
- ブロワーの経年劣化、故障
- マンホールの欠け、割れ、隙間
- 害虫の発生
- 浄化槽維持管理を受検していない
- 使用頻度によるキャパオーバー
この記事をご覧の方は、おそらく「浄化槽周辺からのニオイが気になっている」という問題を抱えているのではないでしょうか?
ニオイというのは、日常ではあまり意識することのない問題ですが、一度気づくとなかなか解消できず、悩ましい問題となることがあります。
さらに、ニオイの感じ方は個人の感覚によって大きく異なり、それに合った対策を見つけ出すことが難しい場合もあります。
今回の記事では浄化槽管理士として得た知識を活かし、ニオイの原因と対策について詳しく解説します。
動画で見たい方はこちら↓
ニオイの原因はブロワーの劣化と故障!

浄化槽には数多くの微生物が生息しており、微生物は汚水の分解に酸素を必要とします。
そのため、浄化槽では最も重要な役割を果たしている「ブロワーという空気を送る機械」が空気を供給し続けています。
ブロワーの故障や風量不足は、微生物の死滅や浄化処理の妨げとなります。
ブロワーは消耗品で、内部の部品が劣化すると風量が低下します。
また、完全に故障すると「微生物が酸欠状態」になり、汚水の分解ができなくなってしまいます。
使用頻度が多く負荷の高い現場では、ブロワーの風量をUPすることで問題に対処することもできます。
死滅した微生物からは不快なニオイが発生するため、ブロワーは浄化槽において重要な「心臓部」といえます。

ニオイが気になる場合、まずブロワーが適切に動作しているかを確認しましょう。
また、新築やリフォーム後に新たに浄化槽を設置した場合、微生物が浄化槽内に充分に定着していないためにニオイが発生することがあります。
このような状況で、「シーディング剤」が有効です。
シーディング剤は浄化槽内の微生物活性化に役立つばかりでなく、「脱臭効果」もあります。
使用法は非常に簡単で、シーディング剤をトイレに直接流すだけで適用できます。

マンホールの隙間が浄化槽に与える影響

マンホールが劣化すると、隙間からニオイが漏れることがあります。これは、「ニオイや煙が上方向に上昇する性質」によるものです。
経年劣化により、マンホールの耐久性は低下します。
また、小型の汚水マンホールには、ニオイの原因となるトラップがあるかどうかも重要です。
ただし、古い建物ではこれが必ずしも可能でない場合もあります。また、臭突の故障やトラップが未設置の現場も存在します。
適切なメンテナンスや改修を行うことで、ニオイの問題を解決することができます。
マンホールに欠けやヒビがある場合は、割れる可能性もあるため、早めに交換してください。
害虫が引き起こすニオイの原因と対策方法

害虫からニオイがでる原因と対処法
- 幼虫が動き回ることでスカムが崩れる
- 幼虫はスカムを食べる
- 幼虫の排便はドロドロで悪臭がする
- 幼虫の見た目は不快感を与える
- 定期的に殺虫プレートや粉薬を使用して対処が可能
- 浄化槽の清掃は幼虫対策として効果的
浄化槽内は一年中暖かく、虫にとって住みやすい環境となっています。

スカムとは、汚泥が固まったものを指します。下記の動画ではスカムが観察できます。
マンホールの隙間やヒビから虫が侵入し、槽内で卵を産むことが、虫の繁殖の主な原因となります。
特に、「アメリカミズアブ」は幼虫が不快なニオイを発散し、見た目も気分を害します。
ミズアブによる悩みを持つ人は決して少なくありません。
これらの問題に対する解決策は、「殺虫プレート」を槽内に設置するか、粉薬を散布することです。

これらの対策を定期的に行うことで、虫の発生を抑えて年間を通して快適に生活することが可能となります。
害虫にお困りの方にとって役立つ情報が含まれているので、下記の記事もご覧ください。

維持管理を怠ると浄化槽は機能しない

浄化槽を長期間適切に維持するためには、「保守点検、浄化槽清掃、法定検査の3つの要素」をしっかりと実施することが重要です。
これらの作業を怠ると、十分な処理が行われず臭気や水質汚染などの問題が発生します。
浄化槽は設計段階から「維持管理を前提」としていますので、定期的にこれらの作業を行うことが重要です。
- 消毒剤が無くなる
- 汚物が垂れ流し状態になる
- 環境にとても悪い
- 漏水していても気付かない
- ニオイの原因になる
- 浄化槽の機能低下
- 浄化槽が壊れる
- 近所迷惑になる
- 過料がある
浄化槽の点検を怠るとニオイが発生し、周囲に迷惑をかけるだけでなく、汚染物質が環境に漏れ出すリスクもあります。
浄化槽を使用する人は「自身の排水に責任」を持ち、定期的な点検や清掃を行うことが必須です。
維持費や処理費がかかることを理解し、浄化槽を適切に管理することが求められます。
浄化槽の限界と対策

浄化槽にはさまざまな型式や処理方法があり、「一番小さな浄化槽は5人槽」という表記がされています。
この「人槽」とは家族の人数によって決まるものではなく、「土地の延べ床面積」に基づいて決められます。
簡単に説明すると、「40坪以下は5人槽、40坪以上は7人槽〜」という風に槽が大きくなっていきます。
汚水を処理するためにはある程度時間がかかるため、使用頻度が多いと処理が追いつかなくなり、汚水やニオイが出る原因になります。
この場合の対処法は、清掃頻度を増やすことや、無駄な水の使用を抑えることです。
単純明快ですが、汚れが溜まったら取り除くことが重要です。ご家庭での意識と努力が環境保護につながります。
清掃とはバキュームカーで汚物を引き抜くこと。
無駄な水の使用は、浄化槽に余分な水を流し込むことにつながります。
その結果、槽内での滞留時間が短くなり、汚水が適切に処理されなくなってしまいます。
例えば、台所や洗面所、お風呂の水を出しっぱなしにすることは避けましょう。
このような習慣を持つことで、「水道、電気、ガスの節約」にもつながります。
まとめ

ニオイの解決法
- ブロワーの確認を行う
- マンホールの状態をチェック
- 浄化槽の周辺に虫がいないか確認
- 浄化槽の維持管理を受検する
- 浄化槽を定期的に清掃し、水を出しっぱなしにしない
素人の方でも上記の方法を実践すれば、ニオイの原因を解決することができます。
ただし、「個人の嗅覚」には差があります。
ニオイに関する問題は非常に難しく、確定的な答えが存在しないということが現実です。
- 近隣からのニオイ発生
- 浄化槽の設置場所の選定
- 本人の嗅覚の感じ方
- 配管の接続方法

上記の方法を実践しても改善が見られない場合は、管理会社や清掃会社に相談することが重要です。
現場によって個別の問題が存在することもありますので、プロの意見を聞くことで解決策を見つけることができます。
さまざまな事例が存在するため、具体的な問題に応じて管理会社に相談することが大切です。
プロの知識と経験に基づいた助言を受けることで、問題解決に向けた適切な対策を取りましょう。
