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浄化槽は、下水道が整備されていない地域で使用され、各家庭で排水を浄化します。一方、下水道は自治体が管理し、地域全体の排水を集めて処理するシステムです。
どちらも家庭排水を浄化する役割がありますが、仕組みや費用には大きな違いがあります。
本記事では、浄化槽と下水道の仕組みや費用の違いについて解説します。
浄化槽と下水道の違いを理解し、地域や家の状況に応じてどちらが適しているか判断できる知識を身につけましょう。
浄化槽と下水道の仕組みと違い

浄化槽と下水道の仕組みと違いは以下のとおりです。
- 浄化槽の仕組み
- 下水道の仕組み
- 浄化槽と下水道の違い
浄化槽の仕組み
浄化槽は下水道が整備されていない地域で設置され、家庭からの排水を浄化して側溝や河川に放流する設備です。
建物の付帯設備として敷地内に埋設されており、大きさは乗用車1台分ほど。
2000年以前は、トイレの排水のみを処理する単独処理浄化槽が主流でした。
2001年以降、単独処理浄化槽の設置が禁止され、現在ではすべての生活排水を処理する合併処理浄化槽が主流です。
下水道の仕組み
下水道は、家庭からの排水を埋設された下水道管を通じて終末処理施設に集め、集中的に浄化処理を行います。
下水道は主に人口密度の高い地域で整備されています。
浄化槽と下水道の違い
浄化槽と下水道は、排水をきれいにする設備という点で共通していますが、規模に違いがあります。
浄化槽は家庭ごとに排水を浄化する小規模な設備です。
下水道は各家庭からの排水を下水道管で集め、終末処理施設で浄化する大規模な集合処理型です。
浄化槽は各家庭が管理しますが、下水道は下水道管と終末処理施設を自治体が管理します。
個人の敷地内の配管は、個人が管理する必要があります。
浄化槽と下水道の設置料金

浄化槽と下水道の初期費用は以下のとおりです。
- 浄化槽の設置費用
- 下水道の接続費
浄化槽の設置費用
一般家庭の5人槽の合併処理浄化槽の設置費用は、100〜150万円が目安です。
費用は土地の延べ床面積や選ぶ工事業者によって異なります。
下水道の接続費
下水道に接続可能になると、自治体から土地の所有者に受益者負担金が請求されます。下水道建設費の一部を土地所有者が負担するものです。
また、家庭の排水を下水道管に流すための接続工事も別途必要で、費用がかかります。受益者負担金は1㎡あたり300〜500円です。
新潟市では、100㎡の土地に対して100㎡×300円=30,000円が必要です。接続工事費は30〜80万円かかります。
浄化槽のメンテナンスと費用

浄化槽を設置した後のメンテナンスと費用は以下のとおりです。
- 保守点検・清掃・法定検査
- 浄化槽を利用する際の維持管理費用
- 浄化槽故障時の修理費用
保守点検・清掃・法定検査
浄化槽の管理者(持ち主)には、浄化槽法で定められた3つの義務があります。
保守点検・清掃・法定検査です。維持管理を怠ると法令違反となるだけでなく、浄化槽の処理性能が低下し、浄化槽本体の寿命も縮めます。
浄化槽を利用する際の維持管理費用

住んでいる地域によって金額は異なります。
浄化槽を利用する際の維持管理費用は以下の表を参考にしてください。
維持管理費用 | |
維持費合計 | 35,000円〜100,000円 |
保守点検費用 | 15,000〜30,000円 |
清掃費用 | 20,000〜50,000円 |
法定検査(11条検査) | 5,000円 |
電気代(ブロワーや放流ポンプ) | 10,000〜30,000円 |
浄化槽故障時の修理費用
浄化槽の耐用年数は約20〜30年です。
設置後30年を経過しても使用可能な事例が多く報告されています。ブロワーやポンプなどの付帯設備は5〜10年が目安です。
浄化槽の故障や部品交換は避けられません。漏水修理は10万円以上、部品交換でも数万円かかります。
浄化槽は365日24時間稼働しているため、故障した場合はすぐに修理が必要です。
急な故障を防ぐためにも、定期的な点検や清掃を行いましょう。
下水道のメンテナンスと料金

下水道へ接続した後のメンテナンスと費用は以下のとおりです。
- 下水道のメンテナンス体制
- 下水道の使用料金の相場
下水道のメンテナンス体制
下水道設備のメンテナンスは自治体が行います。下水道使用者は接続後、下水道使用料を支払う以外の費用はかかりません。
ただ、個人の敷地内にある配管は個人で管理する必要があります。
配管が破損した場合、修理費用は自己負担となりますが、メンテナンスは不要です。
下水道の使用料金の相場
下水道使用料は水道の使用量にもとづいて計算されますが、1㎥あたりの単価は自治体によって異なります。
使用料は2か月に1回請求され、1㎥あたりの単価は約200〜500円です。使用量が増えると単価も上がる仕組みです。
以下の表は、新潟市における2か月分の下水道使用料金の例です。
世帯人数 | 水道使用量 | 下水道使用料金 |
1人世帯 | 13.3㎥ | 2,618円(税込) |
4人世帯 | 53.0㎥ | 8,404円(税込) |
浄化槽か下水道、どっちを選ぶべき?

浄化槽か下水道、どっちを選ぶべき?以下を参考にしてください。
- 土地の条件と法規制
- 設置と維持にかかる費用の比較
土地の条件と法規制
浄化槽と下水道のどちらを利用するかは、住んでいる土地で決まっているため個人が選ぶことはできません。
下水道は自治体が整備計画に基づいて設置します。
下水区域内の家は浄化槽を使っていても、下水道が利用可能になれば速やかに接続する必要があります。
下水道の計画区域外では、下水道を利用できません。
新築を検討している方は、浄化槽と下水道の仕組みや料金の違いを理解した上で選択が重要です。
設置と維持にかかる費用の比較
浄化槽と下水道の設置費用は敷地の広さ、維持費用は世帯人数によって異なります。
浄化槽の設置費用は敷地の広さには影響されませんが、下水道の設置費用(接続費)は敷地が広いほど高くなります。
浄化槽の維持費用は、1人世帯でも5人世帯でも変わりません。一方、下水道の維持費用(下水道使用料)は水道使用量に基づいているため、世帯人数が増えると費用も高くなります。
新潟市のケースを表にしました。以下を参考にしてください。
詳細 | |
土地面積 | 50坪(165.3㎡) |
世帯人数 | 2人 |
浄化槽・下水道設置費 | 1,000,000〜1,500,000円 |
下水道受益者負担金 | 49,590円 |
接続工事費 | 300,000〜500,000円 |
浄化槽維持管理費(年間) | 47,000〜92,000円(1人当たり23,500〜46,000円) |
下水道使用料 | 22,440円(1人当たり11,200円) |
詳細 | |
土地面積 | 100坪(330.6㎡) |
世帯人数 | 5人 |
浄化槽・下水道設置費 | 1,000,000〜1,500,000円 |
下水道受益者負担金 | 99,180円 |
接続工事費 | 500,000〜800,000円 |
浄化槽維持管理費(年間) | 47,000〜92,000円(1人当たり9,400〜18,400円) |
下水道使用料 | 65,340円(1人当たり13,068円) |
まとめ

浄化槽と下水道は、家庭排水を浄化処理し、川や海へ流す役割を果たします。浄化槽は各家庭の敷地内で排水を処理する設備です。
下水道は地域全体の排水を集め、集中処理施設で処理します。
浄化槽や下水道の利用は、個人の選択ではなく、自治体の下水道整備計画に従って決まります。
下水道が整備された地域では、浄化槽を使用している家庭も下水道への接続が必要です。
費用面では浄化槽の設置費用は高額ですが、維持費は年間契約で一定です。
使用人数が多いほど1人あたりの費用は割安になりますが、定期的な維持管理が必要になります。
多くの地域で浄化槽は補助金が提供されており、実際の費用はさらに抑えられます。
下水道は接続費用や使用料が高額になります。メンテナンスは自治体が行うため、使用料を支払うだけメンテナンス等の手間はかかりません。
新築や家を探す際は、両者の違いを理解しておきましょう。