浄化槽が臭い原因は?現役管理士が教える7つの原因と対処法
浄化槽を使っていて臭いに悩む方は多くいます。臭いは浄化槽に異常が起きているサインです。
この記事では浄化槽管理士歴10年以上の私が、浄化槽の仕組みと微生物の働き・臭いの原因・対処法を解説します。原因がわかれば自分で直せることもあります。
臭いのおもな原因は次の7つです。
- 槽内で出るガスが臭いの原因になる
- 油や食べカス・水の使いすぎで処理が追いつかず臭う
- ブロワーの故障や風量不足で処理する力が落ちる
- 保守点検や清掃をしないと汚れがたまって臭う
- マンホールのふたが壊れると臭いが漏れる
- 害虫のフンや死骸が臭いの原因になる
- 新築やリフォームのあとは臭いが出やすい
次の動画でもわかりやすく解説しています。
浄化槽の仕組みと微生物の役割

浄化槽の役割と仕組みは次の3つのポイントで紹介します。
- 浄化槽の目的は汚水を浄化すること
- 嫌気性微生物は酸素を嫌う浄化槽の主役
- 好気性微生物は酸素を使って汚れを分解する
浄化槽の目的は汚水を浄化すること
浄化槽は下水道がない地域で生活排水をきれいにする設備です。川や海の水質を守る役割があります。
浄化槽では2種類の微生物が汚れ(有機物)を分解しているのです。
槽内での汚水処理の流れは次の4つです。
- 嫌気ろ床槽の第1室で大まかに分解する
- 第2室でさらに分解する
- ばっ気槽で好気性微生物が汚れを分解する
- 消毒槽で大腸菌などを消毒してから放流する
嫌気性微生物は酸素を嫌う浄化槽の主役
嫌気性微生物は酸素を必要としない微生物です。
嫌気ろ床槽には微生物がすみつく「ろ材」が入っています。汚水がここを通るときに微生物が固形物を分解します。
くわしくは次の動画をご覧ください。
好気性微生物は酸素を使って汚れを分解する
好気性微生物は酸素が必要です。酸素がないと生きられません。
第1室と第2室を通った汚水は次にばっ気槽へ送られます。空気を送る機械(ブロワー)から空気が届き、好気性微生物が汚れを分解します。
臭気の原因と解決法

臭いをなくすには原因を知ることが大切です。おもな原因は次の7つです。
- 槽内で出るガスが臭いの原因になる
- 油や食べカス・水の使いすぎで処理が追いつかず臭う
- ブロワーの故障や風量不足で処理する力が落ちる
- 保守点検や清掃をしないと汚れがたまって臭う
- マンホールのふたが壊れると臭いが漏れる
- 害虫のフンや死骸が臭いの原因になる
- 新築やリフォームのあとは臭いが出やすい
槽内で出るガスが臭いの原因になる
浄化槽の臭いの原因は、し尿から出るアンモニアや硫化水素などのガスです。
アンモニアはツンとする臭いです。硫化水素は腐った卵のような臭いがします。
気温や湿度が上がる夏場は臭いが強まることがあります。設置場所や通気口の状態によっても臭いの感じ方は変わります。
このガスが外に漏れる量を減らすことが臭い対策の基本です。原因ごとの対処法を次から見ていきましょう。
ガスが出るしくみは次の動画でくわしく解説しています。
油や食べカス・水の使いすぎで処理が追いつかず臭う
油や食べカスは微生物が分解しにくいものです。たくさん流れ込むと浄化槽の処理能力を超えてしまいます。処理しきれなかった汚れが臭いの原因になります。
油は流さず食べカスは先に取り除きましょう。定期的な清掃と点検でトラブルや臭いを防げます。
水の使いすぎにも注意が必要です。汚水をきれいにするには槽の中にとどまる時間が必要です。
一度にたくさんの水を流すと汚水が槽を通り過ぎるのが早くなり、処理が追いつきません。きれいになっていない水が流れ出て臭いの原因になります。
むだな水は使わないようにしましょう。習慣を見直せば水道代の節約にもなります。
ブロワーの故障や風量不足で処理する力が落ちる

ブロワーが故障すると槽内の酸素が足りなくなり、微生物が働けなくなって臭いや水質の悪化につながります。フィルターの詰まりや部品の劣化で風量が落ちることもあるので注意が必要です。
ブロワーが止まっていたり音が変だったりしたら、早めに修理や交換をしましょう。
ブロワーが動いているかは本体に手を当てて振動があるか・ホースから空気が出ているかで確かめられます。動いていないときは修理か交換が必要です。
ブロワーが止まっていたあとは動き出してもしばらく臭いが残ることがあります。その場合は微生物を補うシーディング剤がおすすめです。
シーディング剤は微生物のバランスを整えて臭いのもとを分解してくれます。
保守点検や清掃をしないと汚れがたまって臭う

臭いを防ぐには定期的な保守点検と清掃が大切です。
清掃をしないと槽内に汚泥がたまり、微生物の働きが弱まって水がきれいにならず臭いが出ます。
清掃は法律で年1回以上と決まっています。保守点検も業者と契約して忘れずに行いましょう。
マンホールのふたが壊れると臭いが漏れる
マンホールのふたの寿命は設置状況にもよりますが約15年が目安です。
ふたにひび割れやズレがあると槽内のガスが外に漏れて臭います。
破損に気づいたら早めに交換しましょう。
害虫のフンや死骸が臭いの原因になる
浄化槽の中は一年中暖かく害虫がふえやすい場所です。ふたのすき間から入った害虫がふえるとフンや死骸がたまって臭いの原因になります。
害虫を防ぐには浄化槽のまわりをきれいにしておくことが大切です。
害虫の幼虫がいると臭いはさらに強くなります。おもな理由は次の3つです。「スカム」は槽の中に浮かぶ汚れやカスのことです。
- 幼虫が動き回りスカムが崩れる
- 幼虫がスカムを食べる
- 幼虫のふんが強い臭いを放つ
スカムの様子は次の動画で見られます。
特にアメリカミズアブの被害が多いです。幼虫は強い臭いを放ち見た目も気持ちのよいものではありません。
チョウバエなど成虫の対策には、浄化槽用の殺虫プレート「チャッポリン ロング」がおすすめです。槽内に吊るすと約3か月間効果が続きます。
粉末の薬剤をまいたり、清掃でたまった汚泥を抜き取ったりするのも効果的です。
新築やリフォームのあとは臭いが出やすい
新しい浄化槽は微生物が住みつくまで2〜3か月かかります。そのあいだは臭いが出ることがあります。
リフォームで水回りを変えたときも同じです。シーディング剤を使うと微生物が早く育ち臭いを抑えられます。
浄化槽の正しい使い方

臭いを防ぐには日ごろの使い方も大切です。ポイントは次の3つです。
- 浄化槽にはトイレットペーパー以外を流さない
- 洗剤は浄化槽への影響を考えて使う
- 持ち主の責任と義務を知っておく
浄化槽にはトイレットペーパー以外を流さない
トイレに流していい紙はトイレットペーパーだけです。
トイレットペーパーは水に溶けやすく作られています。ティッシュやウェットティッシュは溶けにくいので槽内で詰まります。流してはいけません。
「流せる〇〇」と書かれた商品も詰まりの原因になります。使ったらゴミとして捨てましょう。
次の動画では、トイレットペーパーとティッシュの溶けやすさの違いを実験しています。
洗剤は浄化槽への影響を考えて使う
強い洗剤や漂白剤を使いすぎると微生物が弱ってしまいます。
中性洗剤や浄化槽対応の洗剤なら微生物を守りながら使えます。
ふつうの洗剤も適量なら問題ありません。使いすぎだけ注意しましょう。
持ち主の責任と義務を知っておく
浄化槽の持ち主には「法定検査」「保守点検」「清掃」が法律で義務づけられています。
これは浄化槽の持ち主(浄化槽管理者)の責任です。きれいな水を守るための大切な決まりです。
浄化槽の臭いのよくある質問

浄化槽の臭いについてよくある質問に答えます。
- 浄化槽の臭いは健康に影響する?
- 自治体に相談できる?
- 臭いの原因が自分でわからないときは?
- 浄化槽の交換時期はいつ?
浄化槽の臭いは健康に影響する?
硫化水素の強い臭いをかぐと頭痛や吐き気が起きることがあります。ただし家庭用の浄化槽で健康に影響するほどの臭いが出ることはふつうありません。
臭いが強いときは早めに契約している管理会社に相談しましょう。
自治体に相談できる?
浄化槽の困りごとは自治体の相談窓口で支援を受けられる場合があります。くわしくはお住まいの自治体の環境担当窓口に問い合わせてみましょう。
臭いの原因が自分でわからないときは?
臭いの感じ方は人によって違い、現場を見ないと原因がわからないこともあります。困ったときは契約している管理会社に相談するのが確実です。
浄化槽の交換時期はいつ?
浄化槽本体の交換時期は使い方やメンテナンスで変わりますが、一般的な目安は20〜30年です。
単独処理浄化槽を使っている場合は、環境のために合併処理浄化槽や下水道への切り替えをおすすめします。
まとめ|浄化槽を快適に保ちましょう

臭いを放っておくとひどくなりご近所にも迷惑をかけます。定期的な点検と清掃で防ぎましょう。
日ごろから正しい使い方を心がけることも大切です。洗剤やゴミの扱いに注意し、保守点検や清掃を忘れずに受けましょう。
正しい知識があれば浄化槽を長く快適に使えます。






