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トイレの汚水がどこへ行くか、ご存知でしょうか?汚水は便器から排水管を通り、浄化槽や下水処理施設へ運ばれます。
処理場で汚水は浄化され、きれいな水となって側溝や川、海へ放流されます。汚れた水を浄化して自然に戻し、再利用可能な状態にすることが重要です。
本記事では、トイレの汚水が流れる仕組みや処理の過程、最終的な行き先について解説します。
トイレの汚水はどう処理される?排水管から自然に戻るまで

汚水が排水管を通り建物の外へ出るまでの流れは、以下のとおりです。
- 排水管の構造
- 自然に戻る流れ
- トラップや臭気対策
排水管の構造
トイレの汚水は、便器内の排水管を通り、宅内配管を経て屋外配管へ流れます。排水がスムーズに流れるには、十分な水量が必要です。
節水型トイレが詰まりやすい理由は、水量不足による排水管内の流れの悪化です。使用時には、設置環境や配管状況を確認しましょう。
排水管から自然に戻る流れ
トイレの水を流すと汚水は目の前から消えますが、四次元ポケットのようになくなるわけではありません。
汚水は浄化設備や下水処理場で適切に処理され、きれいな水として自然界へ戻されます。
仕組みを理解し、正しい使い方を心がけることは、快適な生活を維持しながら環境を守るために重要です。
トラップや臭気対策
便器内部の曲がりくねった排水管は「トラップ構造」と呼ばれます。
トラップとは便器に水を溜め、排水管のふたとして機能します。
トラップ内の水は、臭気や害虫の侵入を防ぐ役割です。
長期間使用しないと水位が低下し、臭気が上がる場合があります。未使用のトイレでも定期的に水を流して水位を保つことが大切です。
くみ取りや式や浄化槽、下水処理場での処理方法

くみ取り式や浄化槽、下水処理場での処理方法は以下のとおりです。
- くみ取り式便所はタンクに貯める構造
- 浄化槽で汚水を分解処理する
- 下水道は汚水を一括で処理する
くみ取り式便所はタンクに貯める構造
くみ取り便所は、し尿を「便槽」というタンクに貯める構造です。くみ取り便槽では生活排水は処理できないため、未処理のまま外部に放流している現状です。
便槽に溜まった汚物は、許可を受けたくみ取り業者がバキュームカーで収集します。
回収後、自治体運営の処理場で適切に処理されます。
浄化槽で汚水を分解処理する
浄化槽は家庭の敷地内に設置され、トイレや生活排水を処理する設備です。微生物の働きで汚物を分解・浄化します。
単独処理浄化槽はトイレの汚水のみを処理可能です。生活排水は未処理のまま側溝や水路へ放流されます。一方、合併処理浄化槽はトイレの汚水と生活排水を一括処理でき、現在主流となっています。
浄化槽は乗用車1台分ほどの大きさのコンパクトな処理装置です。処理された水は側溝や水路を通って川や海へ流れます。
下水道は汚水を一括で処理する
家庭で使用した汚水は、道路下の下水道管を通じて下水処理場に運ばれます。
処理場では地域全体の汚水を集め、浄化処理を行います。処理後の水は川や海へ放流されます。水の循環は水資源を守る重要な活動です。
下水処理では、微生物を利用する生物学的処理と薬品を使う化学的処理を組み合わせ、水を安全で清潔な状態に戻します。
近年、処理済みの水を再利用する取り組みが進んでいます。
トイレに流せるもの・流してはいけないもの

トイレに流せるものと流してはいけないものは、以下の内容を参考にしてください。
- 排水管の詰まりの原因になるものを流さない
- 浄化槽・下水道処理に悪影響を及ぼすものを流さない
排水管の詰まりの原因になるものを流さない
トイレに流していいのは、排泄物とトイレットペーパーだけです。
ティッシュペーパーやおむつ、生理用品は流さないでください。
トイレットペーパーは水に溶けやすい構造です。ティッシュペーパーは溶けにくく、排水管を詰まらせる原因になります。
流せるお掃除シートも流せると表記されていますが、詰まりを防ぐため、流さないようにしましょう。以下の実験動画をご覧ください。
おむつや生理用品は吸水性が高く、排水管内で膨らみます。
詰まりの原因になるため、流さないでください。注意すべきものは以下のとおりです。
- ティッシュペーパー
- お掃除シート
- 猫砂
- 食品残し(骨や食べかすなど)
- 固形物
- 油
浄化槽・下水道処理に悪影響を及ぼすものを流さない
生活排水は浄化槽や下水処理場で処理されますが、処理場に悪影響を及ぼすものは流さないようにしましょう。
ペットの糞(犬や猫など)はトイレに流さず、自治体のルールに従い、可燃ごみとして処分してください。トイレの処理施設は人のし尿を基準に設計されており、ペットの糞は適切に処理できません。
浄化槽や下水道の詰まりや機能低下を招く異物も流さないことが大切です。
環境への影響と持続可能な取り組み

環境への影響と持続可能な取り組みについて、以下にまとめました。
- 汚水処理の重要性
- 下水再生水の利用の推進
汚水処理の重要性
汚水には多くの有機物や病原菌が含まれています。
病原菌が広がり感染症が蔓延する恐れがあります。下水道や浄化槽が整備される以前には、問題が繰り返し発生していました。
汚れた水を放流すると、川や海が汚染され、水質が悪化します。
私たちの生活環境にも深刻な影響を及ぼします。
健康で快適な生活を守るために、汚水処理は欠かせない取り組みです。
下水再生水の利用の推進
下水再生水とは、下水処理場で浄化処理され、水質基準を満たした水のことです。
下水処理場では大量の下水を集中して処理するため、大量の下水再生水が発生します。
処理水は水資源を有効活用するため、以下の用途で利用されています。
- 修景用水(公園の噴水の水など)
- 大型施設でのトイレ水洗用
- 工業用水(冷却用水)
トイレに関するよくある質問

トイレに関するよくある質問については、以下をご参照ください。
- 浄化槽と下水道の違いは?
- トイレで流してはいけないものは?
- トイレの詰まりを防ぐ方法は?
浄化槽と下水道の違いは?
浄化槽は各家庭の敷地内で汚水を浄化する個人所有の設備です。
一方、下水道は地域全体の汚水を集め、まとめて処理する自治体管理のインフラ設備です。
どちらも汚水を浄化する役割を担いますが、仕組みや規模、管理者が異なります。
トイレに流してはいけないものは?
トイレに流してはいけないものは、主に次の2つです。
- 詰まりの原因となる水に溶けないもの(ティッシュペーパーやお掃除シート)
- 浄化槽や下水処理場に悪影響を及ぼすもの(ペットの糞や多量の洗剤)
トイレの詰まりを防ぐ方法は?
便器付近の配管は構造が複雑で詰まりやすいため、以下の点に注意しましょう。
- 1度に大量のトイレットペーパーを流さない
- トイレットペーパー以外のモノを流さない
- トイレを使用する際はこまめに流す
まとめ

排水管の詰まりを防ぎ、浄化槽や下水処理場の機能を維持するには、流してよいものと悪いものを理解しましょう。
ペットの糞や異物を流さないことで、トラブルを未然に防ぎ、修理費用の負担を軽減できます。
浄化された水を再利用可能な状態で自然に返す仕組みは、地球環境の保護において不可欠です。
私たち一人ひとりがトイレの使い方を見直し、日々の小さな行動を積み重ねることで、環境保全に貢献できます。
身近な行動から意識を高め、快適な生活とより良い地球環境を目指しましょう。