メンテナンス・点検

【アムズCXW型】浄化槽の処理方式と管理法|散気管の清掃や詰まり対策!

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アムズCXW型は、2007年10月18日に認定された浄化槽で、独自の処理方式を採用しています。

この記事では、CXW型の基本構造や処理方式、管理方法について解説します。記事を読めば、CXW型のメンテナンス方法や性能を維持するための対策がわかります。

アムズCXW型の特徴

アムズCXW型は、5人槽・7人槽・10人槽に対応しており、一般家庭や事業所で広く使用されています。

処理方式は「前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式」を採用し、汚水を撹拌しながら微生物の働きで分解します。

前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式

最大の特徴は、効率的な汚水分解処理です。特徴を以下で解説します。

  • 前ばっ気型の特徴とメリット
  • 汚水の処理フローと分解プロセス
  • 槽内での微生物の役割とばっ気の効果

前ばっ気型の特徴とメリット

前ばっ気型は、汚水を撹拌して固形物を分解・浮遊させ、微生物の活動を促進する処理方式です。
分解後は、浮遊物を除去して浮上ろ過槽の底に沈殿させます。この工程によりBOD(生物化学的酸素要求量)が低下し、放流水の水質が改善されます。

» BODについての詳細

汚水の処理フローと分解プロセス

最初に汚水が撹拌され、沈殿とろ過によって浮遊物や不純物が除去され、浄化が進みます。

槽内での微生物の役割とばっ気の効果

ブロワーから供給された酸素で微生物が活性化し、汚水を分解します。

散気管の詰まり問題と対策法

散気管は詰まりやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。主な問題と対策法について、以下の内容を解説します。

  • 散気管が詰まる原因
  • 散気管の詰まりを予防する方法
  • 散気管の清掃手順【動画】

散気管が詰まる原因

トイレットペーパーや汚れが溜まると、前ばっ気内の散気管が詰まります。使用頻度が高い現場では、こまめな点検と清掃が重要です。

散気管の詰まりを除去する方法

散気管を正常に保つには、定期的な点検と清掃が欠かせません。水圧洗浄やブラシを使って汚れを除去し、空気の流れを安定させましょう。

散気管の清掃手順【動画】

詰まり解消法は、以下の動画を参考にしてください。

ブロワー風量の調整とメンテナンスのポイント

ブロワー風量の調整とメンテナンスのポイントは、以下のとおりです。

  • 風量が浄化槽の処理性能に与える影響
  • 5人槽のブロワー設定と最適な風量
  • 風量が低下する原因とダイヤフラムの劣化対策

風量が処理性能に与える影響

ブロワーは浄化槽の処理に欠かせない装置です。5人槽の標準風量は60リットルで、定期的な風量確認が必要です。

ダイヤフラムの劣化や汚れが原因で風量が低下すると、処理性能も落ちます。使用状況に応じて80リットルや100リットルに調整すると、長期的に安定した処理が維持できます。

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ダイヤフラムの劣化対策

ブロワー内部のダイヤフラムは消耗品です。劣化により空気の出力が下がると、詰まりや臭気の原因になります。

風量が落ちたり停止したりした場合は、早めにダイヤフラムの交換を検討してください。

アムズCXW型浄化槽の総容量

アムズCXW型には、5人槽・7人槽・10人槽のタイプがあります。各タイプの総容量は、建物の延床面積に応じて設置されます。

5人槽・7人槽・10人槽の総容量は以下のとおりです。

  • 5人槽の総容量:1.792㎥
  • 7人槽の総容量:2.496㎥
  • 10人槽の総容量:3.655㎥
各槽5人槽容量(㎥)
好気濾床槽第1室0.216
浮上濾過槽1.011
好気濾床槽第2室0.219
沈殿槽0.324
消毒槽0.022

管理ポイントと清掃方法

詰まりやすい箇所を定期的に清掃しましょう。管理ポイントと清掃方法は以下のとおりです。

  • 散気管の清掃と詰まり解消法
  • 担体移流防止網の清掃方法
  • 浮上濾過槽の逆洗の重要性と方法

散気管の清掃と詰まり解消法

散気管が詰まった場合は、接続部を外し、水圧洗浄やブラシで清掃します。第1室の散気管は、ユニオンを回すだけで簡単に取り外せます。

詰まりを解消する際は、散気管を取り外して水圧で洗浄するか、ブラシで汚れを落としてください。清掃後は、散気受け部分に確実にはめ込み、しっかりと固定しましょう。

» CXW型【5,7,10人槽】(外部リンク)

担体移流防止網の清掃方法

担体移流防止網は汚れが溜まりやすいため、定期的にブラシで清掃する必要があります。詰まりを防ぐには、メンテナンス時に網を丁寧にブラシで掃除してください。

浮上濾過槽の逆洗方法

逆洗は浮上ろ過槽にたまった汚れを除去する方法です。バルブ操作やホースを使って槽内を撹拌します。

浮上ろ過槽は水が一方向に流れる構造のため、汚れが蓄積しやすく、定期的な逆洗が欠かせません。バルブ操作でも対応できますが、塩ビパイプとブロワーを接続したホースで撹拌すると、より効果的に清掃できます。

オイルボールの原因と予防策

料理に使った油脂が浄化槽へ流れると、酸化して「オイルボール」と呼ばれる油の塊が発生します。オイルボールは詰まりの原因になるため、油脂は排水に流さないようにしましょう。

» 酸化しやすい油、酸化しづらい油(外部リンク)

油脂は水に溶けず、槽内でオイルボールを形成し、処理機能低下を引き起こします。

» 水と油について(外部サイト)

浄化槽に油を流さないための注意点

浄化槽への油の流出を防ぐには、日常的な対策が必要です。使用済みの食用油は排水口に流さず、専用の処理剤や新聞紙、布に吸わせて可燃ごみとして処分しましょう。

食器や調理器具の油汚れは、できるだけ拭き取ってから洗うと、排水への油流入を減らせます。排水口にネットや油を吸着するフィルターを設置するのも効果的です。

油が浄化槽に流れると、微生物の働きが弱まり、悪臭や詰まりが発生します。天ぷら油やラードなどの動物性油脂は固まりやすく、排水管をふさぎます。使用後の油脂はペーパータオルで拭き取り、可燃ごみとして処分してください。

まとめ

アムズCXW型は、BOD除去率90%以上・放流水BOD20mg/L以下という高い基準を満たしています。浄化槽を長く使い続けるには、定期的な点検や清掃などのメンテナンスが重要です。

散気管や担体流出防止網、ブロワーの風量調整など、定期的な点検と清掃が必要です。

ブロワーの風量を調整し、散気管や担体を定期的に清掃すると、処理能力を安定して維持できます。油の排出を控えると浄化槽の寿命を延ばし、故障の予防につながります。

ABOUT ME
いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
わたしは浄化槽業界に10年以上携わる、現役の浄化槽管理士です。「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」がコンセプトです。実体験をもとにYouTubeやSNSを通じて、現場で得た気づきや詰まり解消法、ブロワーの修理法などを発信しています。 浄化槽は主に下水道が整備されていない地域で活躍するインフラ設備です。微生物の働きによって汚水を浄化する仕組みで、適切な維持管理が不可欠です。維持管理には浄化槽管理士、清掃員、検査員、そして浄化槽所有者の協力が必要です。多くの方に向けて、浄化槽の役割や正しい使い方を伝える活動を行っています。
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