本記事では「FD-300S」型ロータリーブロワーのメンテナンス方法を解説します。
FD-300Sは、1分間に300リットルの空気を排出できる高性能なブロワーです。
オイルシールやフィルターの管理、異音対策など、日常的なメンテナンスの手順を紹介します。他のロータリーブロワーにも応用可能です。
ロータリーブロワーの仕組みと役割
FD-300S型ロータリーブロワーは、槽内の微生物に酸素を供給し、空気を循環させる役割です。
内部のローターが空気を吸引し、高圧を発生させて空気を吐出口から排出することで、安定した風量を維持します。
定期的なメンテナンスの重要性
ロータリーブロワーを長期間安定して使用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。手順は以下のとおりです。
- フィルター清掃の手順
- オイルの管理とチェック方法
フィルター清掃の手順
フィルターの詰まりは、空気の流れを阻害し、効率を低下させます。手順は以下のとおりです。
- 作業前に電源を必ずオフにする
- 上部のフィルターカバーを外し、フィルターを取り出す
- ブラシやエアダスターでフィルターのゴミやホコリを取り除く
- フィルターを正しい位置に戻す
溝に合わせます。
オイルの管理とチェック方法
オイル管理はブロワーの機能維持に重要です。オイルが不足すると、内部部品が摩耗し、ブロワーが焼き付きます。
一台運転や吐出圧力のかかる現場では、オイル消費量が増加するため注意が必要です。
以下のポイントを確認し、オイル管理を行いましょう。
- オイルゲージでオイル量がメーカー指定の範囲内か定期的に確認する
- ベルトを手で回し、オイルが均等に循環しているか確認する(光沢が見える場合は正常)
- 点滴ノズルでオイルが適切な速度で滴下しているか確認する
オイル補充後。
東浜ロータリーブロワーの純正オイルは、出光ダフニースーパーハイドロ68Xです。
粘度が低いオイルは減りが早くなります。オイルは循環して劣化するため、半年から1年ごとに全量を交換してください。
ブロワーメーカー | オイルの種類 |
東浜ロータリーブロワー | ダフニースーパーハイドロ68X |
アンレットルーツブロワー(BSR・BSS・BER用) | スーパーギアオイル220 |
アンレットルーツブロワー(BS) | スーパーギアオイル460 |
以下の動画も参考にしてください。
異音の原因と対策
異音は、ブロワー故障の前兆です。異音が発生する場合は、早急に原因を特定し、修理や部品交換が必要です。
以下の動画でも解説しています。
異音の原因特定方法
異音がブロワー本体から来ているのか、モーターから来ているのかを判断する必要があります。以下の方法で確認しましょう。
- モーターのみの運転
- ベルトを外し、モーターだけを運転させて音の発生源を確認します。モーターから「ゴリゴリ」という音がする場合は、ベアリングの摩耗が考えられます。
- 本体の確認
- 本体から異音がする場合、オイル不足やローターの劣化が原因です。金属が擦れる音が聞こえる場合は、早急に部品交換を行いましょう。
ベルトとプーリーのメンテナンス
ベルトやプーリーは、ブロワーの動力伝達を担う重要な部品です。部品の劣化や緩みがあると、空気供給に問題が発生します。
ベルトの調整方法
ベルトの調整方法は以下を参考にしてください。
- ベルトの張りを手で押して確認し、緩みがあれば調整する
- プーリーにゴミや汚れが付着していないか確認し、必要に応じて清掃する
ストレーナーとネジ溝の清掃
オイルが循環しない場合は、ストレーナーやネジ溝にゴミが詰まっています。
部品を定期的に清掃することで、オイルの流れを確保します。
ストレーナー清掃の手順
汚れが溜まると、オイルの流れが悪くなります。ストレーナーを取り外し、汚れの状態を確認します。
ストレーナーが破損しているとゴミを吸い込み、点滴ノズルの先が詰まる原因です。
ソフトブラシやウエスでストレーナーを丁寧に清掃し、新しいシールに交換しましょう。
新品はこちら。
ネジ溝清掃の手順
写真を参考にネジを緩め、オイルが滲んでいるか確認します。プラスドライバーでネジを外し、ブラシで丁寧に清掃しましょう。
汚れが取れれば、オイルの滴下速度が改善されます。
以下の動画では、新品のロータリーブロワーのオイル滴下速度を示しています。
まとめ|ロータリーブロワーの長寿命化メンテナンス
ロータリーブロワーを効率よく長期間使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。フィルター清掃やオイル管理、異音チェックは重要です。
ストレーナーやネジ溝の清掃を定期的に行い、オイルの円滑な循環を維持しましょう。
メンテナンス方法はFD-300S型だけでなく、他の機種にも適用できます。
日常的な点検を習慣化し、効率的かつ長寿命な運用を目指しましょう。
ロータリーブロワーチェック項目
ロータリーブロワーのメンテナンスでは、以下の項目を確認しましょう。
確認箇所 | 詳細 |
フィルターの清掃 | フィルターが詰まると浄化槽の機能が低下するため、定期的な清掃が必要。 |
オイルの交換 | オイルの劣化は潤滑を低下させるため、メーカー推奨のオイルと周期で交換が必要。 |
ベルトの調整 | ベルトの緩みは性能低下を引き起こすため、定期的に張りを調整。 |
異音・振動の確認 | 異音や振動は故障の兆候。異常があれば速やかに修理。 |
ベアリングの劣化 | ベアリングの劣化は回転問題を引き起こすため、修理や交換が必要。 |
散気管の詰まり | 異物の詰まりはブロワーの負荷を増加させるため、確認が必要。 |
モーターと本体のチェック | 動作しない場合、モーターや本体のロックを確認し、必要ならばベルトを外して調査。 |
循環ホースの確認 | 循環ホースが茶色の場合、オイル切れで焼き付いている可能性がある。 |
解除方法 | 吸気口を外し、パーツクリーナーや灯油を少量入れてロックを解除。 |
損傷の確認 | 異音が解消されない場合、内部の羽根に傷がある可能性があり、循環不良や圧力不足の解決が必要。 |
圧力の確認 | エア漏れがないか確認し、圧力計で0.01〜0.03MPaの圧力があるか確認。 |
修理の可否 | 本体が軽く回り、異音が許容範囲内なら使用可能。羽根や内壁に損傷がある場合は修理不可。 |
HC型ベアリング分解方法は、以下の動画をご覧ください。