- 浄化槽から泡が出る原因は?
- 浄化槽の人槽はどう決まる?
- 浄化槽の寿命はどのくらい?
本記事では、浄化槽から泡が発生する原因や人槽の決まり方、浄化槽の寿命について解説します。
記事を読むことで、浄化槽トラブルを未然に防ぐ知識が得られます。
発泡が起きる原因

発泡が起きる原因は、以下のとおりです。
- 洗剤の使いすぎ
- 微生物の働きの低下
- 放線菌の異常増殖による問題
- 放線菌が繁殖しやすい条件
洗剤の使いすぎ
一度に洗剤の使用量が多すぎたり、大量に流したりすることが発泡の原因です。槽内のばっ気槽で洗剤が撹拌され、泡が発生します。
必要に応じて消泡剤を使用しましょう。発泡が続く場合は、管理業者に相談してください。
微生物の働きの低下
発泡の主な原因は、微生物の働きの低下です。微生物に影響を与える原因として、以下の点が考えられます。
- 微生物の増減や気温や水温の変化によるもの
- 浄化槽の使用開始時は微生物のバランスが不安定になる
気温や水温の変化は微生物に影響を与え、発泡の原因になります。海で発生する赤潮も微生物による発泡の一例です。
新設の浄化槽では微生物の定着が不安定なため、泡が発生しやすくなります。
新設の浄化槽の対策としては、「シーディング剤」の使用が効果的です。槽内に微生物が定着し、浄化槽の処理機能が向上します。
シーディング剤は、微生物や酵母を乾燥させた粉末です。

単独処理浄化槽では、茶色い泡が発生することがよくあります。
単独処理浄化槽にはお湯が流入しないため、水温が低くなりがちです。微生物は水温が高い方が活発に働くため、低温では働きが低下します。
茶色の泡は、流入水量の少なさによる希釈不足が原因である可能性が高いです。
放線菌の異常増殖による問題

放線菌が曝気槽内で異常増殖すると、発泡現象が発生します。泡は茶褐色で粘度が高く、水をかけても効果が薄く、消泡が困難です。
一般的な消泡剤では、効果が得られないことが多いです。
放線菌が繁殖しやすい条件
放線菌は以下の環境で、繁殖します。
- 排水中の油分や炭水化物濃度が高い場合
- 外気温や水温が変化する場合
- 乳業系の排水が含まれる場合
- 窒素やリンの栄養塩が不足、またはバランスが偏る場合
- 溶存酸素(DO)濃度が高い環境
- 膜分離活性汚泥法(MBR)を採用している場合
浄化槽から発泡があるときの対処法

発泡が見られる浄化槽です。シリコン消泡剤を使用し、泡を発泡を消します。

消泡剤を使用したあとの写真です。シリコン消泡剤は、水で希釈して使用します。
少量で効果がありますが、泡が大量に発生している場合は原液を直接投入すると効果的です。

実際に、以下の動画で使用しています。
延べ床面積と人槽の関係

延べ床面積と人槽の関係は、以下のとおりです。
- 延べ床面積による人槽の目安
- 住宅規模と浄化槽の容量選定
延べ床面積による人槽の目安

2人しか住んでいないのになんで7人槽なの?
人槽は実際の居住人数ではなく、延べ床面積で決まります。
以下の表を参考に、延べ床面積に応じた人槽の目安を確認してください。
延べ床面積 | 人槽 |
延べ床面積が130㎡未満(約40坪未満) | 5人槽 |
延べ床面積が130㎡(約40坪以上) | 7人槽 |
2世帯住宅(キッチンまたは浴室が2箇所以上ある場合) | 10人槽 |
表は一般的なガイドラインです。人槽は現場の状況によって異なるため、必ず設置業者に相談してください。
住宅規模と浄化槽の容量選定
人槽の基準は、日本産業規格(JISA3302:2000)にもとづいています。
ただ、地域の条例や特例措置によって規定が異なる場合があります。
地域によっては、少人数の既存住宅で一定の条件を満たす場合、7人槽から5人槽への削減が認められています。
浄化槽を設置する際は、地域の規制や実際の使用状況を考慮し、適切な人槽を選定することが重要です。
浄化槽の耐用年数について

浄化槽の耐用年数について、以下で解説します。
- 浄化槽の寿命について
- 定期的なメンテナンスが必須
- 最近の浄化槽は耐久性が向上している
浄化槽の寿命について
一般的な耐用年数は約20~30年です。
浄化槽の耐用年数は、設置場所や環境条件によって異なります。地盤が安定している場所は長持ちしやすい傾向です。
地震が多い地域や地下水位が高い場所では劣化が早まります。定期的な保守点検や清掃を行い、異常を早期に発見することが寿命を延ばす鍵です。
設置場所や使用状況、地盤状態によって変動します。
定期的なメンテナンスが必須

維持管理は浄化槽の寿命を延ばすために不可欠です。年1回の清掃や法定検査、保守点検を怠ると、浄化槽の機能が低下します。
現在の浄化槽は耐久性が向上している
現在の浄化槽は、材料や設計の改良により耐腐食性や耐久性が向上しています。定期的な点検や清掃を行えば、寿命は30年以上期待できます。
災害や大きなトラブルがなければ、長期間安定して使用可能です。省エネ性能の向上により環境負荷を抑えながら、高い処理能力を維持できます。
ランニングコストが削減され、経済的なメリットも得られます。
まとめ

本記事のまとめは、以下のとおりです。
- 発泡の主な原因は微生物の活動低下
- 人槽数は建物の延べ床面積で決まる
- 浄化槽の耐用年数は約20~30年
浄化槽は定期的な維持管理が必要です。正しい使用を心がけることで寿命が延び、水質への影響も軽減されます。
適切な維持管理を行い、快適な生活環境を保ちましょう。