
浄化槽ブロワーの故障、ニオイが気になるという問題にお困りの方へ。
本記事では、「現役浄化槽管理士」が「浄化槽に最適なブロワーを3機種」、厳選してご紹介します。
市場にはさまざまなブロワーメーカーがあり、どの製品を選ぶべきか迷う方も多いでしょう。この記事ではその悩みを解消します。
私が実際に使用し経験から評価した1口ブロワーの中から、特に性能が優れている3機種を厳選しました。
正しいブロワーの選び方と活用方法を知ることで、ニオイの問題を解消し、より快適な生活環境を実現できます。
結論!
第1位
フジクリーンEcoMac
(風量40〜100ℓ)

第2位
日東工器LAメドー
(風量40〜80ℓ)

第3位
安永AP
(風量40〜100ℓ)
全国の管理士から学ぶ!ブロワーの選び方

以下のアンケート結果は、私が運営する「LINEオープンチャット」で、現役の浄化槽関係者の方々に投票していただいたものです。

フジクリーンと日東工器が人気!
浄化槽に関心を持つ方や新たな知識を求めている方、何か問題に直面している方など、ぜひご参加いただければと思います。
現在、全国から150名以上の浄化槽関係者が参加されており、日々、有益な情報が共有されています。
ブロワーの重要性と役割!

浄化槽は、微生物の活動を利用して汚水を浄化するシステムです。
このシステムで中心的な役割を果たすのが「ブロワー」です。
ブロワーは微生物に酸素を供給するだけでなく、槽内での「撹拌、移送、返送、循環」などのエアー供給も担っています。
そのため、浄化槽が正常に動作するためにはブロワーの役割は欠かせません。
私が日常的に取り扱う約10台のブロワーの中で、長期使用と性能が高いと感じる3つを厳選して紹介します。
各製品の長所と短所を公平に評価して紹介しているので、ぜひ最適なブロワー選びの参考にしてください。
ブロワーが停止すると起こる問題
- ニオイの発生
- 詰まりの原因
- 浄化処理性能の低下
エアーの供給が途絶えると、微生物の活動が低下し、排水の浄化が不十分になり水質が悪化します。
また、酸欠状態が続くと「槽内の微生物が死滅」し、ニオイが発生する可能性が高まります。
このような状態が続くと、放流水の水質基準を満たさなくなってしまいます。
さらに、ニオイや放流水の異常が近隣住民の不快感を引き起こし、クレームやトラブルの原因となることも考えられます。
電気代を節約!3機種の消費電力を比較

ブロワーは24時間稼働する機器であるため、「省エネ性能」は非常に大切です。
下記では、おすすめする3つのブロワーの消費電力を少ない順に表にまとめました。
この比較は、「風量40ℓ」を基準にしています。
モデル | 消費電力 (W) | 24時間の電気料金 (円) | 365日の電気料金 (円) |
---|---|---|---|
安永AP-40ℓ | 27 | 17.50 | 6,386.04 |
日東工器LA-40ℓ | 29.5 | 19.12 | 6,977.30 |
フジクリーンEcoMac40ℓ | 32 | 20.74 | 7,568.64 |
電気料金の計算方法
電気料金の計算を例として紹介します。
まず、電気料金の基本単価は税込で27円/kWhとします。この情報は「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」の新電力料金目安単価に基づいています。
1kWhは1,000Whに等しいので、1Wの電気を1時間使うと、電気代は以下のように計算できます。
1W×1時間÷1,000×27円=0.027円
例えば、50Wのブロワーを1日24時間、1年間連続で使用した場合の電気代は以下の通りです。
0.027円×50W×24時間×365日 =11,826円
- 50Wを1時間使う電気代:0.027円×50=1.35円
- 50Wを1日使う電気代:1.35円×24=32.4円
- 50Wを1年使う電気代:32.4円×365=11,826円
ブロワーの選択において、「電気代は重要な基準の一つ」です。
消費電力が低いモデルを選ぶことで、年間の電気代を大きく節約することができます。
第1位|フジクリーンEcoMac40~100ℓ

- 快適な静音設計
- 効率的で省エネ
- 耐久性のあるフィルター
- 修理とメンテナンスが容易
- コンパクトで設置場所に困らない
こちらのブロワーが圧倒的におすすめ!
全てのブロワーには「フィルター」が装備されています。
フィルターは、ゴミやホコリをキャッチし、配管の詰まりや風量の低下を予防する役割を果たします。
フジクリーンブロワーの特徴は、フィルターの高い耐久性です。
長期間の使用でも破れにくく、メンテナンスも簡単に行えます。フィルターカバーは「手間なく開け閉め」できるので、特別な工具は必要ありません。
後ほど紹介する他の2つのブロワーモデルでは、フィルターの清掃にはドライバーが必要です。

ブロワーの内部にホコリやゴミが溜まると、ブロワーの負荷が増加し過熱するリスクが上がります。
さらに、ホコリが管内に侵入すると配管が詰まったり、風量が低下する可能性があります。風量が不足すると、微生物への酸素供給が不十分となり、結果として汚水の処理が遅くなります。
このような状態は、ニオイの発生や水質の悪化の原因となります。
したがって、「フィルターの定期的な清掃」は非常に重要です。
おすすめポイントは、管理の手軽さ、フィルターの高い強度、修理が簡単、そして静音性とコンパクトなデザインにあります。
以下の動画では、フィルターがホコリで詰まった場合の対処方法について解説しています。
フィルターも丈夫で長持ち!
ブロワーのボディ剥げ問題と解決策!
デメリット
- ボディの色褪せ
- 外観の劣化
設置場所や使用状況、経年劣化により外装の塗装がはがれることがあります。

外装の状態がブロワーの性能に影響を与えることはないため、ご心配は無用です。
見た目が気になるという方は、通気性の良い場所にブロワーを設置することをおすすめします。
さらに、適切なカバーを使用することで外装の塗装剥がれを防ぎ、ブロワー全体の耐久性を向上させることもできます。
また、「2016年10月以降に製造されたブロワーについては、塗装仕様が改良」されています。
塗装の密着度と耐久性が大きく向上し、外装がはがれにくくなっていて、最新のブロワーは以前のものと比べて長持ちします。

満足度 | |
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フィルター強度 | |
価格 | |
耐久性 |

第2位|日東工器LA-40~100ℓ

メリット
- 省エネで電気代節約
- 独自のピストン構造
- 長寿命で高性能
- 耐久性のあるフィルター
メドーブロワーは、他の2つのモデルとは異なる設計を持ち、「独自のピストン式」を採用しています。
こちらのブロワーは「リニア駆動フリーピストン方式」を採用し、特に「耐久性」において卓越しています。
他のブロワーとの比較でも、その頑強な構造は壊れにくい仕様です。
対照的に、他の2つのモデルにはダイヤフラム弁という消耗部品が組み込まれています。
ダイヤフラム弁はゴム製で、気温や天候、内部の熱などの影響を受けやすく、劣化や故障のリスクが高まります。
フィルターの清掃にはドライバーが必要ですが、フィルター自体はホコリやゴミからしっかりと保護する頑丈な設計となっています。

故障時の追加費用に注意!
デメリット
- 異音が発生することがある
- 部品のズレは修理費用が発生する原因
- 風量の増加は本体サイズも大きくなる
以下の写真は新品のピストン部品です。


矢印で示された部分に摩耗が見られる場合、ブロワーの中心がずれていることを示しています。
修理自体は可能ですが、特殊な工具が必要となりそれに伴う追加の費用が発生します。
したがって、「故障した場合は本体の新規交換」をおすすめします。
また、ブロワーを設置する際には「必ず水平な場所を選ぶ」ことが重要です。
これにより、ピストンのズレを最小限に抑えることができます。
次の動画では、ブロワーの芯調整の手順を詳しく解説しています。
ブロワーの異音発生について
ブロワーが経年劣化すると、「異音を発する」ことがまれにあります。
特に、書斎や寝室などの静かな場所の近くにブロワーが設置されていると、異音に関するクレームが増えることがあります。
音に敏感な方は、この異音をストレスと感じるかもしれません。この点は、デメリットとして認識しておきましょう。
以下の動画では、「異音を発しているメドーブロワーの騒音レベルを騒音計で測定」しています。
測定結果を参考に、実際の音の大きさを把握していただければと思います。
風量がアップすると本体も大きくなる

LAシリーズのブロワーは、「風量が増えると本体のサイズも大きくなる特徴」があります。
限られたスペースでの設置を検討している場合、本体の大きさが設置の制約となることが考えられるので、注意が必要です。
添付の写真は、「風量が80ℓ」のブロワーサイズを示しています。

満足度 | |
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フィルター強度 | |
耐久性 | |
価格 |

第3位|安永AP-40~100ℓ

メリット
- 運転音が静か
- デザインがおしゃれでコンパクト
- 低価格でコストパフォーマンスが良い
- 消費電力が少なく節電に有効
- 耐久性が高く、長期間の使用に適している
安永APシリーズは、その洗練されたデザインが目を引きます。
さらに、高い性能を持ち合わせており、特に「本体価格と消費電力が非常に低い」点が大きな特徴です。
これにより、電気代の節約に期待できます。
過去の安永LPシリーズでは、ダイヤフラムの故障が時折報告されていましたが、APシリーズではその問題が大幅に改善され、ダイヤフラムの耐久性が高まっています。
フィルターとパッキンの耐久性
デメリット
- 維持費が高まる可能性あり
- フィルターやパッキンの劣化が早い


上がフィルターで下がパッキンの写真です。

ブロワーの使用に伴い、パッキンやフィルターは徐々に劣化します。
特に、安永APブロワーはフィルターの精度が高く、ホコリの吸着性能は非常に優れています。
しかし、それが劣化を早める要因となり、定期的な交換が必要となります。
もし管理業者がパッキンやフィルターの交換を無償で提供しているのであれば、そのコストを気にする必要はありません。
ただし、交換に費用がかかるといった場合は、「コストパフォーマンスが低下するリスク」があるので注意が必要です。
定期的なパッキンやフィルターの清掃は、その耐久性を保ち、寿命を延ばすために重要です。

満足度 | |
---|---|
価格 | |
フィルター強度 | |
耐久性 |
取り付け簡単!コンセントを差し込むだけ!

紹介したブロワーは簡単な設置方法も一つの魅力です。
「設置方法がわからない」とお悩みの方もいるかもしれませんが心配ありません。
特別な電気工事の知識や資格は必要なく新品のブロワーを箱から取り出し、既存のブロワーと取り替えるだけです。
新しいブロワーを同じ場所に設置し、コンセントに接続するだけで設置作業は完了です。
- 手軽に取り付け可能
- 5分での簡単設置
- アース工事不要
設置場所によっては、ブロワーを水平に設置するのが難しい状況もあります。
そのような場合は、新たにブロックを用意し、ブロワーがしっかりと水平に保持されるような設置を行うことが重要です。
また、雨水自体は基本的にブロワーに問題を引き起こしませんが、完全な水没は故障の要因となり得ます。
浸水の可能性がある場所にブロワーを設置する際は、ブロワーが水面に触れないような高い位置に設置してください。
- 配管の曲がり箇所は5箇所以内まで
- 浄化槽との距離は10メートル以内にする
- ブロワーは水平かつ日光を避けた風通しの良い場所に設置
- 水や雪の影響を避けるため、浸水・積雪のない場所が適している
一時的なニオイの対策!交換時のアドバイス
ブロワーを交換した場合、一時的にニオイが発生します。
ニオイを抑制するためには、「シーディング剤」の使用がおすすめです。
これにより活動を停止していた微生物が再活性化し、ニオイの発生を効果的に抑制することが可能になります。

ブロワーを新しく交換した1〜2日間は、微生物が一時的に死滅し、強いニオイが発生することがあります。
ニオイの原因は死んだ微生物が混ざり合い空気中に広がるため。
微生物が健康な状態に回復するまでには若干の時間が必要で、その間ニオイが続きます。
そのため、ニオイが気になる方は、「シーディング剤」の使用をおすすめします。
シーディング剤を使用することにより、微生物の活動が活性化し、「水質の向上及びニオイの軽減」が期待できます。
使用方法は簡単で、パッケージされたシーディング剤をトイレに直接流すだけ。
まとめ

今回紹介する3つのブロワーは、どれも高性能、高耐久を持っておすすめできるものです。
まだどれにするか迷っている方は、特に私イチオシの「フジクリーンブロワー」をぜひ試してみてください。

ネットでの購入は経済的に魅力的ですが、ご自身で購入や交換を行った場合、一部の管理業者では保証の適用が受けられないこともあるので注意が必要です。
管理業者へ依頼すると費用は若干上がりますが、その後のサポートが手厚いといったメリットもあります。
ブロワー故障の原因はさまざまで、配管の距離、水平設置の有無、電圧の安定性、配管の詰まり等が影響します。
ブロワーは家電製品と同じく消耗品のため、「いずれ故障する」ということを頭に置いておくことが大切です。
適切な管理とメンテナンスを行い、長期間のブロワー使用を目指しましょう。
現場からは以上です!
ブロワーの風量は「40ℓ~」選べます。
※必ずご自宅の浄化槽の型式に合った風量のものを選んでください。