ブロワーが突然動かなくなり、困った経験はありませんか?動作不良の原因には、電気系統のトラブルや機械的な異常が考えられます。
原因がわからず、時間がかかると業務に影響がでます。本記事では、ブロワーが動かない主な原因と特定方法を解説します。
記事を読むことで、トラブルの原因を特定し、適切に対応する知識が身につきます。
大晃製のルーツブロワーの仕組みは、以下の動画で確認できます。
ブロワーが動かない機械的な原因

ブロワーが動かない機械的な原因は、以下のとおりです。
- インペラの固着
- ベアリングの劣化
- シール・パッキンの劣化によるオイル・グリスの付着
- エアエレメントの劣化と異物の混入
インペラの固着

長期間メンテナンスや使用をしないと、インペラ(羽根)が焼き付いたり固着したりします。
対策手順は、以下のとおりです。
- インペラを手で回し、回転の可否を確認する
- 回る場合は電気系統の異常を疑う
- 回らない場合はインペラの固着の可能性が高い
- 灯油で洗浄し、徐々に回転させる
- オイル補充とグリスアップを実施する
- モーター側のキャップを外し、工具で軸を直接回してみる
ベアリングの劣化
ベアリングが劣化すると、回転時の音が徐々に大きくなります。
対策として、異音やガタつきを点検し、必要に応じて交換してください。
シール・パッキンの劣化によるオイル・グリスの付着

劣化したシールやパッキンから漏れたオイルやグリスがケーシング内部に付着し、インペラの回転を妨げます。
対策は以下のとおりです。
- ケーシング内部を点検する
- 付着したオイルやグリスを清掃する
- シール・パッキンを交換する
エアエレメントの劣化と異物の混入
エアエレメントが劣化すると、埃やフィルターの破片がブロワー内部に侵入します。
異物が侵入すると、ブロワーにダメージを与えます。
BER型ブロワーは、吸い込んだ空気がモーター内部を通過し、ポンプ部へ送られる構造です。
対策は以下のとおりです。
- エアエレメントを点検・交換する
- ブロワー内部を清掃する
電気系統の原因
電気系統の原因は、以下のとおりです。
- 配線やモーターのショート
- 欠相(ケーブルの断線・マグネットスイッチやブレーカーの故障)
- サーマルリレーの故障
配線やモーターのショート
配線やモーターがショートすると、起動時に過電流が発生し、動作しなくなります。
欠相(ケーブルの断線・マグネットスイッチやブレーカーの故障)
ケーブルの断線やマグネットスイッチ、ブレーカーの故障により、モーターに電力が正しく供給されず、回転しないことがあります。
対策は以下のとおりです。
- ブロワーが2台ある場合、端子台で1号機と2号機を入れ替えて確認
- 入れ替えても動かない場合は、ブロワー本体の機械的異常が原因
- 入れ替えて動く場合は、ケーブルやマグネットスイッチ、ブレーカーが原因
サーマルリレーの故障
サーマルリレーが故障すると、誤作動によりブロワーが動かなくなります。
端子台で1号機と2号機を入れ替えて動作確認し、サーマルリレーの異常を特定しましょう。
過負荷の原因と対策

過負荷の原因と対策は、以下のとおりです。
- 電流値の確認(制御盤がある場合)
- ブロワーが少し回ってから超える場合
- スイッチを入れた瞬間超える場合
電流値の確認(制御盤がある場合)
制御盤がある際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 電流計の針が定格電流を超えるか確認する
- 「少し回ってから超える」か「スイッチを入れた瞬間超える」かで原因を特定する
ブロワーが回ってから定格電流を超える場合
配管内が汚泥で詰まり、塞がっている可能性があります。配管を引き上げて洗浄しましょう。
ブロワーのスイッチを入れた瞬間定格電流を超える場合
ブロワー内のグリスが硬化している可能性があります。
長期間使用しないと、グリスが固まり、モーターの動作を妨げます。
対策は以下のとおりです。
- 新しいグリスを注入する
- 解決しない場合はベアリング破損の可能性がある
- オーバーホール・新規交換を検討する
まとめ

ブロワーが正常に動作しない原因はさまざまです。大きく分けると電気系統のトラブルと機械的な異常に分類できます。
以下のポイントを押さえて対応しましょう。
- ブロワーが動かない場合、電気系統か機械的異常かを判断する
- 機械的異常ならインペラの固着、ベアリングやパッキンの劣化、異物混入を点検する
- 電気系統の異常なら欠相やサーマルリレー故障を疑い、端子台を入れ替えて確認する
- 電流値を確認し、「少し回ってから超える」か「瞬時に超える」かで原因を特定する
- 制御盤に電流計がない場合、モーター銘板の容量(kW)×4で定格電流を推測する
定格電流が不明な場合は、モーター板の「モーター容量(kW)」に4を掛けると、おおよその定格電流を算出できます。
クランプメーターがあれば簡単に測定可能です。必要に応じて、会社に購入を依頼しましょう。