管理会社や法定検査でブロワーの故障を指摘され、対応に困る方は多くいます。ブロワーの購入を検討していても、機種が多くどれを選べばよいか迷う方もいます。
ブロワーは槽内の微生物を活性化させる装置です。風量や型式を誤ると、水質悪化や臭気発生の原因になります。
浄化槽を適切に運用するには、用途に合ったブロワーの選定が重要です。この記事では、逆洗タイマー付き2口ブロワーのおすすめ製品を紹介し、メーカーごとのメリット・デメリットを解説します。
記事を読めば、ご自身の環境に合うブロワーが明確になり、安心して購入・設置できます。
テクノ高槻DUO(風量60〜80ℓ)

フジクリーン工業UniMB(風量60〜100ℓ)

日東工器メドーLAG(風量80ℓ)

逆洗タイマー付き2口ブロワーおすすめモデル3選

おすすめの逆洗タイマー付き2口ブロワーは、以下のとおりです。
- テクノ高槻DUO型|コスパ重視のエントリーモデル
- フジクリーンUniMB型|省エネ・高機能で初心者にも安心
- 日東工器メドーLAG型|耐久性に優れたピストン式モデル
テクノ高槻DUO|コスパ重視のエントリーモデル

テクノ高槻の後継モデル「DUOブロワー」は、コスパに優れた製品です。紹介する3機種の中で最も価格が安く、品質も確かです。初期費用を抑えつつ、おしゃれな外観を求める方におすすめです。
テクノ高槻DUOブロワーのデメリットは、カバーの構造が複雑で、ホコリが取りにくい点です。以下の写真は清掃前の状態です。

清掃後の写真は以下のとおりです。


フジクリーンUniMB|省エネ・高機能で初心者にも安心

フジクリーンUniMBブロワーのメリットは、以下のとおりです。
- メンテナンスが簡単で作業の手間を削減できる
- 逆洗機能の設定がスムーズに行える
- 吐出口の向きを気にせず自在に使える
- 消費電力が少なく省エネ効果が高い
UniMBブロワーのデメリットは、吐出口反転アダプターを使用する際に13mmの塩ビパイプが必要になることです。
本体価格はやや高めですが、低消費電力のため電気代を抑えられ、長期的にはコスト回収が見込めます。

上記画像の、プログラム表のQRコードを読み取ると設定方法が確認できます。設定方法が不明な場合は、管理業者へ依頼しましょう。
主要な浄化槽に対応する逆洗機能を備え、逆洗の時間や回数を簡単に変更できます。フィルター清掃は他機種より手間が少なく、工具も不要です。1万円以上する圧力計も付属しています。

吐出変換アダプターについて

UniMBブロワーには「吐出口反転アダプター」が付属しており「右ばっ気用」と「左ばっ気用」を簡単に切り替えられます。初めて購入する方でも使い方を理解しやすく、安心して選べます。
アダプターを使用するには「直径13ミリの塩ビパイプ(長さ5センチ程度×2本)」が必要です。使用イメージは以下の写真をご覧ください。


ブロワーの中でも、フジクリーン製は最も消費電力が低く、省エネ性能に優れています。長期間の使用でも電気代を抑えられ、高いコストパフォーマンスを発揮します。
迷って決められない方には、UniMBブロワーをおすすめします!

日東工器メドーLAG|耐久性に優れたピストン式モデル

日東工器メドーブロワーは「ピストン式ブロワー」が特徴です。他の2機種より内部部品の耐久性が高く、壊れにくい点がメリットです。
- 壊れにくい耐久性重視の設計を採用している
- フィルターの耐久性が高く長く使える
- 独自開発のピストン方式を採用している
日東工器メドーLAG型のデメリットは、以下のとおりです。長期間使用すると、経年劣化により故障の兆候が現れます。異音が出始めた場合は、ブロワー故障のサインです。
内部のピストンが中心からずれると、修理には専用工具が必要になります。ブロワー故障時には本体を新しく交換する必要があります。
メドーブロワーピストン部品の交換法は、以下の動画をご確認ください。

1口と2口ブロワーの違いとは?用途に合った選び方を解説
以下の写真が1口ブロワーです。

以下の写真は2口ブロワーです。

ブロワーには「1口」と「2口」の2種類があります。それぞれの違いを以下で解説します。
- 処理方式の違い|1口・2口ブロワーの使い分け
- ブロワーの役割|微生物と配管にエアーを送る重要機器
- 左ばっ気・右ばっ気の違いと確認方法|購入前のチェックポイント
処理方式の違い|1口・2口ブロワーの使い分け
ブロワーには「1口」と「2口」の2種類があり、浄化槽の処理方式に応じて使い分けます。1口ブロワーはろ過槽のない浄化槽向け、2口ブロワーは生物ろ過槽付きの浄化槽に適しています。
生物ろ過槽は、担体を使用して浄化処理を行います。ブロワーは浄化性能に大きく影響するため、浄化槽の型式に適合した機種を選びましょう。
下の画像で生物ろ過槽の構造をご確認ください。

水の移送過程で汚れがろ過槽に蓄積し、詰まりの原因になります。
2口ブロワーは片方の口から空気を送り、設定時間に応じて自動で弁が切り替わります。逆方向から空気を送ることで、ろ過材を逆洗し、詰まりを防ぎます。
以下の動画で、逆洗前後の様子をご確認ください。
ブロワーの役割|微生物と配管にエアーを送る重要機器
ブロワーは24時間稼働し、エアーを供給して汚水を移送・循環します。ブロワーの役割は以下のとおりです。
- 微生物に酸素を供給する
- 配管にエアーを供給する
- 移送・返送・循環・放流の役割を担う
ブロワーが故障して酸素供給が止まると、浄化槽の処理機能も停止します。停止したブロワーについては、以下の動画で解説しています。
左ばっ気・右ばっ気の違いと確認方法
2口ブロワーには「左ばっ気用」と「右ばっ気用」があります。購入前に、現在使用中のブロワーを必ず確認しましょう。
確認方法は簡単で、ブロワーの吐出口に立ち、表面の青いシールを見ます。散気シールが左側なら「左ばっ気用」右側にシールがあれば「右ばっ気用」です。
下の写真では、青いシールが向かい合った際に右側にあるため「右ばっ気用」と判断できます。

下の写真では、青いシールと向かい合った際に左側にあるため「左ばっ気用」となります。

ブロワー3機種の電気代を比較|年間コストを抑えるポイント

以下の表は各ブロワーの消費電力と年間電気料金の概算です。端数は切り捨てています。
型式(モデル) | 消費電力(W) 散気時 | 消費電力(W) 逆洗時 | 24時間の電気代(円) | 365日の電気代(円) |
テクノ高槻 DUO-80ℓ | 58 | 58 | 36 | 13,718 |
フジクリーン UniMB-80ℓ | 49 | 52 | 30 | 11,589 |
日東工器 メドーLAG80ℓ | 72 | 72 | 44 | 17,029 |
電気代はブロワー選びの重要なポイントです。コストパフォーマンスや使用環境に合ったブロワーを選びましょう。
電気代の計算方法と目安
電気料金の計算例を紹介します。電気料金の基本単価は税込27円/kWhです。
「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」の新電力料金目安単価にもとづいています。
50Wのブロワーを1日24時間使用する場合、1日の消費電力量と電気代は以下のとおりです。
1日の消費電力量は次の計算方法で求めます。1日の消費電力量=50W×24時間=1,200Wh
1,200Whをキロワット時(kWh)に変換します。1,200W÷1,000=1.2kWh
したがって、1日あたりの消費電力量は1.2kWhです。
電力単価を27円/kWhとすると、1日あたりの電気代は以下のとおりです。
1日あたりの電気代=1.2kWh×27円=32.4円年間の電気代は1日あたりの電気代を365日分で計算します。
年間の電気代=32.4×365日=11,826円50Wのブロワーを1日24時間、1年間使用すると、年間の電気代は約11,826円です。
まとめ|ブロワー購入で失敗しないために

ブロワー購入前に確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- 浄化槽の型式に合ったブロワーを選定する
- 右ばっ気・左ばっ気の仕様を事前に確認する
- 省エネ設計の製品を選ぶ
- メンテナンス性の高い製品を優先する
低価格を理由に、既存ブロワーより風量が低い機種への交換は避けましょう。交換時は現在の風量と同等のものを選ぶことが重要です。
例えば、現在70ℓのブロワーを使用している場合、80ℓのブロワーに交換しても問題ありません。
多くの方が風量や型式を確認して購入しますが、風量が合っていないケースもあります。購入時は注意が必要です。
浄化槽に適合しないブロワーを使うと、臭気の発生や処理効率が下がる原因になります。
今回紹介した2口ブロワーは、手頃な価格ながら性能が高く、コストパフォーマンスに優れています。
迷っている方には、フジクリーンUniMBブロワーがおすすめです。
メンテナンスがしやすく、耐久性と省エネ性能にも優れているため、安心して長く使えます。
ブロワーのネット販売価格は、業者の仕入れコストを下回ります。自分で取り付ければ費用を抑えられ、業者に依頼すれば作業時間を節約できます。
