浄化槽メンテナンスの基本|保守点検と法定検査の違い・費用を解説!

浄化槽メンテナンスの基本|保守点検と法定検査の違い・費用を解説!

浄化槽を設置した方の中には、「保守点検では何をするのか」「費用はどれくらいか」と不安に感じる方も多いです。下水道とは違い、浄化槽には定期的な保守点検が法律で義務づけられています。

点検内容や頻度を知らずに放置すると、思わぬトラブルや追加費用につながります。この記事では、10年以上の現場経験を持つ浄化槽管理士が、保守点検の内容について解説します。

記事を読めば、浄化槽を長く安心して使うための管理方法がわかります。定期的な保守点検は、故障の予防と維持費の削減につながります。

保守点検とは?浄化槽の機能を保つための定期作業

浄化槽の保守点検について、以下の3点を解説します。

  • 保守点検の必要性
  • 浄化槽法と遵守義務
  • 保守点検の頻度

保守点検が必要な理由

保守点検は、浄化槽の機能を保つために欠かせない作業です。

浄化槽は微生物の働きで汚水を処理するため、微生物が活動できる環境を維持することが重要です。

保守点検や清掃を定期的に行えば、異常を早期に発見でき、トラブルの予防にもつながります。運転状況の確認やブロワーなどの機器の点検は、浄化槽の運用に不可欠です。

浄化槽法による管理者の義務

浄化槽法は、浄化槽の設置・保守点検・製造に関するルールを定めた法律です。排水を適切に処理し、生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的としています。

浄化槽は下水道と同等の処理能力を持ちます。しかし維持管理を行わなければ、十分な処理機能を発揮できません。法律を守り、維持管理を徹底しましょう。

» 浄化槽法についてはこちら

保守点検の頻度は4か月に1回以上

保守点検の頻度は、浄化槽の規模や処理方式により異なりますが、原則として4か月に1回以上が必要です。点検は、都道府県知事の登録を受けた業者へ依頼しましょう。

» 知っておきたい浄化槽の基礎知識

保守点検で実施する作業内容

保守点検で行う作業は以下のとおりです。

  • 保守点検で確認するポイント
  • 自分で点検できる項目

業者が点検する4つのポイント

業者が保守点検で確認する主なポイントは、以下の表のとおりです。

点検箇所詳細
外観や構造の確認浄化槽本体や蓋の損傷や亀裂がないかを確認。環境や法的問題への発展を防ぐために重要。
必要な装置の動作確認ブロワーや撹拌装置など、浄化槽の装置が正常に動作しているかを重点的に点検。
浄化槽内部の点検スカムや汚泥の量を確認し、清掃時期を判断。水位、配管、ろ材、消毒剤の残量も確認。
放流水の確認浄化槽からの放流水のBOD値やpH値を測定し、適切な処理が行われているかを確認。

管理者が自分でできる点検項目

保守点検は専門業者へ依頼するのが基本ですが、管理者自身で点検できる部分もあります。自分でできる点検は以下のとおりです。

  • 外観の確認
  • 異臭の有無
  • ブロワーの異音
  • 排水の流れ

保守点検を依頼する手順

保守点検を依頼するときの手順は以下のとおりです。

  • 保守点検業者を選ぶ
  • 保守点検を申し込む

信頼できる保守点検業者の選び方

信頼できる業者を選ぶ
業者選びで重要なのは、信頼性です。過去の実績や顧客からの口コミ、自治体からの認可の有無が判断材料になります。
料金の比較をする
業者によって料金が異なるため、複数社から見積もりを取り比較しましょう。浄化槽の寿命は20〜30年と長く、業者との付き合いも長期になります。
アフターサービスとサポート
緊急時の対応やアフターサービスも大切な判断基準です。定期メンテナンスやサポート体制が整った業者なら、長期的に安心して任せられます。

保守点検の申し込み方法

信頼できる業者を見つけるには、自治体への問い合わせがおすすめです。

市町村役場や県の環境部門では、登録業者のリストを公開しています。リストの中から保守点検業者を選びましょう。

申し込み方法は業者ごとに異なります。電話やWebサイトで連絡し、点検内容や費用を確認したうえで契約しましょう。

保守点検にかかる費用の目安

浄化槽の保守点検費用について、以下の2点を解説します。

  • 保守点検の費用相場
  • 点検費用が変動する要因

保守点検の費用相場は年間1〜2万円

保守点検の費用は業者によって異なりますが、相場は年間1~2万円です。点検の結果次第で、修理や部品交換の費用が別途かかります。

点検費用が変わる主な要因

点検費用が変動する要因は、業者ごとの価格設定や浄化槽のサイズ(人槽)や型式の違いです。

浄化槽にトラブルが起きたときの対処法

浄化槽にトラブルが起きたときの対処法を、以下の2つに分けて解説します。

  • 異音や異臭への対処法
  • 緊急な対応を要する場合の対処法

浄化槽からの異音や異臭への対処法

異音の原因には、配管の固定不良、ブロワー内部の部品劣化、放流ポンプの故障が考えられます。ブロワーから異音がする場合は、故障や装置の停止につながるため、早急な対応が必要です。

» ニオイの原因5選

異臭の主な原因は、微生物の活動低下、過剰な油分や洗剤の流入、ブロワー故障による酸素不足です。

異音や異臭は、浄化槽全体の機能が低下しているサインです。

異変を感じたら、専門業者へ早めに連絡しましょう。

緊急対応が必要なトラブルへの対処法

ブロワーの異音は振動が原因のことが多く、防振マットを敷くと改善できます。ブロワーが停止してコンセントに問題がない場合は、故障している可能性が高いです。

浄化槽の水位が異常に高い場合は、放流ポンプや流量調整装置に異常があると考えられます。

浄化槽のトラブルは、専門知識や工具が必要なため、管理者自身での対応が難しいケースが多いです。重大なトラブルを防ぐため、早めに専門業者へ連絡しましょう。

浄化槽を長持ちさせる3つの注意点

浄化槽を長持ちさせる注意点は、以下の3つです。

  • 浄化槽へ流す排水に注意する
  • 浄化槽に優しい洗剤を使用する
  • 浄化槽周辺に木を植えない

油や洗剤を流しすぎない

油脂や洗剤は微生物に悪影響を与え、浄化槽の機能を低下させます。

油汚れは、配管詰まりの原因になります。食器や調理器具の油汚れは、拭き取ってから洗いましょう。

浄化槽にやさしい洗剤を選ぶ

お風呂・キッチン・トイレで洗剤を使うときは、塩素系洗剤に注意しましょう。塩素系洗剤は強力な殺菌作用があり、多量に流すと微生物の働きを低下させ、悪臭の原因になります。

冬場は微生物の活動が落ちやすいため、特に注意が必要です。洗剤を使用する際は、用法容量を守り、浄化槽への負担を軽減しましょう。

» 浄化槽にやさしい洗剤10選

浄化槽の周辺に木を植えない

浄化槽の周辺に木を植える際は、注意が必要です。木の根は非常に強く、配管の詰まりや浄化槽本体の損傷を引き起こします

木が成長すると、定期的な保守点検や清掃の妨げにもなります。木を植える際は、以下の3点に注意しましょう。

  • 浄化槽から離して植える
  • 根が浅く、成長が遅い木を選ぶ
  • 落ち葉が少ない木を選ぶ

具体的には、根が浅く管理しやすいツツジや、落ち葉が少ないサルスベリがおすすめです。植えるときは、成長後もメンテナンスの妨げにならないよう、木の種類を選びましょう

保守点検に関するよくある質問

保守点検に関するよくある質問は、以下の2つです。

  • 保守点検と法定検査の違いは?
  • 保守点検を怠った場合のリスクは?

保守点検と法定検査の違いは?

保守点検と法定検査は、どちらも浄化槽管理者の義務ですが、目的が異なります。保守点検は浄化槽の機能を維持するために行います。具体的には点検、修理、消毒剤の補充、ブロワーの調整などです。

法定検査は、放流水が基準を満たしているか、保守点検や清掃が適正に行われているかを確認するための検査です。

法定検査は県が指定した検査機関が公正に実施し、保守点検とは役割が異なります。車に例えるなら「車検」に相当します。

浄化槽の使用開始後3〜8か月で行う7条検査と、翌年から毎年1回の11条検査が法律で義務付けられています。

» 法定検査についての詳細

保守点検を怠った場合のリスクは?

保守点検や法定検査、清掃を怠ると、詰まりや不衛生な状況が発生し、浄化槽が故障するリスクが高いです。結果として、修理コストも大きく膨らみます。

保守点検を怠れば浄化槽の処理機能が低下し、大腸菌や病原菌が未処理のまま外部へ放流されます。地下水の汚染や、魚など水生生物への悪影響にもつながります。

保守点検が法律で定められた基準を満たさない場合、県知事から使用停止命令が出ます。命令を無視して使用を続けると、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

» 浄化槽法違反について

保守点検は、長期的なリスクを下げるためにも確実に実施しましょう。点検を怠ればトラブル対応が遅れ、結果的に修理や清掃の費用が高くつきます。

まとめ:保守点検で浄化槽を長く安全に使う

浄化槽の保守点検は、浄化槽管理者(所有者)義務です。点検を行えば異常を早期に発見でき、重大なトラブルや余計なコストを防げます。

浄化槽には保守点検と法定検査があり、それぞれ目的が異なります。両方を実施することで、浄化槽の機能を保てます。

保守点検では薬剤の補充や修理・調整を行います。法定検査では、水質や保守・清掃が適正に実施されているかを確認します。

浄化槽の機能を維持するためには、定期的な保守点検・清掃と・法定検査の受検が欠かせません。