浄化槽を使用していると、害虫の発生や悪臭が生じることがあります。日常生活や周囲の環境に悪影響を及ぼすため、対策が必要です。
本記事では、槽内でよく見られる害虫対策5選と、侵入経路や効果的な駆除方法について解説します。
記事を読めば、害虫の予防方法を理解し、衛生的な生活環境を維持するための知識が得られます。
浄化槽内に生息する害虫5選

浄化槽内でよく見られる害虫は以下のとおりです。
- チョウバエ
- サカマキガイ
- アメリカミズアブ
- 蚊
- ゴキブリ
チョウバエの特徴と駆除法
チョウバエは繁殖力が強く、厄介な害虫です。網戸や換気扇の隙間から侵入し、浴室や部屋に現れます。
現場ではマンホールを開けて殺虫剤を散布し、数分間ふたを閉めて密閉すると、効率的にチョウバエを駆除できます。
一度の産卵で約200~300個の卵を産み、約20日で成虫となり活発に飛び回ります。チョウバエの特徴は以下のとおりです。
- 繁殖力が強く室内に侵入しやすい
- 殺虫剤に対する耐性がある
- 茶色でハート型の羽を持つ小型のハエ
- 水回りや汚れた場所に発生しやすい
マンホール周辺でチョウバエを見かけた場合、槽内にも潜んでいる可能性が高いです。チョウバエを駆除するには「バポナプレート」の設置が効果的です。
槽内に設置すると、約3か月間にわたり殺虫効果が続きます。目に見えない場所に潜む害虫にも作用し、春夏の活動期に高い効果を発揮します。
サカマキガイの特徴と駆除法
サカマキガイは雑食性です。浄化に必要な微生物や汚泥を食べるため、水質悪化を引き起こします。
サカマキガイの特徴は以下のとおりです。
- 透明なゼリー状の卵を産む
- 繁殖力が強く、生態系に悪影響を与える
- エサが豊富な場所に多く生息する
- モノアラガイ類とは殻の巻きが逆向き
- 弱アルカリ性や硬水環境で繁殖しやすい
雌雄同体で高い繁殖力を持つため、少数の個体からも急速に増殖します。
雌雄同体とは、1つの個体がオスとメス両方の性を持つことです。
サカマキガイを観察した動画はコチラ↓
サカマキガイの増殖原因は、側溝からの逆流や点検用具、バキュームホースに付着しての侵入です。
駆除には「サカマキラー」の定期散布が効果的です。サカマキガイの駆除と水質改善の効果が実感できます。
サカマキラーの使用結果は、以下の動画でご覧いただけます。

アメリカミズアブの特徴と駆除法

アメリカミズアブは「フェニックスワーム」とも呼ばれ、日本では便所バチとして知られています。マンホールの隙間に卵を産み、孵化後は周囲を飛び回ります。
混ぜ混ぜするぜ~
見た目が不快で、大量発生するとスカムを食べて汚泥をドロドロにし、悪臭の原因になります。浄化槽管理士にとって、最も厄介な害虫です。
アメリカミズアブの特徴は以下のとおりです。
- 繁殖力が強く大量発生するアブの一種
- 成虫は飛び回り見た目が不快
- 湿気の多い場所に集まり屋内にも侵入する
アメリカミズアブの対策には「バポナプレート」や「バポナうじスティック」が効果的です。
うじスティックは、スカムの表面やマンホールの枠縁に散布すると、アメリカミズアブの幼虫を駆除できます。
マンホールからの幼虫の這い上がりを防げます。マンホール周辺で不快な臭いや虫を見つけた際は、バポナ製品の使用がおすすめです。

蚊・ゴキブリに効果的な殺虫剤
槽内は一年を通して温暖なため、害虫にとって快適な繁殖環境です。特に夏場はヤブカの活動が活発になり、虫よけスプレーが欠かせません。
ヤブカやアカイエカに刺されると、痒みが生じ、夜間には耳元で音を立てて睡眠を妨げます。
蚊やゴキブリの駆除には、バポナプレートやキンチョールの使用が有効です。槽内に設置やキンチョールを噴射することで、害虫を駆除できます。

浄化槽清掃で汚泥と害虫を一掃

害虫の繁殖を抑えるには「浄化槽清掃」が効果的です。槽内では処理初期に固形物と液体が分離し、重いゴミや残飯は底に沈みます。
軽いゴミやガスは上部に集まり「スカム」を形成します。
スカムとは、水より軽い不純物や固形物が水面に集まって形成される浮きカスのことです。底部から上昇するガスにより、汚泥の層が生成されます。

以下の動画ではスカムについて解説しています。
害虫の侵入を防ぐ|注意すべき3つの場所

虫の侵入場所と対策は、以下のとおりです。
- 換気扇からの侵入と対策
- 網戸を強化して害虫の侵入を防ぐ
- 古い家の隙間を防ぎ害虫の侵入を防ぐ
換気扇からの侵入と対策
お客様から「部屋に虫が入る理由」をよく聞かれます。原因の一つは換気扇を通じた侵入です。
換気扇が連続動作している間は虫は入りませんが、起動と停止を繰り返す際に侵入します。
網戸を強化して害虫の侵入を防ぐ

網戸は衝撃に弱く、裂けたり穴が広がります。小さな隙間から虫が入るため、網の張り替えや、目の細かい網戸への交換が効果的です。
網戸の近くに植木鉢やバケツの受け皿を置くと、蚊が水たまりを産卵場所として利用します。水たまりを取り除くと、蚊の繁殖を防げます。

古い家の隙間を防ぎ害虫の侵入を防ぐ
近年は「高気密・高断熱」という言葉をよく見聞きします。古い住宅は気密性が低く、経年劣化や地震によってできたヒビや隙間から虫が侵入しやすくなります。
新築やリフォームの際に高気密・高断熱を取り入れると、虫の侵入を防げるだけでなく、室内環境も快適になります。
浄化槽害虫によくある質問

浄化槽害虫によくある質問は以下のとおりです。
- 槽内に発生しやすい害虫の種類は?
- 害虫が発生する原因は?
- 害虫の効果的な駆除方法は?
- 害虫の発生予防策は?
- 害虫が家庭に与える影響は?
浄化槽に発生しやすい害虫の種類は?
浄化槽内では、蚊やチョウバエ、アメリカミズアブなどが発生します。いずれも繁殖力が高く、放置すると悪臭の原因にもなるため、早めの対策が重要です。
害虫が発生する原因は?
槽内の高湿度と豊富な汚泥が害虫発生の原因です。マンホールや換気口の隙間から侵入します。定期的なメンテナンスが効果的な害虫予防策です。
害虫の効果的な駆除方法は?
槽内の害虫駆除には、殺虫プレートや散布タイプの殺虫剤が有効です。サカマキガイの対策には「サカマキラー」などの専用駆除剤が適しています。
定期的に散布すると、害虫の発生を効果的に抑えられます。
害虫の発生予防策は?
害虫の発生を防ぐには、定期的な浄化槽の清掃が重要です。殺虫剤や駆除剤を適切なタイミングで散布・交換すると、害虫の再発生を防止できます。
害虫が家庭に与える影響は?
害虫が発生すると、悪臭が家の周囲に広がる原因になります。早めに対策を行うと、家庭の衛生環境を良好に保てます。
まとめ|害虫駆除と浄化槽メンテナンスの重要性

害虫が発生すると、悪臭が生じるだけでなく、浄化槽の処理機能も低下します。汚水処理が妨げられ、水質悪化や環境への影響につながります。
害虫の予防には、浄化槽の定期的なメンテナンスと清掃が欠かせません。害虫駆除や対策を徹底し、槽内の衛生環境を良好に保ちましょう。