
- 浄化槽とは?
- 浄化槽維持管理(メンテナンス)について
- 浄化槽清掃の重要性
- ブロワーの役割とは?
- 法定検査の重要性について解説
浄化槽とは、下水道が整備されていない地域や、今後も整備される見込みがない地域で水洗化を行う際に必要な設備となります。
さらに、「浄化槽の維持管理は法律で義務」付けられており、定期的なメンテナンスが不可欠です。
現在「浄化槽の維持管理についての理解不足が、数々の問題」を引き起こしています。
浄化槽の維持管理には定期的なメンテナンスや適切な使用方法が必要ですが、多くの方々がその重要性を理解していません。
その結果、不衛生な環境が生じ水質が汚染されることで、わたしたちの健康や生活環境に悪影響を及ぼします。
浄化槽の知識を持つことは、地球環境の保護や次世代への未来を考える上で非常に重要です。
以下の動画では、浄化槽の役割や適切な維持管理方法についてわかりやすく解説しています。
動画を見ることで、より理解を深めることができます。
浄化槽にはさまざまな種類があり、それぞれが独特の特徴を持っています。
自宅にはどの型式の浄化槽が設置されているかを把握し、「保守点検や清掃、法定検査を行うことは非常に重要」です。
浄化槽はわたしたちの日常生活に不可欠な設備であり、適切な維持管理によって、健康で快適な生活環境を維持しています。
本記事では、すでに浄化槽を利用されている方や将来導入を検討している方を対象に、浄化槽に関する基礎知識を詳細に解説しています。
浄化槽とは?汚水浄化処理施設の役割と特性

浄化槽の全体像
- 浄化槽は汚水の浄化を行う設備
- 合併処理浄化槽と単独処理浄化槽2種類がある
- 定期的に保守点検、清掃、法定検査が必要
- 法定検査は環境保全に貢献
浄化槽は、下水道設備が未整備の地域や、これからも整備が予定されていない地域で活躍している「汚水処理施設」です。
このシステムは家庭だけでなく、病院や学校、工場などの施設でも使用されており、生活排水の処理に不可欠です。
生活排水を無処理のまま放流すると、河川や海の生態系、環境に深刻な影響を及ぼします。
そのため、浄化槽は環境保全の観点からも極めて重要な設備といえます。
全国的な視野で見ると「浄化槽の普及率は約10%」とまだ低く、その重要性が十分に理解されていないのが現状です。
全ての排水を処理できる合併処理浄化槽の処理能力

家庭で使用される浄化槽には、「合併処理浄化槽」と「単独処理浄化槽」の2種類が存在します。
合併処理浄化槽は、家庭で発生する「全ての生活排水」を浄化処理する能力を持っています。
生活排水に含まれる汚れの量は、BOD(生物化学的酸素要求量)という指標で評価されます。
一般的に、「人間一人が一日に排出する汚れは約40g」とされています。
合併処理浄化槽は、生活排水中の有機物を微生物の働きによって分解し、浄化する役割を担っています。
この仕組みにより生活排水は安全に処理され、環境への悪影響を最小限に抑えることができます。
排水源 | BOD排出量 (g) |
---|---|
し尿 | 13 |
洗濯、お風呂 | 9 |
台所、洗面台 | 18 |
合併処理浄化槽は、「BOD除去率が90%以上」となっており、これにより「40gの汚れを4gまで減少する処理能力」があります。
BOD除去率とは、浄化槽が有機物をどれほど効率良く分解し、排水を浄化できるかを示す指標で、その値が高いほど浄化処理性能が高いことを示します。
合併処理浄化槽は高いBOD除去率を持つことから、生活排水中の有機物を効率良く浄化することが可能です。
その結果、環境負荷を大きく軽減することにつながります。
トイレの排水のみ処理する単独処理浄化槽
単独処理浄化槽は、「トイレの排水のみ」を対象として浄化処理します。
それは、「洗濯水や風呂、台所、洗面台からの排水は処理されず」、側溝や河川にそのまま放流されるということを意味します。
さらに、単独処理浄化槽のBOD(生物化学的酸素要求量)除去率は65%以上であることから、合併処理浄化槽に比べて処理能力が低いことがわかります。
排水源 | BOD排出量 (g) |
---|---|
し尿 | 5 |
洗濯、お風呂 | 9 |
台所、洗面台 | 18 |
単独処理浄化槽を使用している場合、約32gの汚れが処理されずに側溝や河川に流れ出てしまっています。
同一での使用条件を仮定すると、単独処理浄化槽では全体の約80%の汚水が処理されず放流されることになります。
単独処理浄化槽の使用は、環境に対する負荷が大きいということがわかります。
したがって、地域の環境を保全し快適な生活環境を維持する観点から、すべての生活排水を処理できる「下水道や、合併処理浄化槽」の使用が最適と考えられます。
単独処理浄化槽の問題と解決すべき課題
- 単独処理浄化槽は現在設置不可
- 合併処理浄化槽や下水道への接続を推奨
- 浄化槽に対する補助金制度の存在
単独処理浄化槽の処理能力には限界があるため、「平成13年の4月1日以降に新規に設置することは禁止」されています。
現在、新規に浄化槽を設置する場合、合併処理浄化槽の設置が必須となっています。
単独処理浄化槽を使用している家庭には、合併処理浄化槽への移行、または下水道への接続が推奨されています。
しかし、移行には高額な費用が必要となるため、なかなか移行が難しいというところではあります。
地域によっては浄化槽の設置や移行に補助金が提供されます。
自身が居住する地域の名前と「浄化槽補助金」を検索することで、具体的な情報を得られます。
例えば、最も小さなタイプである5人槽の設置については、地域によっては「数十万円の補助金が提供」されます。
汲み取り式トイレと浄化槽の共通点

汲み取り式トイレと浄化槽は全く異なるシステムなのに、これらが同じものと誤解されることが少なくないです。
汲み取り式トイレと浄化槽は別物です!
ただ、浄化槽と汲み取り式トイレには一つの「共通点」が存在します。
それは、どちらも「バキュームカー(衛生車)」を用いた汲み取り作業や浄化槽の清掃が必要となる点です。
都市部では下水道の普及により、浄化槽や汲み取り式トイレの使用がかなり少なくなりました。
しかし、地方ではこれらの設備が広く使用されており、バキュームカーも依然として活躍しています。
都市部でもアウトドアイベントや仮設トイレが必要な建設現場などでは、バキュームカーの需要は続いています。
したがって、バキュームカーの役割は今後も変わることなく必要とされていきます。
バキュームカーのニオイ問題
清掃作業中には、バキュームカーに装備された燃焼式脱臭器が働き、煙を発生させることでニオイを消します。
この際に発生する煙は、「おならのようなニオイ」がします。
「ニオイを消すために、なぜニオイが発生するのか?」と疑問に思うかもしれませんが、それには理由があります。
近年では、バキュームカーから発生するニオイも昔に比べて大幅に減少し、煩わしいニオイに悩まされる機会も少しずつですが減ってきています。
バキュームカーの燃焼式脱臭器によるニオイの軽減は、作業現場やその周辺の環境への影響を最小限に抑えるための重要な仕組みです。
下水道と浄化槽のニオイ問題
下水道や浄化槽を使用している場合に、ニオイが発生することがあります。
流しているものがものだからです。
下水道は浄化槽と比べても完全に無臭ではありませんが、ニオイの発生は少ないといわれています。
浄化槽には数か所のマンホールがあり、これらがヒビや欠けでしっかり閉じていない場合、または使用状況や経年劣化から、ニオイが発生しやすくなります。
「浄化槽は下水道よりもニオイが出やすい」というのは本当です。
しかし、浄化槽の適切な維持管理とメンテナンスを行えばニオイの発生は抑制できます。
保守点検、清掃、法定検査の重要性

浄化槽を所有している方には、以下の「3つの重要な義務」があります。
- 保守点検
- 浄化槽清掃
- 法定検査
1. 保守点検
国家資格を持つ「浄化槽管理士」が実施します。浄化槽の動作状況や異常の有無を確認し、必要に応じて調整を行います。
2. 浄化槽清掃
定期的に行うことが必要です。この作業は、汚泥の除去、詰まりの防止、およびニオイの抑制を目的としています。
3. 法定検査
規定の講習を受講した検査員が、浄化槽の機能、管理状態、および水質が適切な基準を満たしているかを確認します。
下記の動画では、これらの義務についてわかりやすく説明しています。
浄化槽は定期的なメンテナンスが必須で、「保守点検の重要性は極めて高い」といえます。
適切な維持管理が欠けた浄化槽は、ただの汚物蓄積タンクに変わってしまいます。
その結果、環境への負荷が大きくなってしまいます。
適切な維持管理を継続することにより、浄化槽はその機能を持続的に発揮し、環境への影響を最小限に抑えることが可能となります。
保守点検の内容
- 害虫の駆除
- 消毒剤の補充
- 水質の検査
- 浄化槽内部の漏水及び装置の確認
- 機械やブロワーの動作確認

浄化槽管理士の役割と重要性
浄化槽管理士は、日々の点検とメンテナンスを通じて、浄化槽の水質改善において重要な役割を果たしています。
多種多様な浄化槽に対して、それぞれの型式にあった適切な点検を行い、必要に応じて調整や修理を行います。
専門知識と豊富な経験を駆使し、浄化槽が効率良く動作を維持しつつ、環境への影響を最小限に抑える仕事を行っています。
浄化槽管理士の存在は日常生活を保護し、地球環境の維持に対して非常に重要です。
人間の健康と同じように、浄化槽も「早期に問題を発見し、対処することで修理費用を最小限に抑える」ことができます。
私自身、浄化槽管理の仕事を通じて、十分な維持管理が行われていない浄化槽を目の当たりにすることがしばしばあります。
物を放置しておくと、埃や汚れが溜まり、サビが発生しますよね。
それと同じく、日々の生活で使用する浄化槽も定期的なメンテナンスが必要となります。
消毒剤の不足やブロワーの故障はよく見られる問題で、これらを見逃すと浄化槽が詰まるリスクがあります。
また、適切に処理されていない水が周围の環境に影響を及ぼします。
環境保護に資する維持管理の重要性

点検や清掃の際に何か異常が見つかったとき、お客様から「点検しているのになぜ異常が出るのか?」といった疑問の声をいただきます。
なんで点検も、清掃もしているのに異常が起きるの?
お気持ちわかります。
他のことに例えるとわかりやすいと思うので、例文を2つ用意しました。
例①:車のメンテナンスを考えてみましょう。車検を通過しても、その後数日で予期せぬ問題が発生することは全く珍しくありません。
同様に、浄化槽も定期的な点検や清掃、法定検査を受けていても、異常が起きる可能性はあります。
例②:毎日病院に通っていても、それだけでは病気や怪我を完全に防ぐことはできません。
しかし、定期的に通院すれば、病気や怪我の早期発見が可能になります。
このように、浄化槽も定期的な維持管理を行うことで、異常を早期に捉え、それによって発生する費用や被害を最小限に抑えることができます。
浄化槽管理士の使命は正確なアドバイスを提供し、問題解決に至ることです。
多くの方は浄化槽や下水道などの設備について深い知識を持っていないことが多いため、問題に気づかないことがよくあります。
そして問題が放置されると、より深刻な状況へと悪化してしまいます。
私たちの役目はお客様が安心して日常生活を過ごせるよう、問題の解決に向けて全力で取り組むことです。
絶滅の危機!ホタルや川魚の数が減少?

かつては、わたしたちの身近に存在したホタルや川魚を見ることができる環境が、今では少なくなってしまいました。
ホタルや川魚は清らかな水環境を好む生物であり、生息地の減少は水質の変化を示しています。
浄化槽の維持管理が行われていないと、環境全体に大きな影響を与えることになります。
下記の動画では、浄化槽の維持管理が環境になぜ重要なのかについて解説しています。
地域による保守点検回数の違い!
浄化槽法の第10条により、浄化槽の「保守点検は年間に少なくとも3回以上」実施することが義務付けられています。
しかし、年間3回の点検だけでは異常対応や消毒剤の管理が十分に行えないことがあるため、年間4回以上の点検を実施することが推奨されています。
点検の頻度としては年間3回が最低限と定められていますが、上限については特に明記されていません。
地域や浄化槽の種類によって頻度は異なります。
具体的には毎日点検や年間6回の点検、あるいは月1回の点検を行っている地域も見受けられます。
汚泥引き抜き作業の重要性と効果

浄化槽法によって、基本的には「浄化槽の清掃は年に最低1回以上行うこと」が求められています。
しかし、浄化槽の型式により清掃頻度は異なる場合があります。
例えば、単独処理浄化槽の一種である全ばっき型は、容量が比較的小さいため、半年に1回以上の清掃が必要とされています。
動画は実際の全ばっき型浄化槽です。
清掃しないと起こる問題
- 浄化槽の機能が低下する
- ニオイや汚れの流出が起こる
- 装置の故障や近隣への迷惑が生じる可能性がある
- 法律違反や問題の遅れた発見がリスクとなる
浄化槽の管理では、「堆積汚泥」という指標が非常に重要となります。
この指標は、槽内に蓄積した汚泥やスカムの量を示し、清掃が必要なタイミングを判断できます。
浄化槽の型式により、堆積汚泥の基準量が定められています。基準を超えた場合、清掃が必要となります。
清掃を怠ると浄化槽の機能が低下し、ニオイが発生したり、槽内の装置が損傷するリスクが高まります。
したがって、適時の清掃は非常に重要です。
以下の動画では、堆積汚泥について詳しく解説しています。
「堆積汚泥測定器の詳しい作成方法」は以下の動画で解説しています。
汚泥の蓄積が引き起こすガス発生のリスク
槽内では汚泥が蓄積されると、メタンや亜硝酸性窒素などの「温室効果ガスが発生」します。
保守点検や清掃を怠ると、これらのガスが浄化槽内に溜まり、「ろ材」を押し上げ、槽の破損の一因となります。

蓄積された汚泥の重量により、ろ材を保持しているネットが耐え切れず、ろ材が外れたり、ネット自体が破れる可能性があります。

これらの問題は、定期的な保守点検や清掃を通じて予防することが可能です。
ガス抜きを実施しないと槽内の装置が壊れる!
下の動画では実際にガス抜き作業を行なっています。
ろ材の性能が低下すると、浄化槽の処理能力もそれに伴い下がります。
修理が必要な場合、費用が10万円を越えることも珍しくありません。
定期的なメンテナンスを行うことで浄化槽の寿命を延ばすことができます。
清掃によって槽内を目視確認できる

浄化槽清掃は、単に汚泥を取り除くだけではなく、通常の点検では「確認できない部分を直接視認」する機会でもあります。
これにより、問題が発生する前に異常を発見し、適切な対策を取ることが可能となります。
使用頻度や汚れの蓄積によって、浄化槽の清掃の頻度は変わります。
例えば、使用が少なく汚れの蓄積が少ない場合、「2年に1回の清掃」を許容することもあります。
しかし、使用頻度が高く、汚れが大量に蓄積する場合は、「1年に1回以上」の清掃が求められます。
これは、浄化機能を正常に保つための絶対的な条件となります。
浄化槽清掃に必要な知識と技術

浄化槽には、1槽、2槽、ばっ気槽など、異なる機能を持つ槽があります。
1槽目に位置する「沈殿分離槽」では、固形物と液体が分離される役割を果たしています。
底部には、水より重い汚泥や食べ残しが蓄積されるのに対し、上部にはガスや水より軽いゴミ、油脂類などの「スカム」が集まります。
浄化槽を使用していると、汚泥やスカムが次第に蓄積されます。
下の動画ではスカムについて解説しています。
浄化槽清掃のベストタイミングは?
浄化槽の「汚泥やスカムの蓄積」は、一年間を目安として設定されています。
この期間を過ぎると、汚泥が外部に流出するリスクが高まるため、定期的な清掃が不可欠です。
最近の合併処理浄化槽はコンパクトな設計となっており、使用状況に応じては一年未満で汚泥が槽いっぱいに溜まることもよくあります。
環境を守る観点から汚れの状態を確認し、清掃の頻度を調整することががとても重要です。
汚れの量に合わせて清掃回数を増やそう!
清掃をする際に使用する車が「バキュームカー(衛生車)」を用います。
バキュームカーに乗っていると、初心者の方によくいわれることがあります。
ホースを突っ込むだけで吸引できるんでしょ?簡単そうだね。
それほど単純ではありません。
下記の動画では、実際の浄化槽清掃の様子をご覧いただけます。
バキュームカーの操作自体は国家資格が無くても可能ですが、「浄化槽清掃技術者」のような国家資格が存在するだけあって、「浄化槽の清掃には専門的な知識と技術が必要」です。
経験の浅い方と、熟練の技術者では清掃の仕上がりには大きな差が出ます。
信頼できる浄化槽管理業者の選び方!

良い会社の特徴
- 即時対応:お客様の問い合わせや要望に迅速に対応し、信頼と満足度を向上させます。
- 丁寧なサービス:スタッフは礼儀正しく、細やかな対応でお客様との信頼関係を築きます。
- 安定した人材育成:定着率の高さでサービスの品質を保ち、組織の成長をサポートします。
多くの浄化槽管理会社が存在し、それぞれが異なる料金設定を行っています。
お客様からすると、低価格の会社が魅力的に見えるかもしれませんが、それが必ずしも最善の選択とは限りません。
料金が安いとスタッフの対応が遅くなったり、接客態度が劣ったりすることがあるからです。
これは、適切な業務運営が行われていないためで、結果的にサービスの品質が低下する可能性があります。
また、「担当者が頻繁に入れ替わる会社」は避けた方が良いです。
良質な会社では、従業員の定着率が高いのが特徴で、これがお客様に安心感を与えます。
信頼できる業者と契約しましょう。浄化槽は重要な資産です。
浄化槽維持管理費用の相場
浄化槽の清掃費用は、「地域や浄化槽の容量」によって異なります。
一般的に、5人用という最小容量の浄化槽の清掃には、「約20,000円前後」が目安となることが多いです。
ただし、業者や地域によって具体的な費用には差がありますので、実際に清掃を依頼する前に、費用を確認することをおすすめします。
私の家は3人家族なのになんで7人槽なんだろう?
浄化槽の保守点検と清掃の料金を合わせて考えると、年間においておよそ4万円程度が必要となります。
これを一年間の365日で平均化すれば、一日あたり約109円がその費用となります。
さらに、法定検査の料金やブロワーの電気代など、他の経費も加味する必要があります。
浄化槽や下水道の排水処理にかかる費用は、いずれにせよ避けられない経費といえるでしょう。
ブロワーとは?微生物の生命維持装置

- 酸素を微生物へ供給
- 微生物の活動を促進するために空気を供給
- 故障すると、ニオイの原因になる
- 故障が起きると、水質の悪化が懸念される
- 返送管と移送管への空気供給
汚水の浄化は、微生物が有機物(汚れ)を分解するメカニズムに基づいています。
この過程で、微生物は成長し汚泥が形成されます。
汚泥はその重さから底部に沈む特性を持っています。
沈降した汚泥は「汚泥返送配管」を通じて、初めの槽に戻される仕組みになっています。
このサイクルにより、汚泥が外部に流れ出すことを防いでいます。

微生物には、酸素が必要な「好気性微生物」と、酸素を必要としない「嫌気性微生物」の2種類が存在します。
好気性微生物は酸素を必要とするため、酸素を供給する役割を果たすのが「ブロワー」です。
ブロワーが故障し酸素の供給が途絶えると、好気性微生物が死滅し、浄化処理が効率的に進行できなくなります。
その結果、水質が悪化しニオイが発生する原因になります。

ブロワーが停止すると、散気管や吹き出し口に汚れが詰まり、空気が正常に供給されなくなります。

詳細は以下の動画で説明しています。
嫌気性微生物は、第一槽と第二槽で有機物を分解し、「二酸化炭素やメタンなどのガス」を生成します。
対照的に、好気性微生物は主に有機物を「二酸化炭素、水、窒素など」に分解します。
維持管理を支える法定検査の役割

お客様から多い質問の一つは、「7条検査」と「11条検査」とは何ですか?というものです。
7条検査
7条検査は、浄化槽を設置してから使用を開始し、その後「3ヶ月を経過した日から始まり、5ヶ月間以内」に一度だけ検査を実施するものです。
この検査では、浄化槽が適切に設置されているか、水の流れが正常であるかなどを確認します。
11条検査
これは「年1回必ず実施する検査」です。
検査では、浄化槽が適正に機能しているか、管理業者が点検や清掃を適切に行っているかなどを確認します。
以下の3つを覚えていてください。
快適な環境を守るための共同生活のルール

「保守点検」、「浄化槽清掃」、「法定検査」これらが組み合わさることで、「浄化槽維持管理」が成り立ちます。
点検や検査がなぜ何回もあるの?
皆さんの気持ちは私にも十分理解できます。
私自身、自宅の浄化槽については定期的な点検や清掃は自分で行いますが、法定検査については専門家に委託しています。
例えば、自分で車のメンテナンスができる方でも、車検は専門の検査機関で行いますよね。
同じく、浄化槽の適切な維持管理においても、法定検査は欠かすことができません。
「法定検査を受けない」という選択は、環境保全に対する責任を放棄することにつながります。
「法定検査は不要」と主張する方々は、恐らく浄化槽の適切な維持管理についての理解が不足しているか、もしくは独自の観点からそのように考えているかもしれません。
一人ひとりが浄化槽の管理者として適切な維持管理を実施し、環境保全に貢献する必要があります。
法定検査は2重取りだ!受ける意味あるの?
お客様から頻繁に寄せられる疑問に、「二重取りになっていないか?」、「法定検査を受ける意味は何なのか?」といったものがあります。
法定検査とは、「第三者の視点から浄化槽が適切に機能・管理されているか、水質基準を満たしているか、定期的な清掃や保守点検が行われているかを確認する」ことを目的とした検査です。
これは、保守点検や清掃とは異なる役割を果たし、それぞれが重要な意義を持っています。
法定検査の結果を通じて、依頼した業者が業務を適切に遂行しているかどうかを検証できます。
これは、信頼できる業者を選ぶための重要な指標となります。
浄化槽の適切な維持管理には、「保守点検、清掃、法定検査が不可欠」です。
そのため、法定検査で適正という評価を受けることは非常に重要なことといえます。

まとめ

浄化槽を利用する方にとって維持管理は必須です。
定期的に行う保守点検や清掃、そして法定検査を通じて、浄化槽の機能を最適に活用し、汚水を効果的に浄化することが可能となります。
このような維持管理の取り組みが、快適な生活や水環境の保全に貢献しています。
そのため、浄化槽の基本的な知識については、多くの方に理解していただきたいと考えています。
さらに、浄化槽関連の専門家や関心を持つ方々のために、LINEオープンチャットを提供しています。
浄化槽管理士の資格を取得したい方や、それを検討中の方は、ぜひこのチャットルームに参加ください。
現在、150名を超える経験豊かな管理士が在籍しており、有益な情報交換が日々行われています。
底部には「堆積汚泥」、上部には「スカム」と呼ばれる浮きカスの層が溜まります。