転職や求人情報を調べる中で、バキュームカーの仕事内容や給料が気になる方は多いでしょう。
この記事では、バキュームカーの業務内容や給料について詳しく解説します。
私は浄化槽業界で10年以上働き、そのうち8年間はバキュームカーの運転手を務めてきました。
バキュームカーの仕事内容と特徴
バキュームカーの仕事内容や特徴は、以下のとおりです。
- 浄化槽やくみ取り便所の吸引作業
- 3K:キツイ、臭い、汚い
- バキュームカー作業に求められる体力
浄化槽やくみ取り便所の吸引作業
バキュームカーの主な業務は、くみ取り便所や浄化槽の定期的な清掃です。槽内をきれいにし、次の清掃日まで利用できるようにします。
また、トイレの詰まりなどの緊急トラブルにも対応します。し尿や生活排水をタンクに収集し、汚水処理場まで運搬するのが基本的な流れです。
バキュームカーは、通常の2t車よりも重いため、運転には準中型または中型免許が必要です。
3K仕事?でも実際は…
この職業は「キツイ、臭い、汚い」といった3Kと呼ばれることが多いです。私個人としては、浄化槽の作業でそのように感じる場面はありません。(慣れかな?)
お客様からは「キレイにしてくれてありがとう」と感謝されます。お客様とのコミュニケーションが豊富で、やりがいを感じる場面が多い点も、この仕事の魅力です。
バキュームカーの運転手は、日々インフラや環境衛生を支える重要な役割を担っています。
作業に求められる体力は?
バキュームカーの作業は、他の肉体労働に比べて体力的な負担が少なめです。ホースの扱いに慣れれば、さらに楽になります。
力を使う場面としては、以下の作業があります。
- マンホールの開閉
- サクションホースを引っ張るとき
- 大ホースを扱うとき
女性でも一人で作業をこなす方が多く、体力が理由で辞めることはほとんどありません。退職の主な理由は、人間関係の問題が多いです。
自分に合ったエージェントが見つかる
バキュームカー作業中のニオイについて
バキュームカーのニオイや作業中については、以下を参考にしてください。
- バキュームカーのニオイについて
- 槽内の状態を見ると生活環境がわかる
- 最もニオイがきつい現場
バキュームカーのニオイについて
バキュームカーのニオイは昔に比べて、改善されていますが、無臭にすることは難しいです。
ニオイの感じ方には個人差があるため、苦手な方には厳しいかもしれません。ただ、多くの人は1か月もすれば慣れ、気にならなくなります。
小学生も「臭い」と言いながら、興味を持って笑顔で近寄ってきます。
「作業員やバキュームカーが臭くなる」という話は、都市伝説です。バキュームカーの運転席は無臭で、他のトラックと変わりません。安心してください。
体にニオイが染みつくんでしょ?
体に臭いが染み付くこともありません。注意して作業すれば、汚泥の付着は防げます。
槽内の状態を見ると生活環境がわかる
現場経験を積むことで、ニオイや汚泥の状態から、生活習慣や健康状態を推測できます。以下の表を参考にしてください。
槽内の状態 | 改善点 |
汚泥の蓄積や油量が多い | 使用頻度が多いか、食べ残しや油を流している |
異物の混入 | ビニールやプラスチック片など、分解しにくい異物を流している |
水質の状態 | 濁りや異臭がある場合、ブロワーの故障を放置している |
微生物の活性度 | 洗剤の過剰使用で、微生物の活性が低下している |
生活習慣 | 食べ残しや油の適切な処理、洗剤や薬品の使用の見直しが必要 |
最もニオイがきつい現場
糖尿病患者がいる家庭や、油を多く使う環境では、特有のニオイが発生します。尿中に糖分が増えると発酵臭が生じます。
糖分や油の過剰な流入は槽内の微生物バランスを崩し、処理能力が低下します。
防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 浄化槽清掃の頻度を増やす
- 糖尿病患者は、血糖値の適切な管理を心がける
- 油を使った後は、油分を拭き取る
以上の対策を実施することで、ニオイや処理能力低下を軽減できます。
バキュームカー作業の注意点
作業時の注意点は以下のとおりです。
- バキュームカー業務の7割は運転
- バキュームカー作業のコックの注意点
バキュームカー業務の7割は運転
バキュームカーの業務は主に運転が中心で、最も重要なのは「安全運転」です。山道や狭い道を通るため、運転技術が自然と向上します。
作業中はサクションホースが動くため、適切な取り扱いが必要です。通行人やお客様の花壇などを傷つけないよう注意が必要です。
多くの場合、2人1組で行います。一人が吸引作業を担当し、もう一人がサポートをします。単独で作業できる方は、自分のペースで仕事を進められるため、人間関係によるストレスが少ないです。
タンクが満杯になると、汚水処理場へ向かいます。処理場では洗車ができるため、バキュームカーは清潔な状態で次の現場に向かいます。
コック開閉作業の注意点
バキュームカーの操作は直感的でシンプルです。レバーを左に倒すと吸引、右に倒すと排出が行えます。
コック開閉の注意点は以下のとおりです。
- コックを開いて排出をかける
- 圧が掛かっている場合は中立にする
- コックの開閉に異常を感じたら、作業を中止する
排出作業時は、必ずコックを開けてください。タンク内が高圧状態になります。コックを開けずに排出しようとすると、汚泥が飛び散る危険があります。
排出時にコックを開け忘れた場合は、レバーを中立に切り替え、圧力を抜いてからコックを開いてください。
排出方法は、先輩が真っ先に教えてくれます!
圧力計は定期的に確認し、異常な圧力上昇がないか注意が重要です。コックの開閉は慎重に行い、急な操作は避けましょう。
コックに違和感がある場合は、作業を中断してください。異物が詰まっている可能性が高いです。移動時には必ずコックを閉めてから移動するようにしましょう。
バキュームカー運転手の給与について
バキュームカーの運転手の平均年収は約400万円です。以下の表は一例であり、参考程度にご覧ください。
項目 | 詳細 |
平均年収 | 20代:350〜430万円 30〜40代:400〜500万円 50代:400〜800万円 |
月給の目安 | 25〜50万円 |
給与の特徴 | 比較的高い給与水準が維持され、待遇や福利厚生が良好な会社が多い。年齢や経験に応じた昇給傾向がある |
待遇 | 昇給・賞与制度、各種手当(住宅手当、扶養手当など) |
給与に対する評価は人それぞれ異なり、高いと感じる人もいれば、低いと感じる人もいます。
私自身は満足していますが、他業者の話を聞くと、まだまだ安いなと感じます。
経営者の方々へ、業績が好調であれば、ぜひ給与の引き上げしてください。給与を上げることで優秀な人材が集まり、離職率の低下につながります。
汚水処理施設は定時で閉まるため、残業はほぼありません。多くの企業では土日祝日が休みで、安定した仕事環境です。
待遇や福利厚生が充実している会社も多く、この点も大きな魅力です。
自分に合ったエージェントが見つかる
元作業員が教える!作業で気を付けるべき5つのポイント
浄化槽の清掃作業は一見単純に思えますが、実際には技術と注意が求められます。注意すべき5つのポイントを以下で紹介します。
- 周囲の安全確認
- 汚水の飛散
- ホースの詰まり
- 槽内への転落防止
- 型式に合った清掃手順
周囲の安全確認
作業前には歯止めを行い、作業区画をコーンやバーで明確に区切ります。作業員の安全を確保し、周囲への影響も最小限に抑えられます。
安全確認は作業効率よりも優先してください。
汚水が付着する
トイレットペーパーを多く使用する家庭では、紙が水分を吸収するため、汚泥が乾燥して吸引しづらくなります。
ホースを差し込むだけで吸引できるわけではなく、技術が必要です。
清掃作業では、吸引と排出を繰り返します。排出が難しい場合は、水道水を使って水分を加えると効果的です。
排出時は、汚れが跳ね返り服に付着することがあるので注意が必要です。
実際の清掃方法を、以下で紹介しています。
浄化槽清掃の手順
浄化槽清掃では、作業前に周囲の状況を確認し、衛生面に配慮してゴム手袋を着用します。
ホースを挿入する際は、角度や深さに注意しましょう。効率よく吸引するために回転させたり前後の動きを使ったりします。
作業は現場の状況に応じて、臨機応変な対応が必要です。
ホースの長さと詰まり対策
ホースの長さは作業現場によって異なり、約10〜70mと幅があります。バキュームカー運転手の好みや現場条件に応じて調整しています。
長距離の現場では、2台のバキュームカーを使い、ホースを連結して100メートル以上にすることも。
ホースが長くなると吸引力が低下し、作業時間が延びます。
現場の状態や立地によっては、作業に1時間以上かかります。
ホースの詰まりも必ず一度は経験します。慌てずエアーを噛ませると効率的に吸引可能です。急いで作業を進めると詰まりやすいです。
ホースの先端で詰まると汚れが飛び散るため、タオルをあて飛び散らないように注意してください。
詰まりを防ぐには吸引技術の向上と経験が必須です。
槽内への転落防止
浄化槽清掃作業において、槽内への転落防止は重要な安全対策です。清掃時は水を使用するため、足元が濡れて滑ります。
現場によっては、コケや泥もあるため、足元に十分注意して安全に作業を行いましょう。
型式に合った清掃手順を守る
浄化槽にはさまざまな型式があります。清掃方法を誤ると仕切り板が破損したり、ろ材が落下するなど、浄化槽が損傷する可能性があります。
清掃方法がわからない場合は、維持管理要領書を確認しましょう。
型式名に「維持管理要領」を加えて検索すると、見つかります。
古い浄化槽には維持管理要領書がない場合があります。その際はメーカーに問い合わせて確認しましょう。
バキュームカーの魅力
バキュームカー運転手の仕事は大変ですが、魅力と充実感があります。お客様から直接感謝される機会が多く、大きな励みです。
チップや飲み物、食べ物もたくさん頂きます。
毎日、作業現場が異なるため、新鮮な気持ちで仕事に取り組めます。地図を使って移動するため、地理の知識も自然に深まります。
一人の時間も多くあり、浄化槽業界は他の業種に比べて自由度が高い職業です。
この仕事に興味を持つ方やキャリアを考えている方の参考になれば幸いです。
自分に合ったエージェントが見つかる