【浄化槽入門】基本の仕組み&維持管理についてわかりやすく解説!

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【浄化槽入門】基本の仕組み&維持管理についてわかりやすく解説!

浄化槽は家庭の下水処理に欠かせない設備です。生活排水を微生物で処理し、処理後の水を側溝や河川に放流します。

微生物環境の維持が重要です。浄化槽法にもとづき、定期的な保守点検・清掃・法定検査が必要です。

本記事では、浄化槽の基礎知識と維持管理方法について解説します。汚水処理の理解を深め、生活環境を快適に保ち、生活の質を向上させましょう。

浄化槽は生活排水を処理する設備

アムズマンホール

浄化槽は家庭や施設の生活排水を処理する設備で、地中に設置されます。

微生物が汚水を浄化し、基準を満たした水を放流します

処理の流れは以下のとおりです。

  1. 重力を利用して水と固形物に分離する
  2. 好気性微生物が汚れを分解する
  3. 滅菌消毒を施し、側溝や河川へ放流する

浄化槽法は浄化槽の設置や維持管理を規制し、適切な排水処理を確保する法律です。目的は生活環境の保全と公衆衛生の向上です。

浄化槽は保守点検や清掃が義務付けられ、公共水域の汚染防止と環境保全に貢献します。

» e-Gov法令検索(外部サイト)

浄化槽の種類

浄化槽の種類は以下の2種類があります。

  • 合併処理浄化槽
  • 単独処理浄化槽

合併処理浄化槽

合併処理浄化槽は、家庭や集合住宅の生活排水を一括処理する設備です。

狭いスペースにも設置でき、微生物による生物処理で環境負荷を軽減します。

維持管理には業者の定期点検と清掃が必要です。

» 川をきれいにする理由

単独処理浄化槽

単独処理浄化槽はトイレの排水のみを処理する設備です。

台所や風呂の排水は未処理で放流されるため、現在は設置が禁止されています。

環境保全の観点から、合併処理浄化槽への移行が推奨されています。

» 単独処理浄化槽の種類

浄化槽のメンテナンス

バキュームカーで清掃している人

浄化槽の維持管理には、以下の3つがあります。

  • 保守点検
  • 浄化槽清掃
  • 法定検査

» 浄化槽管理士について

定期的に点検を行う

浄化槽の性能を維持するためには、定期的な点検と清掃が不可欠です。

保守点検
浄化槽の保守点検はブロワーの点検・補修や消毒剤の補充を行う作業です。適切な維持管理のため、登録業者への委託が法律で定められています。
浄化槽清掃
浄化槽清掃は槽内に溜まった汚泥を引き抜く作業です。市町村長の許可を受けた清掃業者が担当します。
» 浄化槽清掃の詳細
法定検査
浄化槽法に基づき、都道府県知事指定の検査機関による検査が義務付けられています。検査では浄化槽の機能を確認します。

ポンプやブロワーなどの機械も点検対象です。

異常が見つかれば速やかに修理や清掃が必要です。維持管理の相談は保健所や市町村で受け付けています。

頻度については以下の表を参考にしてください。

維持管理内訳業務内容頻度
保守点検装置の動作、塩素剤補充年3回以上
浄化槽清掃汚泥の引き抜き年1回以上
水質検査使用開始後3〜5か月に実施初回のみ、その後は定期検査に切り替わる
定期検査水質検査、機能確認年1回
浄化槽維持管理の頻度

専門業者に依頼する

浄化槽の保守点検は設置者の義務です。環境省令により技術基準や実施回数が定められています。

浄化槽の機能確認と、汚泥蓄積による機能不良を防ぐためです。

» 保守点検の詳細

清掃は市町村の許可を受けた業者が年1回以上行います。

使用開始後3〜5か月以内の水質検査は、浄化槽法第7条に基づき指定検査機関が担当します。

年1回の定期検査も浄化槽法第11条で義務付けられ、指定検査機関が実施します。

法定検査は保守点検とは異なり、浄化槽の適正な機能を保証するために重要です。

» 法定検査の詳細

汚水の汚れの指標

汚れの指標を検査している人物

汚水の汚れを示す指標として、以下の3点があります。

  • 透視度
  • BOD(生物化学的酸素要求量)
  • COD(化学的酸素要求量)

» 保守点検の詳細

透視度

透視度は水の清潔さを示す重要な指標です。

数値が高いほど浮遊物が少なく、水がきれいです。低い場合は水中に多くの物質が混じっています。

透視度が低い状態が続くと環境に悪影響を及ぼします。

測定を含む保守点検と清掃は、浄化槽の性能維持と環境保護に欠かせません。

透視度の悪化原因は以下のとおりです。

  • 汚泥の増加
  • 分散状細菌の発生
  • 油脂分や洗剤の流入

BOD(生物化学的酸素要求量)

水質の汚れを表している

BOD(生物化学的酸素要求量)は水質汚濁の指標です。

水中の有機物を分解する際に消費される酸素量を示し、微生物が5日間で消費する酸素量で測定します。

BODが高いと有機物が多く、臭気が発生します。水質保全にはBOD測定が欠かせません。

» BODが高くなる原因

COD(化学的酸素要求量)

COD(化学的酸素要求量)は水質汚濁の指標で、BODと同様に使われます。

水中の有機物が化学的に酸化される際の必要な酸素量を示し、有機物の量を把握できます。

酸化剤の消費量を酸素量に換算して表します。

CODが高いと水中の溶存酸素が不足し、魚が生存しにくくなります

浄化槽のよくある質問

よくある質問の画像

浄化槽のよくある質問について回答します。

  • 浄化槽の臭気は何が原因?
  • 浄化槽の寿命はどのくらい?

浄化槽の臭気は何が原因?

臭気の原因には、以下の要因が考えられます。

処理機能低下
微生物の繁殖が不十分な場合、浄化処理が不足し臭気が発生する。
処理負担の増大
油や食べかすを含む汚水が流れると、処理能力を超え臭気の原因になる。
設備の不具合
ブロワーの停止や故障で空気供給が不足し、処理機能が低下して臭気が発生する。
マンホール蓋の密閉不良
マンホール蓋と枠の隙間から臭気が漏れる。
不適切な維持管理
点検や清掃が不足すると機能が低下し、臭気の原因になる。
微生物の減少や活性低下
微生物が減少したり活性が低下したりすると、処理不足で臭気が発生する。
引き抜きの遅れ
汚泥が溜まりすぎると処理能力が低下し、臭気の原因になる。

» ニオイの対処方法

浄化槽の寿命はどのくらい?

浄化槽の寿命は約20〜30年です。

定期的なメンテナンスと正しい使用で寿命は延ばせます。寿命は土地の地盤や浄化槽の素材、構造によっても異なります。

» 中央日化サービス株式会社(外部サイト)

まとめ

汚れた川や海がキレイに浄化されている

浄化槽は生活排水を浄化し、環境保全と公衆衛生に貢献します。

専門業者による点検や清掃、法定検査で適切に維持管理され、効率的な運用が支えられます

透視度やBODなどの水質指標も重要です。定期的なメンテナンスにより、臭気や詰まりを防ぎ、安心で快適な生活環境が維持できます。

» 浄化槽の仕組み