ロータリーブロワーは、空気を安定的に供給する装置として、さまざまな施設や産業で利用されています。
定期点検を怠ると性能が低下し、故障の原因になります。長く安定して使用するためには、計画的なメンテナンスが欠かせません。
本記事では、オイルシールとOリングの交換方法を中心に、故障を防ぐためのメンテナンス手順を解説します。
ロータリーブロワーの基礎知識

ロータリーブロワーについて、以下の内容を解説します。
- ロータリーブロワーの仕組みと用途
- ロータリーブロワーのメンテナンスが必要な理由
ロータリーブロワーの仕組みと用途
ロータリーブロワーは、ローターの回転によって空気を吸引・排出する装置です。大量の風量を必要とする施設に適しており、主に大型浄化槽や人槽の多い設備で使われています。
ロータリーブロワーのメンテナンスが必要な理由
メンテナンスを怠ると、オイル漏れや部品の劣化が進行し、性能の低下や修理費用の発生につながります。
安定した空気供給を維持するには、定期的なオイル交換やフィルターの清掃が欠かせません。
オイルシールとOリング交換が必要な理由

オイルシールとOリングの交換が必要な理由について、以下の内容を解説します。
- オイル漏れが発生する
- メンテナンスを行うメリット
オイル漏れの主な原因

ロータリーブロワーのオイル漏れの主な原因は、Oリングやオイルシールの劣化です。ゴム製の部品は時間とともに硬化し、ひび割れや破損が生じます。
オイルが漏れると機械内部の潤滑が不足し、動作不良やブロワーの焼損を招きます。
メンテナンスを行うメリット
メンテナンスを実施すると、ロータリーブロワーの寿命を20〜30%延ばせます。部品の交換や定期点検により故障リスクを減らし、高額な修理費を避けられます。
オイル漏れを防げば機械全体の効率が向上し、エネルギーの削減も可能です。
ロータリーブロワーのオイル漏れ対策|手順と注意点
ロータリーブロワーのメンテナンスでは、オイル漏れを防ぐことが重要です。以下の手順に沿って、点検を行いましょう。
- ベルトとプーリーの取り外し方
- ロックナットとプーリーの取り外し方
- Oリングとオイルシール交換方法
ベルトとプーリーの取り外し方法

Vベルトを外す際は、プーリーを回転させながら外側に引っ張り、慎重に取り外しましょう。無理に引っ張ると、ベルトや他の部品を損傷する恐れがあります。
ベルトの取り外し方法は、以下の動画をご参照ください。
ロックナットとプーリーの取り外し方
オイルシールやOリングを交換する際は、ロックナットとプーリーを取り外しましょう。必要な工具は、モンキーレンチやラチェットレンチです。

プーリーは、ブロワーのベルトを回転させる重要な部品です。取り外す際は慎重に作業し、傷つけないよう工具の扱いに注意しましょう。
プーリーの取り外しには、ギヤプーラーを使用してください。

作業中にオイルが漏れるため、ウエスや吸収用布を作業場所に敷いておきましょう。オイルの飛び散りや床の汚れを防ぎ、作業後の片付けが楽になります。
Oリングとオイルシール交換方法

オイル漏れを防ぐには、Oリングとオイルシールの交換が必要です。以下に、それぞれの交換手順とポイントを解説します。
- Oリング交換の手順とポイント
- オイルシール交換時の注意点
Oリング交換の手順とポイント

Oリングはゴム製のため、長期間使用すると劣化して硬化やひび割れが発生します。オイル漏れの原因となるため、定期的な交換が必要です。
劣化が進むと密閉性が低下し、機械全体の性能に影響を与えます。メンテナンス時には以下のOリングの状態を確認しましょう。
- Oリングが劣化している場合は、新しいものに交換する
- 新しいOリングを同じ位置にはめ込み、オイルを少量塗布する
オイルシール交換時の注意点

オイルシールはプーリーの内側に位置しています。交換のタイミングは、オイル漏れが発生した際や分解時に劣化を確認した場合です。
以下のポイントに注意しながら、交換作業を行いましょう。
- オイルシールの向きを確認し、正しい方向に取り付ける
- 均等な力でオイルシールを押し込み、密着させてオイル漏れを防ぐ
ロータリーブロワーのメンテナンスに関するよくある質問

ロータリーブロワーを長く使うためには、定期的なメンテナンスが重要です。よくある質問を以下にまとめました。
- 定期点検と清掃の頻度は?
- オイル交換はどのくらいの頻度で行うべきですか?
- 自分で交換する場合と業者に依頼する場合のメリット・デメリットは?
- ロータリーブロワーの下が黒くなる原因とは?
- 動作異常や故障を未然に防ぐメンテナンスポイントとは?
点検とフィルター清掃の頻度は?
点検と清掃の頻度は、以下を参考にしてください。
- オイルが汚れている、減っている場合は補充・交換する
- フィルターは定期的に確認し清掃または交換を行う
ロータリーブロワーは使用を重ねると内部に汚れが蓄積します。汚れが入り込むと性能が低下し、故障の原因になります。定期的な点検と清掃が欠かせません。
フィルターや吸気口の清掃は重要です。異物の侵入を防ぐことで、安定した動作を維持できます。
オイル交換はどのくらいの頻度で行うべきですか?
オイルは、半年から1年ごとに全量を交換してください。使用頻度が高い場合や1台運転の場合は、3か月に1回の交換がおすすめです。
自分で修理する場合と業者に依頼する場合のメリット・デメリットは?
修理を自分で行えば工賃がかからず、費用を抑えられます。ただし、ロータリーブロワーの修理には専門的な技術や工具が必要です。
安全かつ確実に修理するためには、専門業者への依頼をおすすめします。
ロータリーブロワーの下が黒くなる原因とは?
ロータリーブロワーの下が黒くなる主な原因は、以下のとおりです。
- オイル補充時のこぼれが原因
- キャップ裏のパッキン劣化によりオイルが漏れる
- 圧力上昇による安全弁の作動でオイルが排出される
- 経年劣化でオイルシールやOリングが損傷し漏れる
オイル漏れや滲みは、周囲に埃を付着させ、機器の汚れにつながります。汚れがこびりつくと除去が難しくなるため、早めの対処が重要です。
定期的に拭き取る習慣をつけると、古いブロワーでも比較的きれいな状態を保てます。こまめな清掃は、オイル漏れの早期発見や漏れ箇所の特定にも役立ちます。
動作異常や故障を未然に防ぐメンテナンスポイントとは?
ロータリーブロワーから異音が発生したり、振動が激しくなった場合は、部品の摩耗や劣化が原因です。放置すると故障が進行するため、早めの対処が求められます。
故障を未然に防ぐためのメンテナンスポイントは、以下のとおりです。
- 異音がする場合はベアリングやローターの状態を確認する
- 使用前に各部の取り付け状態と安全弁の機能を確認する
- 不具合があれば速やかに修理を行う
メンテナンスを実施することで、ロータリーブロワーの性能を維持し、長期間にわたって使用できます。
とくにオイルシールやOリングの定期交換は欠かせません。故障を防ぎ、装置の寿命を延ばすことが可能です。
まとめ
ロータリーブロワーは、安定した空気供給を維持するために必要な装置です。オイルシールやOリングが劣化すると、オイル漏れや故障を引き起こし、高額な修理費が発生します。
異音や振動、オイル漏れの兆候が見られた場合は、早めに対応しましょう。定期的なメンテナンスで性能を維持すれば、ロータリーブロワーを長期間安心して使用できます。
オイルシールやOリングの交換は、寿命を延ばし、トラブルを防ぐために重要な作業です。