浄化槽担体・ろ材の特徴|種類別の特徴とトラブル事例紹介!
浄化槽の点検で「担体が流出している」「ろ材が浮上している」と指摘され、戸惑った方も多いのではないでしょうか。
担体やろ材は微生物のすみかとなり、汚れを分解する大切な部材です。
水質悪化やニオイの主な原因は、担体やろ材の劣化と流出です。劣化や流出が起こると、処理性能は大きく低下します。
この記事では、担体・ろ材の役割やトラブル事例について解説します。
好気処理における担体の役割と担体流動槽の仕組み

好気処理は、槽内の汚水を撹拌して微生物に酸素を送り、汚れを分解する方式です。担体のおもな役割は次のとおりです。
- 汚水を効率よく処理できる
- 微生物が有機物を分解する
- 家庭用から産業用まで幅広く使える
担体はプラスチックやスポンジ製で、直径5cm未満の小さな部材です。
担体流動槽や生物ろ過槽で流動させ、微生物が働きやすい環境を作ります。
以下の動画でも解説しています。
嫌気処理におけるろ材の役割と嫌気ろ床槽の仕組み

嫌気ろ床槽は、汚れを固形物と液体に分けて分解する槽です。
酸素を必要としない微生物が活動し、汚れを分解します。
「嫌気」は空気を嫌うという意味で、酸素なしで働く「嫌気性微生物」を指します。
担体・ろ材の主な種類と特徴を比較

浄化槽で使う担体やろ材は、メーカーや構造により形状が異なります。代表的な種類は次のとおりです。
- 担体(プラスチック・スポンジ製)
- ヘチマ型ろ材|軽量で詰まりにくい構造
- ボール状ろ材|高耐久で汚泥保持量が多い
- 円筒状ろ材|乱流を生かした高効率処理
- 波板状接触ろ材|広い表面積で長期間安定
担体(プラスチック・スポンジ製)の特徴

担体は軽くて微生物が付きやすい部材です。槽の設計に合わせて、流動型と固定型を使い分けます。

好気槽では、担体に付着した微生物が汚水を分解して水質を改善します。
次の写真は、微生物が担体に付着している様子です。

担体は、担体流動槽や生物ろ過槽の処理段階で使われています。

ヘチマ型ろ材|軽量で目詰まりしにくい構造

ヘチマ型ろ材は微生物が付きやすく、目詰まりしにくい構造です。軽くて丈夫で、長く使っても形が崩れにくいのも利点です。
ボール状ろ材|高耐久で汚泥を多く保持

ボール状接触ろ材は絡まりにくく、広い表面で汚泥をしっかり捕らえます。軽くて丈夫なため変形や破損が少なく、長期間使えます。
円筒状ろ材|乱流を生かした高効率処理

円筒状ろ材は網目状の構造で、汚泥をためながら微生物が定着します。汚水が乱れて流れることで微生物との接触機会が増え、汚れがしっかり分解されます。
高密度ポリエチレン(HDPE)製で軽く、腐食や衝撃にも強い素材です。
点検でガス抜きがしやすい点もメリットです。
波板状接触ろ材|広い表面積で長期間使える

接触ろ材は微生物が付着しやすく、有機物や汚れを表面で分解します。
表面積が広いぶん微生物が多く付き、汚泥をしっかり保持します。
耐久性も高く、長く使えるのが魅力です。波板状接触ろ材のおもな特徴は次のとおりです。
- 広い表面積で処理能力が高い
- 耐久性が高く長期使用に対応
- 適度な水流抵抗で接触時間を確保
- 微生物の増殖に適した素材を使用
- 微生物が付着しやすい形状
- 腐食やサビがなく維持管理がしやすい
- 安定した性能で高い水処理効果を発揮
担体・ろ材のデメリット|劣化と流出が浄化槽に与える影響

担体のデメリット|摩耗・流出・交換コスト
担体のおもなデメリットは次のとおりです。
- エアレーションの衝突で担体が摩耗する
- 摩耗により破片や担体が流出するおそれがある
- 消耗品のため定期的な交換が必要
担体が流出する原因と浄化槽への影響
劣化した担体はメッシュをすり抜け、外部へ流出することがあります。流出を防ぐには、定期的な点検が欠かせません。
嫌気ろ材の経年劣化と流出リスク
嫌気ろ材は年月とともにネットが破れ、流出するおそれがあります。こまめな点検でトラブルを未然に防ぎます。
清掃不足や使用頻度が高い現場では、劣化のリスクが高まります。蓄積した汚泥の重みやガスの発生で、ろ材が落下や浮上を起こすこともあります。
担体・ろ材の劣化事例と修理・対策方法

担体・ろ材の劣化事例と、修理や対策の方法を以下で解説します。
担体の入れ替え手順
以下の動画で、劣化した担体の交換作業をご紹介します。
ろ材の清掃方法
以下の動画で、ろ材の清掃方法をご紹介します。
補修工事のビフォーアフター事例
以下の写真はろ材浮上の補修工事で、ろ材止めが浮上した状態です。

浮上を防ぐためにLアングルで固定しました。

以下の写真はバッフルとろ材浮上の補修事例です。

修理後の状態です。

ろ材流出の補修事例は以下のとおりです。

ろ材を引き上げた様子です。

補強用の足を作成し、ろ材を支えます。

補修が完了した状態は以下の写真のとおりです。

水張り後の槽内の様子です。

まとめ|ろ材・担体を長持ちさせるポイント

ろ材は大きなゴミや浮遊物を取り除いて分解します。担体は微生物が付着し、細かい有機物を分解する役目です。
ろ材と担体は、浄化槽の性能を左右する大切な部材です。微生物が汚れをしっかり捕らえると、処理効果が高まります。
形状も用途に合わせ多彩なタイプがあります。ろ材や担体を長持ちさせるコツは、こまめな点検と清掃です。

