調理後の油や嘔吐物をつい排水口やトイレに流していませんか?これらは浄化槽に大きな負担をかけ、水が汚れる原因にもなります。

油は配管の中で固まって詰まりの原因になります。トラブルを防ぐには正しい処理が必要です。

この記事では浄化槽管理士歴10年以上の私が、油や嘔吐物が浄化槽に与える影響と具体的な対策を解説します。

詰まりや臭いを防いで、浄化槽を正しく使うためのポイントを押さえておきましょう。

油や嘔吐物が浄化槽に与える影響|詰まりと臭いの原因になる

油や嘔吐物が浄化槽で処理できない理由と与える影響

浄化槽は家庭や店舗の排水を微生物の働きできれいにする設備です。

油や嘔吐物はふつうの排水とちがって浄化槽では処理しきれません。そのため水を汚してしまいます。

おもな影響は次の2つです。

  • 油は配管で固まって詰まりを起こす
  • 油がたまると酸素が足りなくなり臭いが出る

油は配管で固まって詰まりを起こす

調理後の油を排水口に流すと、配管や浄化槽の入口で水の量を調整する計量マスで固まります。

これが詰まりの原因です。汚水の流れが悪くなると浄化槽の働きも落ちます。

浄化槽の詰まりと働きの低下

上の写真は油で詰まった状態、下の写真は正常な槽内です。

浄化槽の詰まりと働きの低下

油は水と混ざらず、冷えると固まります。配管の内側にくっついて少しずつ詰まっていきます。

» 詰まったときの対処法

油がたまると酸素が足りなくなり臭いが出る

油がたまると起こること
お客様

浄化槽なのになぜうまく処理できないの?

油がたまると起こること
じょー太郎くん

エサが多くなる=微生物が増える=水質が悪くなります!

油や嘔吐物は微生物のエサになります。

消化されていない食べ物や油をエサにして槽の中の微生物が増えすぎてしまいます。すると浄化槽の処理が追いつきません。

増えた微生物は水の中の酸素をたくさん使います。

酸素が足りなくなると水が汚れて腐りやすくなります。油が槽内にたまると処理水が濁り、臭いの原因にもなるので注意が必要です。

槽内の様子は次の動画で確かめられます。

浄化槽の正常と異常の見分け方|水の色と臭いで確かめる

浄化槽の正常と異常を見分けるポイント

下の写真が正常な槽内です。

浄化槽の正常と異常を見分けるポイント

浄化槽の状態は水の色や臭いで確かめられます。おかしいと感じたら早めに清掃などを行いましょう。

浄化槽の正常と異常を見分けるポイント

写真の5番(沈殿槽)を見ると正常なときと水の色がちがいます。

浄化槽の正常と異常を見分けるポイント

正常な浄化槽の処理水は透明でほとんど臭わない

正常に働いている浄化槽の処理水は透明でほとんど臭いません。

定期的に点検と清掃を行って異常がないか確かめましょう。

水が濁ったり臭ったりしたら異常のサイン

槽の中の水が濁ったり臭ったりする場合は詰まりや処理不良が考えられます。

油がたまると臭いが強くなるので早めに清掃しましょう。

油や嘔吐物の正しい捨て方|詰まりを防ぐ家庭の対策

油や嘔吐物による詰まりを防ぐ対策

浄化槽の詰まりや働きの低下を防ぐには毎日の習慣が大切です。

家庭でできる対策は次の2つです。

  • 油は拭き取るか固めてから捨てる
  • 嘔吐物は袋に入れるか水分を吸わせて捨てる

油は拭き取るか固めてから捨てる

調理後の油は排水口へ流さず次の方法で捨てましょう。

  • 使用後のフライパンや鍋の油はキッチンペーパーで拭き取ってから捨てる
  • 大量の油は油凝固剤で固めてから捨てる
  • 調理で使う油の量を減らして排水口の詰まりを防ぐ

嘔吐物は袋に入れるか水分を吸わせて捨てる

嘔吐物が浄化槽にそのまま流れ込むのを防いで負担を減らす方法を紹介します。

使い捨て嘔吐袋に入れて捨てる
嘔吐物は専用の使い捨て袋に入れて燃えるごみとして捨ててください。
嘔吐物の水分を吸収して処理する
嘔吐物の水分を新聞紙などで吸わせて固めます。そのあと燃えるごみとして捨ててください。
トイレに流す場合の注意点
どうしてもトイレに流す場合は固形物を先に取り除いてください。そのうえで多めの水で流して詰まりを防ぎます。

固形物が浄化槽に流れ込むと処理がうまくいきません。臭いや詰まりの原因にもなります。

» 臭気が発生する原因5選

詰まりや臭いを防ぐ商品|嘔吐袋とシーディング剤

詰まりや臭いを防ぐ商品を使う

油や嘔吐物による浄化槽トラブルを防ぐには、次の2つの商品を用意しておくと安心です。

  • 使い捨て嘔吐袋を使う
  • シーディング剤を使う

使い捨て嘔吐袋を使う

嘔吐物をトイレに流さないために使い捨て嘔吐袋を用意しておきましょう。

シーディング剤を使う

シーディングは浄化槽に良い微生物を入れて根付かせることです。

シーディング剤を使うと微生物が元気になり、臭いが減って水がきれいになりやすくなります。

使い方はトイレに流すだけです。

まとめ|油や嘔吐物は流さずごみとして捨てる

まとめ

この記事で紹介した油や嘔吐物の対処法は次の5つです。

  • 油は流さずキッチンペーパーで拭くか油凝固剤で固めて捨てる
  • トイレに吐いたときは固形物を取り除いてから多めの水で流す
  • 嘔吐物は使い捨て嘔吐袋に入れるか新聞紙で水分を吸わせて燃えるごみとして捨てる
  • 臭いが気になるときはシーディング剤を使う
  • 臭いが残る場合は管理会社に頼んで浄化槽を清掃する

管理会社から「油の使用が多い」と言われたら浄化槽の働きが落ちているサインです。

浄化槽を長く良い状態で使うには、定期的な点検と清掃を続けましょう。

臭いや水の流れの悪化・詰まりがある場合はすぐに管理会社へ連絡してください。早めに対応するとトラブルが広がらず浄化槽が長持ちします。清掃の時期や回数は管理会社に相談すると安心です。

» 浄化槽基礎知識

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いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
浄化槽業界に10年以上携わる現役の浄化槽管理士です。 「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」をコンセプトに、現場で得た気づきや詰まりの解消法、ブロワーの修理方法などをYouTubeやSNSで発信しています。 浄化槽は下水道が整備されていない地域で活躍するインフラ設備です。微生物の働きで汚水をきれいにする仕組みのため、適切な維持管理が欠かせません。その維持管理は浄化槽管理士・清掃員・検査員、そして所有者の協力があって初めて成り立ちます。 浄化槽の役割や正しい使い方を、一人でも多くの方に知ってもらえるよう活動しています。