行います。

法定検査の種類

法定検査には、浄化槽設置後に行う「7条検査」と、設置翌年から毎年1回行う「11条検査」の2種類があります。

水質検査の種類詳細
浄化槽設置後の水質検査(7条検査)新設の浄化槽に対して、適切な工事と設置、機能の確認を行う。放流水を持ち帰り、BODの測定を実施する。
年1回の定期検査(11条検査)7条検査の翌年以降に毎年実施する。保守点検や清掃の適正さを確認し、浄化槽の機能維持を確認する。

法定検査の頻度

7条検査は、浄化槽の使用開始後3か月を経過した日から5か月以内に行う検査です。

11条検査は、水質検査の翌年以降に毎年1回実施します。

法定検査の内容

法定検査の内容は、以下のとおりです。

  • 外観検査
  • 水質検査
  • 書類検査

外観検査

外観検査では、浄化槽周辺に異常がないか、正しく設置され正常に機能しているかを確認します。

設置状況
浄化槽本体に沈下や破損がないか、設備が傾いていないか、土砂が流れ込んでいないかを確認する。
使用状況
雨水や異物が流れ込んでいないか確認する。
設備の稼働状況
ポンプやブロワーが正常に作動しているか確認する。
消毒の実施状況
消毒剤の残量や処理水との接触状況を確認する。
水の流れ方の状況
汚物や異物の蓄積がないか、槽内の水位や水流を確認する。

水質検査

浄化槽から放流される水質を確認する検査です。検査項目は以下のとおりです。

  • 水素イオン濃度
  • 溶存酸素量
  • 透視度
  • 残留塩素濃度
  • 汚泥沈殿率
  • 生物化学的酸素要求量(BOD)

水質検査で、放流水が環境基準を満たしているか確認します。

書類検査

保守点検記録や清掃記録、前回の清掃日を確認し、保守点検や清掃が適切に行われているか判断します。

メンテナンスを怠ると河川が汚染されるため、検査結果に基づき、適切な措置を講じましょう。

法定検査にかかる費用

法定検査の費用については、浄化槽の人槽や地域によって異なります。

10人槽以下の浄化槽の場合、設置後の7条検査は約13,000円、毎年1回の11条検査は約5,000円です。

浄化槽の容量が大きくなると、費用も上がります。詳細は地域の検査機関に確認してください。

法定検査と保守点検の違い

法定検査と保守点検の違いの違いは、以下を参考にしてください。

  • 法定検査の作業内容
  • 保守点検の作業内容
  • 保守点検を行う頻度

法定検査は第三者機関が実施し、保守点検や清掃が適切に行われているか、浄化槽が正常に機能しているかを確認するものです。保守点検は保守点検業者が行い、浄化槽の維持管理を目的としています。

車で例えると、保守点検は定期的なオイル交換に相当し、法定検査は車検の役割を果たします。

法定検査の作業内容

法定検査の作業内容は、以下のとおりです。

法定検査作業内容詳細
外観検査浄化槽の構造や設置状況を確認
水質検査放流水を持ち帰り、水質が基準を満たしているか検査
書類検査保守点検記録や清掃記録を確認し、適切な管理がされているかを検査
問題発生時の対応検査員は浄化槽の問題を指摘し、修理や改善命令を出す

法定検査で問題が見つかった場合、修正や改善の指示が行われます。法定検査は県指定の第三者機関が実施し、二重チェックの役割を果たすため、浄化槽の維持に欠かせません。

問題の早期発見と迅速な改善により、浄化槽の機能維持や環境への影響を最小限に抑えられます

保守点検の作業内容

保守点検の作業内容は、以下の表を参考にしてください。

保守点検作業内容詳細
浄化槽周囲点検マンホールの状況、破損や臭気、ブロワーの異音や振動確認
槽内の点検ブロワーの風量や放流ポンプ、配管の状態を確認
一次処理槽の点検ろ材や汚泥、スカムの有無や厚さを測定
二次処理槽の点検発報の有無、逆洗状況を確認
沈殿槽の点検沈殿物や浮遊物の確認
消毒槽の点検消毒剤の補充、沈殿物や浮遊物の確認
保守点検全体衛生害虫の駆除、必要に応じて清掃

保守点検を行う頻度

保守点検頻度は、種類や大きさによって異なります。処理対象人数が20人以下の場合、4か月に1回以上の点検が必要です。

浄化槽は、一箇所でも不適切な箇所があると正常に機能しないため、定期的な点検が重要です。点検は浄化槽の寿命を延ばします。

浄化槽は24時間稼働し、長期間にわたり維持管理が必要です。スケジュール管理を相談できる業者を選びましょう。
» 浄化槽適正維持管理システム(外部サイト)

法定検査を申し込む方法

法定検査を申し込む方法は、以下のとおりです。

  • 指定検査機関を調べる
  • 電話やネットで申し込む

指定検査機関を調べる

各都道府県の公式サイトには、法定検査を実施する指定検査機関の情報を掲載しています。お住まいの地域に該当する都道府県の公式サイトを確認しましょう。

日本環境整備教育センターや関連団体のサイトでも、全国の指定検査機関一覧が掲載されています。


» 日本環境整備教育センター(外部サイト)

電話やネットで申し込む

地域や指定機関によって申し込み方法は異なります。電話やメールで申し込み方法を確認し、手続きを進めましょう

都道府県の公式ホームページから確認し、問い合わせてください。

法定検査を受けなかった場合の罰則

法定検査は法律で義務付けられており、必ず受ける必要があります。

受検を怠った場合、行政から指導や勧告が行われ、従わない場合は30万円以下の罰金が科されます。必ず検査を受けましょう。

» 浄化槽法違反について

法定検査に関するよくある質問

法定検査に関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 法定検査は誰が行うもの?
  • 保守点検契約すれば、法定検査は自動的に行われる?
  • 「不適正」と判定されたときの対処法は?
  • 検査記録の保管期間は?

法定検査は誰が行うもの?

法定検査は、都道府県が指定する検査機関の検査員が実施します。

検査員の資格取得には、以下の条件が必要です。

  • 浄化槽の検査に関する専門知識と技能が必要
  • 2年以上の実務経験が必須
  • 浄化槽検査員講習会を受講する
  • 講習終了後に試験があり、合格で資格取得
  • 資格取得後、浄化槽検査員の資格証が交付される

保守点検契約をしていれば法定検査は自動的に行われる?

保守点検契約を結んでいても、法定検査は自動で行われません。法定検査は浄化槽管理者の依頼に基づいて実施されます。

管理者自身や、浄化槽の設置工事業者、保守点検業者を通じて検査の申込みを行いましょう。

7条検査および、11条検査を継続して受けている方は、検査時期に合わせて手紙での案内が送付されます。

法定検査の申込みに不安がある場合は、保守点検業者に相談するのが安心です。

「不適正」と判定されたときの対処法は?

法定検査で不適正と判断された場合、指摘内容を確認し改善が必要です。保守点検業者や清掃業者に検査結果を共有し、改善してください。

状況によっては、県知事から使用停止や改善命令が出されます。従わない場合、6か月以下の懲役や100万円以下の罰金が科されます。

不適正と判断された際は、必ず業者に相談し、改善を進めましょう

検査記録の保管期間は?

法律で定められた保管期間はありません。ただ、浄化槽の性能や維持管理履歴を確認するため、記録を保管しておくと便利です。

保管の目安として、法定検査や保守点検、清掃の記録は3年間です。

トラブルを防ぐため、浄化槽の使用期間中、全ての記録を保管している方もいます。

まとめ

法定検査は、管理者(浄化槽利用者)の義務として法律で定められています。第三者機関が実施し、保守点検業者や清掃業者とは異なる機関が行います。

法定検査の目的は、浄化槽の適切な維持管理と放流水の水質確認です。

浄化槽は構造が複雑で、正しく機能しないと悪臭や水質汚染の原因になります。

法定検査は公正かつ中立な立場で行い、浄化槽の機能を二重に確認し、環境保全に貢献しています。必ず法定検査を受け、安全で安心できる生活環境を維持しましょう