
- 処理方式は?
- 総容量、ブロワーの風量は?
- 管理ポイント、詰まり対処方法
浄化槽に関する知識を初めて学ぶ方にとって、過去の機種やメーカー情報を一から学ぶのは大変で、途中で挫折する方もいらっしゃいます。
古い型の浄化槽に関する情報がインターネット上で少ないため、保守点検が難しくなることが問題点として挙げられます。
実際の現場を見ると、古い型の浄化槽が今もなお頻繁に使用されているのが現状です。
私は10年以上この業界で経験を積んできましたが、未だ知らない浄化槽の型や特徴が多く存在することを実感しています。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、「セキスイSGC型の浄化槽」について詳しく解説します。

嫌気濾床及び生物濾過を組み合わせた方式


この浄化槽は、「嫌気濾床と生物濾過の組み合わせた方式」を採用しています。
名前は少し複雑に聞こえるかもしれませんが、この浄化槽は高い浄化性能を持っています。
この浄化槽は日立KGF-2型と同じ浄化機能を持つOEM製品です。
家庭からの排水はまず、嫌気濾床槽に流れます。
槽内には多数の「プラスチック製のろ材」が詰められており、流入水は固形物と液体に分けられます。
そして、嫌気性の微生物が活動し有機物を効率的に分解します。
下記の写真は別の型式の浄化槽で使用されるろ材の一例です。

生物濾過とは?細かい浮遊物質(汚れ)を濾過する

「生物濾過」は、汚水処理の一つで、プラスチック製やセラミック製などの担体(微生物が付着・増殖しやすい素材)に対して、付着した微生物によって浄化能力を利用します。
この処理方法では、汚水を担体に通すことにより、そこに付着した微生物が有機物を分解し、汚水が浄化されます。
主に二種類の微生物が活動している
- 嫌気性微生物:
- 酸素を必要とせず活動する
- 嫌気濾床槽内で有機物を分解
- 分解の過程で主にメタンガスや硫化水素ガスを生成
- 好気性微生物:
- 生物濾過槽で活動する
- 酸素を使用し有機物を分解
- 有機物は高度に浄化され、二酸化炭素や水に変わる
2種類の微生物によって処理しています!
生物濾過槽には汚れが蓄積していきます。
そのため、汚れを剥がすための「逆洗管」が必ず備えられています。
設定時間になると、弁が自動的に切り替わり汚れを剥がす作業が始まります。

5人槽の総容量は2.112㎥
セキスイSGC型5人槽 | 槽容量 (㎥) |
---|---|
嫌気ろ床槽第1室 | 1.035 |
嫌気ろ床第2室 | 0.517 |
生物ろ過槽 | 0.400 |
処理水槽 | 0.139 |
消毒槽 | 0.021 |
放流 |
合計2.112㎥となります。
人槽 | 総容量 (㎥) |
---|---|
6人槽 | 2.471 |
7人槽 | 2.870 |
8人槽 | 3.488 |
10人槽 | 4.293 |
ブロワーの風量は80ℓ
この浄化槽は、「風量80ℓの2口タイプ」のブロワーを使用しています。
初めの設置時には、MB-80W型のブロワーが採用されていたと考えられます。
しかし、そのブロワーの寿命が近づいていると感じる場合、交換を検討することを推奨します。
最近のブロワーは「省エネタイプ」に進化しており、電気代の節約が期待できます。
これにより、長期的に電気代の削減と環境への負荷軽減が実現します。
管理ポイントはガス抜き作業
浄化槽の1室や2室にあるろ材内には、「メタンガスやアンモニア性ガス」が蓄積します。
ガスは自然に上昇する性質を持っており、ろ材を押し上げる力が発生します。
そのため、定期的にガス抜き作業が必要です。
この作業を怠ると、ろ材を支える板が破損するリスクや、ろ材が落下する危険があります。
動画では、ガス抜き作業の具体的な様子を確認できます。
これを通じて、ガス抜きの重要性と正しい手順について理解できます。
詰まる箇所は生物ろ過槽
生物ろ過槽で使用される担体は「スポンジ担体」と呼ばれます。
逆洗によって汚れの一部は取り除かれますが、全ての汚れが完全に除去されるわけではありません。
長期間の使用で、スポンジ担体は徐々に劣化し、ボロボロの状態になったり、詰まりが生じて水の流れが悪くなることがあります。
もし逆洗や詰まりの除去を行っても水位が正常に戻らない場合、「担体の交換を考えるタイミング」かもしれません。
この動画を参照することで、作業のイメージを具体的に把握できます。
処理能力
処理能力 | 内容 |
---|---|
処理対象人員 | 5人 |
日平均汚水量 | 1.0㎥ |
放水BOD | 20mg/L以下 |
BOD除去率 | 90%以上 |
まとめ
この浄化槽は、嫌気濾床と生物濾過の2つの方法を組み合わせた手法を採用しています。
槽の容量は2.112㎥、ブロワーの風量は80リットルです。
管理上の重要なポイントとして「ガス抜き」が必要です。
槽内に蓄積されたガスを定期的に放出しないと、ろ材や他の部品が損傷するリスクがあります。
生物濾過槽は詰まりやすく、スポンジ担体が詰まると浄化の効率が低下します。
このような場合、最良の対策は「担体の交換」です。
上記の情報が、皆さんの浄化槽管理に役立つと幸いです。