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浄化槽を設置した方の中には、「保守点検では何をするのか」「費用はどれくらいか」と不安に感じる方も多いです。
下水道とは違い、浄化槽には定期的な保守点検が法律で義務づけられています。点検内容や頻度を知らずに放置すると、思わぬトラブルや追加費用につながります。
この記事では10年以上の現場経験を持つ浄化槽管理士が、保守点検の内容について解説します。
記事を読むと、浄化槽を長く安心して使うための管理方法がわかります。定期的な保守点検は、故障を防ぎ維持費を抑えることにつながります。
保守点検とは?浄化槽の機能を保つための定期作業

浄化槽の保守点検について、以下の4点を解説します。
- 保守点検が必要な理由
- 浄化槽法で決められた義務
- 保守点検の頻度
- 保守点検と法定検査の違い
保守点検が必要な理由
保守点検は、浄化槽の機能を保つために欠かせない作業です。
浄化槽は微生物の働きで汚水をきれいにします。そのため微生物が活動しやすい環境を保つことが大切です。
保守点検や清掃を定期的に行えば、異常を早く見つけられます。トラブルを防ぐことにもつながります。
運転状況の確認やブロワーなどの機器の点検は、浄化槽を動かし続けるために必要です。
浄化槽法による管理者の義務
浄化槽法は、浄化槽の設置・保守点検・製造に関するルールを定めた法律です。排水を正しく処理して、暮らしの環境や人々の健康を守ることを目的としています。
浄化槽は下水道と同じくらいの処理能力を持ちます。
しかし維持管理をしなければ、汚水を十分にきれいにできません。法律を守り、維持管理をしっかり行いましょう。
保守点検の頻度は4か月に1回以上
保守点検の頻度は浄化槽の規模や処理方式によって異なります。
原則として4か月に1回以上が必要です。点検は、都道府県知事の登録を受けた業者へ依頼しましょう。
保守点検と法定検査の違い
保守点検と法定検査はどちらも浄化槽管理者の義務ですが、目的が異なります。
保守点検は浄化槽の機能を維持するために行います。具体的には点検、修理、消毒剤の補充、ブロワーの調整などです。
法定検査は、放流水が基準を満たしているかを確認する検査です。保守点検や清掃が正しく行われているかも合わせて確認します。
法定検査は、県が指定した検査機関が行います。車に例えるなら「車検」にあたります。
浄化槽の使用開始後3〜8か月で行う7条検査と、翌年から毎年1回の11条検査が法律で義務づけられています。
保守点検で実施する作業内容

保守点検で行う作業を、次の2つに分けて解説します。
- 業者が点検する4つのポイント
- 管理者が自分でできる点検項目
業者が点検する4つのポイント
業者が保守点検で確認する主なポイントは、以下の表のとおりです。
| 点検箇所 | 詳細 |
| 外観や構造の確認 | 浄化槽本体やふたに損傷や亀裂がないかを確認。破損を放置すると、環境や法律上の問題につながるため重要。 |
| 必要な装置の動作確認 | ブロワーや撹拌装置など、浄化槽の装置が正常に動作しているかを重点的に点検。 |
| 浄化槽内部の点検 | スカムや汚泥の量を確認し、清掃時期を判断。水位、配管、ろ材、消毒剤の残量も確認。 |
| 放流水の確認 | 浄化槽からの放流水の透視度やpH値などを測定し、きちんと処理されているかを確認。 |
管理者が自分でできる点検項目
保守点検は専門業者へ依頼するのが基本ですが、管理者自身で点検できる部分もあります。
自分でできる点検は以下のとおりです。
- 外観の確認
- 異臭の有無
- ブロワーの異音
- 排水の流れ
保守点検を依頼する手順

保守点検を依頼するときの手順は、次の2ステップです。
- 保守点検業者を選ぶ
- 業者を探して申し込む
信頼できる保守点検業者の選び方
- 信頼できる業者を選ぶ
- 業者選びで大切なのは、信頼できるかどうかです。過去の実績や利用者の口コミ、都道府県の登録を受けているかが判断材料になります。
- 料金を比べる
- 業者によって料金が異なるため、複数の業者から見積もりを取って比べましょう。浄化槽は20〜30年と長く使うものです。業者との付き合いも長くなります。
- アフターサービスとサポート
- 緊急時の対応やアフターサービスも大切なポイントです。定期的なメンテナンスやサポート体制が整った業者なら、長く安心して任せられます。
保守点検業者の探し方と申し込み方法
信頼できる業者を見つけるには、自治体への問い合わせがおすすめです。
市町村役場や県の環境部門では、登録業者のリストを公開しています。リストの中から保守点検業者を選びましょう。
申し込み方法は業者ごとに異なります。電話やWebサイトで連絡し、点検内容や費用を確認したうえで契約しましょう。
保守点検にかかる費用の目安

浄化槽の保守点検費用について、以下の2点を解説します。
- 保守点検の費用相場
- 点検費用が変わる主な要因
保守点検の費用相場は年間1〜2万円
保守点検の費用は業者によって異なりますが、相場は年間1〜2万円です。点検の結果によっては、修理や部品交換の費用が別にかかることもあります。
点検費用が変わる主な要因
点検費用が変わる主な要因は、業者ごとの料金設定と浄化槽のサイズ(人槽)や型式の違いです。
人槽が大きい浄化槽ほど点検に手間がかかるため、費用も高くなる傾向があります。
浄化槽にトラブルが起きたときの対処法

浄化槽にトラブルが起きたときの対処法を、以下の2つに分けて解説します。
- 異音や異臭への対処法
- 緊急対応が必要なトラブルへの対処法
浄化槽からの異音や異臭への対処法

異音の原因には、配管の固定不良、ブロワー内部の部品の劣化、放流ポンプの故障が考えられます。
ブロワーの異音は振動が原因のことが多く、防振マットを敷くと改善できます。ただし、放っておくと故障や停止につながることもあります。
異臭の主な原因は、微生物の働きの低下、油や洗剤の流しすぎ、ブロワー故障による酸素不足です。
異音や異臭は、浄化槽全体の機能が低下しているサインです。
異変を感じたら、専門業者へ早めに連絡しましょう。
緊急対応が必要なトラブルへの対処法
ブロワーが止まっていてコンセントに問題がない場合は、故障している可能性が高いです。
ブロワーが止まると浄化槽に空気が送られず、微生物が弱ってしまいます。
浄化槽の水位がいつもより高い場合は、放流ポンプや流量調整装置の異常が考えられます。
浄化槽のトラブルは専門知識や工具が必要なため、管理者自身で直すのは難しい場合が多いです。大きなトラブルを防ぐためにも、すぐに専門業者へ連絡しましょう。
浄化槽を長持ちさせる3つの注意点

浄化槽を長持ちさせる注意点は、以下の3つです。
- 油や洗剤を流しすぎない
- 浄化槽にやさしい洗剤を選ぶ
- 浄化槽の周辺に木を植えるときは注意する
油や洗剤を流しすぎない
油や洗剤を流しすぎると微生物が弱り、浄化槽の働きが落ちます。
油汚れは、配管詰まりの原因になります。食器や調理器具の油汚れは、拭き取ってから洗いましょう。
浄化槽にやさしい洗剤を選ぶ

お風呂・キッチン・トイレで洗剤を使うときは、塩素系洗剤に注意しましょう。
塩素系洗剤は殺菌作用がとても強い洗剤です。たくさん流すと微生物の働きが弱まり、悪臭の原因になります。
冬場は微生物の働きが落ちやすいため、特に注意が必要です。洗剤を使うときは決められた量を守り、浄化槽への負担を減らしましょう。
浄化槽の周辺に木を植えるときは注意する
浄化槽の周辺に木を植えるときは注意が必要です。木の根はとても強く、配管の詰まりや浄化槽本体の破損につながります。
木が成長すると、保守点検や清掃がしにくくなることもあります。
木を植えるときは、次の3点に注意しましょう。
- 浄化槽から離して植える
- 根が浅く、成長が遅い木を選ぶ
- 落ち葉が少ない木を選ぶ
具体的には、根が浅く管理しやすいツツジや、落ち葉が少ないサルスベリがおすすめです。
成長した後もメンテナンスのじゃまにならないように、木の種類を選びましょう。
保守点検に関するよくある質問

保守点検について、よくある質問に答えます。
保守点検を怠った場合のリスクは?
保守点検や清掃を怠ると、詰まりや不衛生な状態になり、浄化槽が故障するリスクが高まります。結果として、修理費用も大きくふくらみます。
保守点検を怠ると浄化槽の処理機能が落ち、大腸菌や病原菌が処理されないまま外へ流れ出ます。地下水の汚れや、魚など水の生き物への悪影響にもつながります。
保守点検が法律で決められた基準を満たさない場合、県知事から改善命令や使用停止命令が出ることがあります。命令を無視して使い続けると、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
将来のリスクを減らすためにも、保守点検はきちんと行いましょう。
まとめ:保守点検で浄化槽を長く安全に使う

浄化槽の保守点検は、浄化槽管理者(所有者)の義務です。点検を行えば異常を早く見つけられ、大きなトラブルや余計な費用を防げます。
保守点検は都道府県の登録を受けた業者に依頼し、費用は年間1〜2万円が目安です。油や洗剤の流しすぎに気をつけ、異音や異臭があれば早めに業者へ相談しましょう。
浄化槽には保守点検と法定検査があり、それぞれ目的が異なります。両方を行うことで、浄化槽の機能を保てます。
保守点検では薬剤の補充や修理・調整を行います。法定検査では、水質や保守点検・清掃が正しく行われているかを確認します。
浄化槽の機能を保つためには、定期的な保守点検・清掃と法定検査が欠かせません。