- 処理方式
- 風量
- 総容量
- 管理ポイント
- オイルボールの原因
初心者の方にとって古い型式やメーカーの詳細を理解することが難しいです。今回は平成19年10月18日に認定された「アムズCXW型」の浄化槽について詳しく解説します。
この記事を読むことで、「アムズCXW型」の浄化槽について深く理解できるようになります。
詳細な解説を心がけているので参考にしてください。
前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式
処理方式は「前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式」です。「前ばっ気」は最初の槽が常に撹拌状態であることで、流入した汚水を撹拌して分解する工程が重要です。
分解後、汚水から浮遊物が除去され浮上濾過槽の底に沈殿します。
散気管がよく詰まる
好気濾床槽の第1室では常時撹拌が必要ですが、トイレットペーパーの使用量が多い場所や頻繁に使用される場所では、散気管が詰まる可能性があります。
点検や清掃時には撹拌が正常に行われているか、散気管に詰まりがないかを確認することが大切です。
詰まりを解消する方法については以下の動画で詳しく説明しています。
ブロワーの風量は60ℓ
- 使用頻度が高い環境では、ブロワーの風量を増やす
- 空気不足を感じた場合は、ダイヤフラムの交換を検討する
- 散気管の詰まりを予防するためメンテナンスと清掃が必要
アムズCXW型5人用浄化槽のブロワーは60リットルの風量に設定されていますが、空気配管が一本化されているためエアーバランスの調整が難しいです。
長期使用によりダイヤフラムの劣化が進み、空気出力が低下し、散気管への空気供給量が減少することがあります。これは詰まりや悪臭の原因にもなり得ます。
ダイヤフラムは消耗品で劣化は避けられないため、風量を80リットルに一段階上げることを推奨します。
この調整により空気供給の安定性が確保され、浄化槽の性能を長期にわたり維持できる可能性が高まります。(この提案は実際の現場経験に基づいています。)
総容量は1.792㎥
水が流れる順に容量を記載しています。
アムズCXN5人槽 | 槽容量 (㎥) |
---|---|
好気濾床槽第1室 | 0.216 |
浮上濾過槽 | 1.011 |
好気濾床槽第2室 | 0.219 |
沈殿槽 | 0.324 |
消毒槽 | 0.022 |
全てを合計すると1.792㎥になります。
バキュームカー2トン車で丁度いいサイズですね。
※余談ですが、「CXW-7人槽の総容量は2.496㎥、10人槽の総容量は3.655㎥」です。
管理する時のポイント
- 第1室の散気管洗浄
- 担体移流防止網をブラシで洗浄
- 浮上濾過槽の逆洗
詰まりが発生しやすい主な場所は3箇所あります。まず第1室の散気管です。散気管はユニオン(接続部)を回転させることで簡単に取り外し可能な構造です。
詰まりを解消するには散気管を取り外し水圧で洗浄するかブラシで掃除します。
散気管を元の位置に戻す際は、散気受け部分にしっかりとはまるようにすることが重要です。間違った位置に戻すと再び詰まる可能性があるため注意が必要です。
担体移流防止網の洗浄方法
浮上濾過槽には担体が流出するのを防ぐためスリット付きの網が設置されています。この網は生物膜や汚泥で詰まりやすく、水位が上がる原因となります。
詰まりを防ぐためにはメンテナンス時に網をブラシで清掃することが重要です。
浮上濾過槽は塩ビ管での逆洗が良い
浮上濾過槽は上部で汚水を濾過する構造を持ち、水の流れが一方向になります。濾過過程で蓄積された汚れを取り除くために、「逆洗」が必要です。
逆洗はバルブ操作で可能ですが、より効果的な方法として塩ビパイプとブロワーを接続したホースで濾過部を攪拌しましょう。効率的に逆洗を行い汚れを除去し担体を洗浄できます。
オイルボールとは?油が酸化し固まったモノ
料理で使用された油脂が浄化槽に流れ込むと、空気や水と接触して酸化し、油の塊いわゆる「オイルボール」を形成します。
浄化槽の機能を損なうだけでなく詰まりの原因にもなります。油脂は水に溶けないため、槽内で固まります。
油脂の排出を控え適切に油を処理することが重要です。
1室目が常時ばっ気していることや界面活性剤の影響により、オイルボールが形成されやすい状況が生まれます。
処理能力
項目 | 内容 |
---|---|
処理対象人員 | 5人 |
放流水BOD | 20mg/L以下 |
BOD除去率 | 90%以上 |
結論
- 処理方式: 前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式
- 仕様: 風量は60ℓ、総容量は1.792㎥
- 1室の散気管の清掃
- 浮上濾過槽の逆洗
- 担体移流防止網の清掃
浄化槽のメンテナンスは詰まりや機能低下を防ぐために重要です。「前ばっ気型浮上濾過好気濾床方式」を採用するアムズCXW型では、散気管の清掃、担体流出防止用網のブラシによる洗浄、ブロワー風量の調整が必要です。
油脂の流入によるオイルボール形成は詰まりの主要原因の一つであり、油脂排出を控え適切な処理が求められます。
これらの点に注意し浄化槽の性能維持と長期的なトラブル回避が可能です。
ばっ気とは空気を供給し、微生物の活性を高め繁殖を促進すること。