下水処理の仕組み解説!汚水がきれいになる流れと家庭でできる対策

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下水処理の仕組み解説!汚水がきれいになる流れと家庭でできる対策

毎日使う水は排水口から浄化槽や下水道へ流れます。そこで処理されてから川や海へ放流されます。

排水をきれいにする浄化槽や下水道は、暮らしに欠かせないインフラです。

この記事では、下水道の仕組みを解説し、トラブルを防ぐための身近な対策も紹介します。下水処理の流れと、日常生活で気をつけたいポイントがわかります。

» 下水道基礎知識

下水道とは何か:汚水を処理して川や海へ流す施設

ここでは、下水道の基礎を次の2点から解説します。

  • 下水道が支える日常生活
  • 生活と環境を守るインフラとしての役割

下水道が支える日常生活:水量と浄化の役割

下水道は日常生活と深く関わり、衛生的で快適な暮らしを支えています。トイレやキッチン、風呂場、洗濯機から出る汚水は下水処理場へ運ばれて処理されます。

1人が1日に使う水の量は約250リットルです。

汚水をそのまま川や海へ流すと水が汚れてしまいます。そこで下水道が汚水をきれいにして自然へ戻しています。

下水道は雨水も流し、街が水につかる被害も防ぎます。

生活と環境を守るインフラとしての役割

下水道は生活排水をきれいにして、自然環境と暮らしの環境を守っています。

特にトイレの排水は、きちんと処理しないと悪臭や感染症の原因になります。下水道が生活排水をきれいにしてから川や海へ流すことで、水の汚れを防いでいます。

家庭から下水処理場までの排水ルート

家庭から下水処理場までの流れを、次の2つに分けて見ていきます。

  • 宅内排水管から公共汚水マスまでの経路
  • 公共汚水マスから下水処理場までの経路

宅内排水管から公共汚水マスまでの経路

トイレやキッチン、洗面所、風呂場で使われた水は家の中の排水管を通ります。そして地中に埋められた1本の排水管へ集まります。

汚水は排水管を通って敷地の外にある「公共汚水マス」(下水道の入口)へ届き、下水処理場まで運ばれます。

公共汚水マスまでの配管は、住宅の持ち主が管理します。

公共汚水マスから下水処理場までの経路

家庭から出た排水は公共汚水マスを通り、自治体の下水道管を経て下水処理場へ送られます。下水道管はゆるやかな坂になっていて、下水は自然と低い方へ流れていきます。

下へ流れ続けると管がどんどん深くなります。そこで途中の中継ポンプ場で汚水を地表近くまでくみ上げ、再び流します。こうすると管の設置や点検、修理がしやすくなります。

くみ上げられた汚水は再び下水道管を流れ、下水処理場へたどり着きます。

下水処理場の7つの工程:沈砂池から汚泥再利用まで

下水処理場では、次の7つの工程で水と汚泥を順番に処理します。

  • 沈砂池
  • 一次処理:最初沈殿池(物理的処理)
  • 二次処理:反応タンク(生物学的処理)
  • 最終沈殿池
  • 三次処理:高度処理(生物学的処理・化学的処理)
  • 消毒槽:放流または再利用
  • 汚泥の処理:焼却または再資源化

沈砂池

布切れや木片、石、砂などの大きなごみを取り除きます。水の流れをゆるめて沈めたり、格子状のスクリーンで引っかけたりして取ります。

一次処理:最初沈殿池(物理的処理)

下水をゆっくり流して、沈砂池で取りきれなかった小さなごみや野菜くずを底に沈めて取り除きます。水より軽い油は水面に浮かぶので、すくって回収します。

二次処理:反応タンク(生物学的処理)

活性汚泥と呼ばれる微生物のかたまりを下水に混ぜ、タンクの底から空気を送り込みます。元気になった微生物が、食べかすや排せつ物などの有機物を二酸化炭素と水に分解します。

生物学的処理は化学薬品を使わず微生物の働きを利用するため、環境への負担が少ないのが特徴です。

最終沈殿池

反応タンクから出た水をゆっくり流して活性汚泥を沈めると、上側のきれいな処理水と活性汚泥に分かれます。

処理水は多くの汚れが取り除かれて透明になり、放流前に消毒槽で消毒されます。

活性汚泥の一部は反応タンクに戻して再利用し、残りは汚泥処理施設へ送ります。

三次処理:高度処理(生物学的処理・化学的処理)

一次・二次処理で汚れの90%以上を取り除けます。しかしリンや窒素を取り除くには、高度処理が必要です。

高度処理は導入や運転にかかるコストが高いため、水質を特に守りたい湖や湾などで導入されています。

高度処理には次の2つの方法があります。

生物学的処理
細菌の働きでリンを取り除く方法です。リンを取り込む細菌は、酸素のない状態と酸素のある状態を交互に通ると働きます。通常の二次処理にはこの流れがないため、リンを取り除けません。
化学的処理
化学薬品を加えてリンを固め、沈めて取り除く方法です。

消毒槽:放流または再利用

水をきれいにする最後の工程で、水中の病原菌を塩素系消毒剤で殺菌します。処理水が法律の基準を満たせば川や海へ放流されます。工業用水などに再利用されることもあります。

汚泥の処理:焼却または再資源化

最終沈殿池から送られる汚泥は水分が多いので、専用のタンクや機械で水分を減らして濃くします。

濃くした汚泥は消化タンクへ送ります。微生物の働きで有機物が無機物とメタンガスに分解されます。できたメタンガスはバイオガスとして活用されます。

消化が終わった汚泥は脱水機でさらに水分を除きます。すると「脱水ケーキ」と呼ばれる柔らかい固形物になります。

以前は焼却して灰を埋め立てていました。近年はエネルギー資源や建材としての再利用が進んでいます。

下水道のメンテナンスと4つの課題

下水道の維持管理と、いま抱えている課題を次の2つに分けて説明します。

  • 計画的な点検と清掃で寿命を延ばす
  • 下水道が抱える4つの課題

計画的な点検と清掃で寿命を延ばす

下水道の機能を保つには定期的なメンテナンスが必要です。古くなった管のひび割れやさびを放っておくと、浸水や漏水の原因になります。定期点検と早めの修理で防ぎます。

下水道管の中にたまる土砂や油脂は流れをさまたげるので、定期的な清掃も必要です。メンテナンスを続けると下水道の寿命が延び、思わぬトラブルを防げます。

下水道が抱える4つの課題:老朽化・豪雨・財源・人材

下水道は、次の4つの課題を抱えています。

施設の老朽化
1960〜1970年代につくられた下水道の多くが寿命を過ぎ、取りかえや修理が急がれています。計画的に進めるには多くの費用がかかります。
気候変動による集中豪雨や台風の頻発
近年は、つくられた当時の想定を超える豪雨がたびたび起きています。浸水の被害を防ぐには追加の対策が必要です。
財源不足
老朽化対策には多くのお金が必要です。しかし人口が減って下水道使用料の収入は減っており、運営がむずかしくなっています。
人材不足
働く人が減る一方で技術は高度になり、専門の技術を持つ人材の確保が課題です。下水道を安定して運営するには、早めに人を育てる必要があります。

下水道の仕組みの進化と革新:IoT・バイオガス・MBR

下水道の進化と革新を、次の2つの観点から見ていきます。

  • IoT・バイオガス・MBRなど3つの新技術
  • 脱炭素と防災を見据えた下水道の将来像

IoT・バイオガス・MBRなど3つの新技術

下水道は新しい技術を取り入れて大きく進化しています。代表的な3つの技術を紹介します。

IoT(モノのインターネット)技術の導入
下水道の設備にセンサーを付けて、水の量や水位などをリアルタイムで見守るしくみです。異常があるとデータを自動で集めて分析し、詰まりや浸水の危険にすばやく対応できます。
下水処理の過程で出るバイオガスの活用
汚泥からバイオガスをつくり、エネルギー源として使う取り組みです。下水処理で使う電力より多くのエネルギーを生み出せる可能性があり、効率的な活用が期待されています。
» 下水道が有するポテンシャルと現状の取り組み(外部サイト)
膜分離活性汚泥法(MBR)
とても細かい膜フィルターを使う下水処理の技術です。大腸菌より小さな粒も取り除けるので、従来の方法よりきれいな水が得られます。

脱炭素と防災を見据えた下水道の将来像

将来の下水道は、技術の進歩と持続可能性の追求によって大きく変わると予想されます。課題に早めに対応すれば、安定した運用が見込めます。

最新技術の導入は人手不足の解消に役立ちます。下水汚泥からつくるバイオガスの活用は、脱炭素にもつながります。下水道は汚水処理だけでなく、防災やエネルギーづくりも担う持続可能な都市インフラを目指しています。

今後はAIやデジタル技術の活用、環境への負担の削減、資源の循環、災害に強いインフラづくりを柱に発展していきます。

下水道を使うときに押さえたい2つのポイント

下水道を使うときに、特に押さえたいポイントは次の2点です。

  • 間違った使い方で起こる詰まりや故障
  • 使用水量で決まる従量制の料金

間違った使い方で起こる詰まりや故障:油脂・有害物質に注意

間違った使い方をすると、詰まりや故障が起きたり下水管の寿命が短くなったりします。油脂類や有害な物質は少量でも要注意です。

油脂は下水管にくっついて詰まりの原因になります。紙に吸わせるか凝固剤で固めて、燃えるごみとして捨てましょう。

ガソリンやシンナー、アルコールなどの気化しやすいもの、農薬、殺虫剤は流してはいけません。下水管を傷めるうえ、気体になって爆発する危険もあります。

» トイレの正しい使い方

使用水量で決まる従量制の料金

下水道使用料は、使った水の量に応じて単価が変わる従量制です。料金は自治体ごとに違い、それぞれの運営費用をもとに決められています。

料金は水道の使用量をもとに計算します。基本使用料(一定の汚水排出量を含む)に、従量使用料と消費税を足したものです。

料金の目安は、次の表を参考にしてください。

使用水量従量使用料(1m³あたり)
1〜5立方メートル15円/m³
6〜10立方メートル18円/m³
11〜20立方メートル117円/m³

» 下水道と浄化槽の料金の違い

下水処理の仕組みに関するよくある3つの疑問

下水処理の仕組みに関する代表的な質問を、3つ取り上げます。

  • 下水の悪臭はどのように処理される?
  • 下水道の整備が遅れている地域はどうするべき?
  • 自宅でできる下水道トラブルの防止策は?

下水の悪臭はどのように処理される?

下水の悪臭は、次のような技術を組み合わせて処理します。

吸収(洗浄)法
水や薬液でにおいの成分を中和したり分解したりする方法です。装置がシンプルで費用を抑えやすく、細かい水滴やほこりも同時に取り除けます。
吸着法
活性炭ににおいの成分をくっつけて取り除く方法です。幅広いにおいに対応でき、信頼性も高い方法です。薬品を加えた添着活性炭も使われます。
燃焼法
高温でにおいの成分を燃やして分解する方法です。直接燃焼法や触媒燃焼法があります。コストは高いものの、強いにおいに効果があります。
バイオフィルター法
微生物をすみつかせた装置に臭気ガスを通して分解する方法です。中くらいから強いにおいまで対応でき、運転にかかる費用を抑えられます。
活性汚泥バイオリアクタ法
活性汚泥のタンクに臭気ガスを送り込み、微生物で分解する方法です。今ある設備を使えるので、設備費を抑えられます。
換気・希釈法
換気装置を付けて、においを新鮮な空気でうすめてから出す方法です。費用は安いですが、たくさんの新鮮な空気が必要です。

下水道の整備が遅れている地域はどうするべき?

下水道の整備には多くの費用と時間がかかるため、遅れている地域もあります。国土交通省は「下水道広域化推進総合事業」をつくり、お金と技術の両面で支援を進めています。

今ある下水道も老朽化が進み、取りかえや修理に多くの費用が必要です。優先度の高い地域には下水道を整備し、低い地域には処理能力が下水道と同じくらいで設置が早い浄化槽を導入します。

» 浄化槽の基礎知識

自宅でできる下水道トラブルの防止策は?

下水道のトラブルは、日ごろのちょっとした心がけで防げます。

排水口へ油脂や固形物を流さないようにしましょう。トイレ用掃除シートや分解しづらい製品も大量に流すと詰まりの原因になります。

» トイレの正しい使い方

キッチンや風呂場、洗面所の排水口にはネットを付けて、固形物が流れ込むのを防ぎましょう。排水口は定期的に掃除して、ごみを取り除くことも大切です。

そのほかに気をつけたい点をまとめます。

  • 使用済みの油は紙に吸わせ、燃えるごみとして捨てる
  • 排水口に細かいネットを付けて、食べ残しや野菜くずを流さない
  • トイレットペーパーは一度に大量に流さない
  • ティッシュや生理用品はトイレに流さない
  • 排水口にヘアキャッチャーを付けて、髪の毛を流さない
  • 排水口のぬめりは定期的に取り除く
  • 洗濯の前にポケットを確認し、小物を取り除く
  • 衣類の糸くずやペットの毛が排水に流れないよう注意する
  • 排水桝は定期的に掃除し、土や落ち葉を取り除く
  • ふたや排水管が壊れていないか定期的に確認する
  • 水回りは週1回を目安に掃除する
  • 排水の流れが悪いときは早めに対応する

まとめ

この記事では、下水道の仕組みを家庭から下水処理場までの流れに沿って解説しました。下水道は汚水処理や浸水防止にとどまらず、持続可能なエネルギー資源としても注目されています。

家庭の排水は公共汚水マスから下水道管を通って下水処理場へ運ばれます。下水処理場では沈砂池から汚泥の処理まで7つの工程で、水と汚泥を順番に処理します。

汚泥からつくるバイオガスは発電や熱供給に利用され、電力を生む技術が導入されています。電力コストの削減やCO₂の削減が期待でき、地域の環境への負担も減らせます。

老朽化や豪雨、財源、人材といった課題に対しては、AIやIoTで設備を見守る技術など新しい技術での対応が進んでいます。

家庭でも油脂や固形物を流さないなど、ちょっとした心がけで下水道のトラブルを防げます。下水道を正しく使って、大切なインフラを守っていきましょう。

» 生活排水問題について

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