ロータリーブロワーのメンテナンスが難しいと感じる方は多くいます。
メンテナンスを怠ると性能が低下し、故障の原因になります。オイル切れやフィルター詰まりは、トラブルを引き起こすため注意が必要です。
本記事では、「FD-300S」型ブロワーを例に、メンテナンス方法について解説します。記事を読むことで故障リスクを軽減し、ブロワーの寿命を延ばせます。
紹介するメンテナンス方法は、他のロータリーブロワーにも応用可能です。メンテナンスを実施し、安定した運転を維持しましょう。
ロータリーブロワーの仕組みと役割

ロータリーブロワーは、槽内の微生物に酸素を供給し、さまざまな配管へ空気を送る役割です。
内部のローターが空気を吸引して高圧を発生させ、吐出口から排出します。この仕組みにより、安定した風量が維持できます。
ロータリーブロワーメンテナンス方法5選

ロータリーブロワーを長期間安定して使用するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。主なメンテナンス箇所は以下のとおりです。
- フィルター清掃
- オイルの管理とチェック方法
- Vベルトとプーリーのメンテナンス
- ストレーナーの清掃
- ネジ溝の清掃手順
フィルター清掃

フィルターの詰まりは空気の流れを阻害し、効率を低下させます。清掃手順は以下のとおりです。
- 作業前に電源をオフにする
- 上部のフィルターカバーを外し、フィルターを取り出す
- ブラシやエアダスターでゴミやホコリを除去する
- フィルターを正しい位置に戻す

清掃後のフィルターです。

エアーフィルター支えは、溝にしっかりと合わせて取り付けましょう。
オイル管理とチェック方法

オイル管理はブロワーの性能維持に重要です。不足すると内部部品が摩耗し、焼き付きの原因になります。
一台運転や吐出圧力が高い現場では、オイルの消費量が増えるため注意が必要です。以下のポイントを押さえ、適切に管理しましょう。
- オイルゲージでオイル量が指定範囲内か確認する
- ベルトを回し、オイルが均等に循環しているか確認する
- 点滴ノズルでオイルが適切な速度で滴下しているか確認する

オイル補充後のオイルゲージ棒の状態です。

東浜ロータリーブロワーの純正オイルは「出光ダフニースーパーハイドロ68X」です。
粘度が低いオイルは消耗が早く、循環中に劣化するため、定期的な交換が必要です。オイルは半年~1年ごとに全量を交換しましょう。
ブロワーメーカー | オイルの種類 |
東浜ロータリーブロワー | ダフニースーパーハイドロ68X |
アンレットルーツブロワー(BSR・BSS・BER用) | スーパーギアオイル220 |
アンレットルーツブロワー(BS) | スーパーギアオイル460 |

Vベルトとプーリーのメンテナンス
Vベルトやプーリーは、ブロワーの動力を伝える重要な部品です。ベルトが劣化や緩むと、空気供給が不安定になります。
以下を参考に、ベルトの張りを適切に調整しましょう。
- ベルトの張りを手で押して確認し、緩みがあれば調整する
- Vベルト中央を指で押し、たわみが10mm以内か確認する
- プーリーのゴミや汚れを確認し、必要に応じて清掃する
- ベルト張りが強すぎる場合は音が出ないよう調整する

ストレーナーの清掃

オイルが循環しない場合は、ストレーナーやネジ溝にゴミが詰まっています。

定期的に部品を清掃すると、オイルの流れをスムーズに保てます。

汚れが溜まるとオイルの流れが悪くなります。ストレーナーを取り外し、汚れの状態を確認しましょう。
ストレーナーが破損しているとゴミを吸い込み、点滴ノズルの詰まりの原因になります。

ソフトブラシやウエスでストレーナーを丁寧に清掃し、新しいシールに交換してください。

清掃後のストレーナーです。

新品のストレーナーはこちらです。以下の動画でオイル交換の手順を紹介しています。
ネジ溝の清掃

写真は新品の点滴ノズルです。

写真を参考に上部のネジを緩め、オイルの滲みを確認しましょう。プラスドライバーでネジを外し、ブラシを使って丁寧に清掃してください。
汚れを取り除くことで、オイルの滴下速度が改善されます。

以下の動画では、新品のロータリーブロワーのオイル滴下速度を紹介しています。
異音・オートカット機構動作の原因・チェック項目について
異音やオートカット機構が動作する場合、以下の対策を参考にしてください。
- 異音の原因特定方法
- オートカット機構動作の原因について
- ロータリーブロワーチェック項目
異音の原因と特定方法
異音はブロワー故障の前兆です。発生した場合は、早急に原因を特定し、修理や部品交換を行いましょう。
異音がブロワー本体からか、モーターからかを判断することが重要です。以下の方法で確認してください。
- モーターのみの運転
- Vベルトを外し、モーター単体で運転し、音の発生源を確認しましょう。モーターから「ゴリゴリ」という音がする場合は、ベアリングの摩耗が疑われます。
- 本体の確認
- 本体から異音がする場合、原因としてオイル不足やローターの劣化が考えられます。金属が擦れる音がする場合は、ベアリングを交換してください。ローターや羽に傷や焼き付きがある場合は、修理負荷になるため注意が必要です。
以下の動画でも解説しています。
オートカット機構動作の原因について
ロータリーブロワーには、モーター損傷を防ぐオートカット機構が内蔵されています。
オートカットが作動した場合、モーターに過電流が発生している可能性があります。主な要因は以下のとおりです。
- ブロワー側の問題
- オイル切れによる回転の重さやベアリングの破損が原因で、回転がスムーズに行われないことがあります。
- モーターの不具合
- ベアリングの劣化やコイルの焼損が原因として考えられます。Vベルトを外し、モーター単体で回して異音がなければ、モーター本体の問題ではない可能性が高いです。
- 建物側の電源問題
- 分電盤からの距離が長いことや、細いケーブル、タコ足配線による過大な負荷が原因で、不具合が発生する場合があります。
ロータリーブロワーチェック項目
ロータリーブロワーのメンテナンスでは、以下の項目を確認しましょう。
確認事項 | 詳細 |
異音の確認 | Vベルトを外し、異音の原因が本体かモーターかを確認する。 |
フィルターの清掃 | 詰まりが浄化槽の機能低下を招くため、定期的に清掃する。 |
オイルの交換 | 潤滑低下を防ぐため、メーカー推奨のオイルと周期で交換する。最低でも年1回は全量交換が必要。 |
ベルトの調整 | 緩みによる性能低下を防ぐため、定期的にベルトの張りを調整する。 |
振動の確認 | 振動は故障の兆候であり、異常があれば修理が必要。 |
ベアリングの劣化 | 回転問題を防ぐため、劣化時や異音がある際は交換が必要。 |
散気管の詰まり | 異物の詰まりで負荷が増加するため、穴を開けるか水圧洗浄で対応する。 |
モーターと本体のチェック | 動作不良時にモーターや本体のロックを確認し、ベルトを外して調査する。 |
循環ホースの確認 | ホース内のオイルが茶色の場合、オイル切れで焼き付いている可能性がある。点滴ノズルのオイルの落ちる速度も確認する。 |
ロックの解除方法 | 吸気口を外し、パーツクリーナーや灯油を少量入れて回しロックを解除する。 |
損傷の確認 | 異音が解消されない場合、内部羽根の傷を確認する。 |
圧力の確認 | エアー漏れを確認し、圧力計で測定する。 |
修理の可否 | 本体の異音が許容範囲内ならオーバーホールで使用可能。羽根に損傷やオイル切れによる焼き付きがある場合は修理不可。 |
HC型ベアリング分解方法は、以下の動画をご覧ください。
まとめ

ロータリーブロワーを長く使用するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。フィルター清掃やオイル管理、異音確認が重要なポイントです。
ストレーナーやネジ溝を定期的に清掃し、オイルの循環をスムーズに保ちましょう。
以下の動画では、オイル抜きパイプを使用した方法を紹介しています。ロータリーブロワーを多く管理している方は、一本持っておくと便利な商品です。
