
浄化槽は生活排水を処理するうえで欠かせない設備です。漏水が発生すると槽内の水位が低下し、浄化処理が正常に行えません。
汚水が外部に漏れると環境への悪影響も懸念されます。この記事では漏水の原因や修理方法、よくある質問について解説します。
漏水の原因と水位低下

漏水の原因には、経年劣化や地盤変化、地震などが挙げられます。槽内の水位が変動している場合は、漏水の可能性が高いです。経年劣化では、接合部のずれや槽内の亀裂が主な原因です。
設置から長期間が経過した浄化槽では、微細な亀裂が徐々に広がり漏水を引き起こします。地盤変化では、地震や豪雨後に地盤沈下が発生し、浄化槽にひずみを生じさせます。

漏水を早期発見するには、保守点検が必須です。浄化槽の稼働には一定の水量が必要で、水位低下が確認された場合は対応が必要です。
漏水修理を行うか、合併処理浄化槽や下水道への転換を検討しましょう。
沈殿分離槽の汚泥引き抜き

漏水修理を行う前に、槽内の汚泥を引き抜き清掃します。作業は槽内に入って修理や漏水箇所を確認するために必須です。
仕切り板の破損

仕切り板の破損により、ばっ気槽の水が沈殿槽へ漏れていました。沈殿分離が正常に機能せず、浄化槽全体の処理能力が低下します。
清掃後の沈殿分離槽とばっ気槽内


浄化槽のクラック

小さなクラックを発見。亀裂から汚水が漏れ、水位が低下している状態です。

サンディングからFRP補修

クラック周辺をグラインダーでサンディングして汚れを除去し、FRP樹脂が付着しやすい状態に整えます。FRP補修の利点は、強度向上と耐久性の確保です。

FRP樹脂は水や薬品への耐性が高く、浄化槽でも長期間性能を維持します。ガラスマットを重ねてクラック周辺を均一に補強します。

FRP樹脂とガラスマットを用いてクラック部分を補修。樹脂が完全に硬化するまで十分な時間を確保し、強度を高めます。
作業完了後に水張りの確認

FRP樹脂の硬化後、槽内の状態を確認。

水張り後のばっ気槽です。

修理後は水張りを行い、浄化槽の動作確認を実施します。沈殿分離槽とばっ気槽が正常な状態に戻りました。
浄化槽漏水に関するよくある質問

- 漏水を放置するとどうなりますか?
- FRP補修はDIYでできますか?
- 漏水修理の費用はどのくらいですか?
漏水を放置するとどうなりますか?
漏水を放置すると浄化機能が低下し、生活排水を適切に処理できなくなります。その結果、周囲の土壌や地下水が汚染されます。
浄化槽本体の損傷が広がると、修理費が増加し、場合によっては合併処理浄化槽への入れ替えが必要になることもあります。
FRP補修はDIYでできますか?
FRP補修はDIYでも可能ですが、専用の材料と技術が必要です。施工を誤ると、修理箇所の損傷や処理機能の低下を招きます。
補修は浄化槽内部で行うため、安全対策も欠かせません。確実かつ安全に補修するには、専門業者への依頼が適しています。
漏水修理の費用はどのくらいですか?
漏水修理の費用は、修理内容や浄化槽の状態によって異なります。
小規模なクラック補修でも約10万円かかります。大規模な損傷や交換が必要な場合はさらに高額になります。修理は専門技術が必要で、汚泥が残る槽内での作業となるため、この費用は妥当な金額です。
費用を抑えるには、定期点検を実施し、漏水を早期に発見・修理することが重要です。
まとめ

浄化槽の漏水は、経年劣化や地盤の影響によって発生します。漏水を放置すると被害が拡大するため、早期の修理対応が重要です。
浄化槽の正常な稼働を維持するには、維持管理が欠かせません。点検や修理は専門業者に依頼しましょう。