【浄化槽の仕組み】維持管理と水質指標(BOD・COD)をわかりやすく解説!

【浄化槽の仕組み】維持管理と水質指標(BOD・COD)をわかりやすく解説!

浄化槽は、家庭から出る生活排水を処理する設備です。微生物の働きで汚水をきれいにし、処理した水を側溝や河川へ流します。

浄化槽の機能を保つには、保守点検・清掃・法定検査が欠かせません。微生物が元気に働ける環境を保つことが大切です。

この記事では浄化槽管理士歴10年以上の私が、浄化槽の仕組みや維持管理の方法とBOD・CODなどの水質の指標をわかりやすく解説します。

汚水処理への理解を深め、衛生的な生活環境を守りましょう。

浄化槽とは|生活排水を処理する地下設備

浄化槽は生活排水を処理する設備

浄化槽は、家庭や施設の生活排水を処理する設備です。地面の下に埋めて設置します。

浄化槽の中では微生物が汚水を分解し、環境基準を満たす水にきれいにします。きれいになった水は、最後に側溝や河川へ放流される仕組みです。

処理は次の流れで進みます。

  1. 重力で水と固形物に分ける
  2. 酸素を好む微生物が汚れを分解する
  3. 消毒してから側溝や河川へ流す

浄化槽法は浄化槽の設置や維持管理を定めた法律です。生活環境を守り、みんなの健康を保つことが目的です。

この法律で保守点検や清掃が義務になっており、川や海の汚れを防ぐことにつながります。

» e-Gov法令検索(外部サイト)

1960年代に水洗トイレが広まり、トイレの排水を処理する単独処理浄化槽が普及しました。1983年に浄化槽法ができて、設置や使い方のルールが決められています。

補助金や法改正で普及が進む一方で、都市部では下水道が整備されて浄化槽は減っています。

浄化槽の仕組み|槽ごとに役割を分けて汚れを分解する

浄化槽はいくつかの槽でできていて、槽ごとに違う役割で水をきれいにします。微生物の働きによって、生活排水に含まれる汚れを段階的に分解・処理します。

浄化槽の基本構造|4つの槽で段階的にきれいにする

浄化槽は汚水をきれいな水にするため、次の4つの槽で構成されています。

  • 第1槽:固形物と液体に分離する
  • 第2槽:微生物が有機物を分解する
  • 沈殿槽:残った小さな汚れを沈めて分ける
  • 消毒槽:塩素で消毒してから放流する

浄化槽にはブロワーが付いていて、微生物が働くために必要な空気を送ります。微生物は、汚水をきれいにするためになくてはならない存在です。

点検やメンテナンスのため、マンホールや点検口も設けられています。

» ブロワーの仕組み

汚水処理の流れ|6つの段階で川へ放流

汚水は次の6つの段階で処理されます。

  1. ごみの除去:大きなごみや油を取り除く
  2. 固形物の沈殿:汚水の中の固形物を沈める
  3. 生物処理:微生物が有機物を分解する
  4. 固形物の除去:処理後に残った固形物を取り除く
  5. 塩素消毒:大腸菌などの病原菌を消毒する
  6. 放流:処理済みの水を側溝や河川に流す

有機物を分解する微生物には、酸素が必要な好気性と酸素がいらない嫌気性の2種類があります。

» トイレに流した水はどこへ行く?

浄化槽の種類|合併・単独・高度処理型の3タイプ

浄化槽の種類

浄化槽は主に次の3種類に分かれます。

  • 合併処理浄化槽
  • 単独処理浄化槽
  • 高度処理型浄化槽

合併処理浄化槽:生活排水をまとめて処理

合併処理浄化槽は、家庭や集合住宅の生活排水をまとめて処理する設備です。

狭い場所にも設置でき、微生物の働きで川や海の汚れを減らせます。維持管理には、業者による保守点検と清掃が必要です。

» 生活排水が川や海を汚す理由と家庭でできる対策

単独処理浄化槽:トイレ排水だけを処理し新設は禁止

単独処理浄化槽はトイレの排水のみを処理する設備です。

台所やお風呂の排水は汚れたまま流れてしまいます。そのため、現在は新設が禁止されています。

環境を守るため、今は合併処理浄化槽への切り替えがすすめられている状況です。

» 単独処理浄化槽の種類

高度処理型浄化槽:窒素やリンも取り除ける

高度処理型浄化槽は、通常の浄化槽より高い浄化能力を持つ設備です。

微生物・薬品・膜フィルターを組み合わせて水を処理するのが特徴です。住宅地や観光地など、幅広い場所で使われています。

価格はやや高めですが、窒素やリンも取り除けます。そのため、湖や沼の水質を守るのにも役立つ設備です。

維持管理には、専門的なメンテナンスが必要です。

浄化槽のメリット|下水道料金がかからず災害にも強い

浄化槽のおもなメリットは次の4つです。

  • 下水道料金がかからない
  • 災害で下水道が壊れても使い続けられる
  • 短い工事期間で設置できる
  • トラブルの原因を見つけて直しやすい

家ごとに汚水を処理するので、地震などで下水道が壊れても浄化槽は使い続けられます。下水道を引くときに市町村へ払う受益者負担金もかかりません。

その代わり保守点検・清掃・法定検査は自分で頼む必要があります。下水道とのくわしい違いは次の記事を参考にしてください。

» 浄化槽と下水道はどちらがお得?

浄化槽の維持管理|保守点検・清掃・法定検査の3つが必要

浄化槽の維持管理では、次の3つの作業を行います。

  • 保守点検
  • 浄化槽清掃
  • 法定検査

» 浄化槽管理士について

3つの作業の内容と頻度

それぞれの作業の内容を説明します。

保守点検
ブロワーの点検や修理、消毒剤の補充を行う作業です。都道府県に登録した業者に頼むのが一般的です。
浄化槽清掃
槽内にたまった汚泥を引き抜く作業です。市町村長の許可を受けた清掃業者が担当します。
» 浄化槽清掃の詳細
法定検査
都道府県知事が指定した検査機関が行う検査です。浄化槽法で義務になっていて、浄化槽がきちんと働いているかを確かめます。

放流ポンプやブロワーなどの機器も、定期的な点検が必要です。

異常が見つかったときは、早めの修理や清掃が大切です。困ったときは、契約している管理会社に相談しましょう。

点検や清掃の頻度は、次の表を参考にしてください。

維持管理内訳業務内容頻度
保守点検装置の動作確認、消毒剤の補充年3回以上
浄化槽清掃汚泥の引き抜き年1回以上
7条検査(初回)使い始めてから3〜8か月の間に受ける初回のみ
11条検査(定期)水質検査、機能確認年1回
浄化槽維持管理の頻度

作業は専門業者や検査機関に依頼する

浄化槽の保守点検は、浄化槽を管理する人の義務です。

環境省令で点検のやり方や回数が決められています。浄化槽がきちんと働いているか確かめ、汚泥がたまって起こる不具合を防ぐためです。

» 保守点検の詳細

清掃は、市町村の許可を受けた業者が年1回以上行います。

浄化槽を使い始めて3〜8か月の間に受けるのが7条検査です。浄化槽法第7条にもとづき、指定検査機関が行います。

その後は、毎年1回の11条検査を受けます。浄化槽法第11条で決められた義務で、こちらも指定検査機関が行う検査です。

法定検査は、保守点検とは別の検査です。浄化槽が正しく働いているかを第三者の目で確かめます。

» 法定検査の詳細

トラブルが起きたときの対処法

トラブルが起きたときは、早めの対処が必要です。浄化槽でよく起こるトラブルと対処法を、次の表で紹介します。

トラブル事例対処法
異臭の発生通気口の詰まりや槽内の異常を確認し、専門業者に点検を依頼する
水漏れや逆流すぐに使用を停止し、専門業者に緊急修理を依頼する
アラーム発生原因を調べて対処するか、専門業者に頼む
泡が多量に発生
水位上昇
ブロワーや排水ポンプを点検し、必要に応じて修理を依頼する
浄化槽のトラブルと対処法

トラブルを防ぐには、定期的な保守点検がいちばん大切です。きちんと維持管理をすれば、故障や悪臭のリスクを大きく減らせます。

水質の指標|透視度・BOD・CODで汚れを測る

汚水の汚れを示す指標は、次の3つです。

  • 透視度
  • BOD
  • COD

透視度:水の透明感を測る指標

透視度は、水の透明感を示す指標です。

数値が高いほど水の中に浮かぶ細かいゴミが少なく、水が澄んでいます。値が低いときは、汚れや細かい粒が多い状態です。

透視度が低い状態が続くと放流先の川が汚れ、生き物にも悪い影響が出ます。

保守点検で透視度を測るのも、そのためです。定期的な点検と清掃で、浄化槽の性能と周りの環境を守れます。

透視度が悪くなる主な原因は次の3つです。

  • 汚泥が増えすぎる
  • 分散状細菌が発生する
  • 油や洗剤が流れ込む

» 保守点検の詳細

BOD:微生物が使う酸素の量で汚れを測る

BODは生物化学的酸素要求量のことで、水質の汚れ具合を示す指標です。

水の中の有機物を微生物が分解するときに使う酸素の量を測ります。有機物とは、食べ物のかすなど微生物のエサになる汚れのことです。

有機物が多いほど微生物はさかんに働き、酸素をたくさん使います。そのためBODの値は高くなります。

汚れが少なければ酸素の消費も少なく、BODの値も低いままです。

BODが高ければ水質は悪く、低ければ水質は良好と判断できます。

微生物を「おそうじ屋さん」と考えるとわかりやすいです。汚れが多ければ、微生物は汚れを食べて酸素を消費しながら分解します。BODは、汚れの分解に使われる酸素の量を表す指標です。

測定では水のサンプルを20℃で5日間置き、その間に減った酸素の量を測ります。

酸素の減りが大きいほどBODは高く、有機物が多いというサインです。

BODが高い水は悪臭のもとになり、水中の生き物にも悪い影響をあたえます。そのため、水をきれいに保つにはBODの測定が大切です。

» BODが高くなる原因

COD:薬品で分解するときの酸素の量で汚れを測る

CODは化学的酸素要求量のことで、水質の汚れ具合を示す指標です。

有機物を化学薬品で分解するときに必要な酸素の量から、水の中の有機物の多さを調べます。

測定に使うのは、過マンガン酸カリウムという薬品です。水に薬品を加えて、約100℃で30分加熱します。

使われた薬品の量を酸素の量に置きかえたものがCODです。

CODの値が高い水は有機物が多く、水の中の酸素が減りやすくなります。そのため、水の中の生き物が生きにくい環境になります。

CODが低い水はきれいで、生き物への影響も小さい状態です。

BODもCODも、水の汚れ具合を調べる目的は同じです。

BODは測定に5日ほどかかりますが、CODは化学反応を使うため短時間で結果がわかります。

水槽の掃除を微生物に任せる代わりに、強力な洗剤で一気に汚れを落とすイメージです。洗剤が多く必要なほど、水が汚れていると判断できます。

CODは「使用した洗剤の量=必要な酸素の量」から、水の汚れ具合を調べる指標です。微生物ではなく、化学的な方法で汚れを測るのがポイントです。

浄化槽のよくある質問|臭気の原因と寿命

浄化槽についてよくある質問にお答えします。

  • 浄化槽の臭気は何が原因?
  • 浄化槽の寿命はどのくらい?

浄化槽の臭気は何が原因?

臭気の主な原因を5つ紹介します。

微生物の減少や働きの低下
微生物が減ったり弱ったりすると、汚れの分解が追いつかず臭気が発生します。
油や食べかすの流入
油や食べかすを含む汚水が多く流れると、処理能力を超えて臭気の原因になります。
ブロワーの停止や故障
空気が送られなくなると微生物が弱り、処理機能が下がって臭気が発生します。
マンホール蓋のすき間
マンホール蓋と枠のすき間から臭気が漏れます。
点検や清掃の不足
汚泥がたまりすぎると処理能力が下がり、臭気の原因になります。定期的な点検と清掃で防げます。

» ニオイの対処方法

浄化槽の寿命はどのくらい?

浄化槽の寿命は20〜30年ほどといわれています。

寿命は地盤や浄化槽の素材・構造によっても変わります。定期的な維持管理と正しい使い方を続ければ、もっと長く使うことも可能です。

» 中央日化サービス株式会社(外部サイト)

まとめ|浄化槽は定期的な維持管理できれいな水を保てる

浄化槽は生活排水をきれいにし、環境とみんなの健康を守る設備です。

種類は合併処理浄化槽・単独処理浄化槽・高度処理型浄化槽の3つです。単独処理浄化槽は今は新しく設置できません。

浄化槽の働きを保つには、専門業者による定期的な保守点検・清掃・法定検査が大切です。

透視度やBODなどの水質の指標は、浄化槽の状態を知る目安になります。

定期的な維持管理で臭気や詰まりを防ぎ、安心して暮らせる環境を保ちましょう。

記事を読んでも解決しないときは

浄化槽のメンテナンス方法は動画でも解説しています!
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