
- 処理方式は?
- ブロワーの風量は?
- 総容量は?
- 管理する時のポイント
こちらの「モアコンパクト型浄化槽」は、シンプルさと独自の工夫が特徴で、最近の浄化槽の中でもおすすめの一つです。
この記事では、初心者の方でもわかりやすいように、ダイキXH型浄化槽について簡潔に説明します。
横向流夾雑物除去接触ろ床循環方式

浄化槽の処理方式は「横向流夾雑物接触ろ床循環方式」です。
主な特徴は、「嫌気ろ材を使用していない」という点です。
嫌気ろ材を使用すると、ガスが溜まりやすくなるため、定期的なガス抜きが必要となります。
しかし、こちらの浄化槽ではそのような問題がありません。
ろ材の落下や浮上といった問題も起きず、清掃も容易に行うことができます。
5人槽のブロワー風量は50ℓ

人槽 | 風量 (ℓ) | 消費電力 (W) |
---|---|---|
5人槽 | 50 | 28 |
7人槽 | 60 | 35 |
10人槽 | 80 | 51 |
浄化槽がコンパクト化するにつれて、ブロワーもまた小型化します。
ブロワーは24時間稼働します。一日あたりの電気代は約17円です。
ここでの計算は5人槽を基準にし、東京電力の料金体系を基に行なっています。

5人槽の総容量は1.600㎥
水が流れる順序に沿って、各槽の容量をご紹介します。
第1室
容量:0.429㎥
状態:流入
↓
第2室
容量:0.346㎥
↓
第3室
容量:0.299㎥
↓
接触ろ床槽
容量:0.364㎥
↓
処理水槽
容量:0.141㎥
↓
消毒槽
容量:0.021㎥
状態:放流
合計すると1.600㎥になります。
人槽 | 総容量 (㎥) |
---|---|
7人槽 | 2.199 |
10人槽 | 3.061 |
浄化槽管理のポイント
まず、水の流れる順序に従って、各段階に番号を振ります。

まず最初に、家庭で使用した生活排水が1槽へと流入します。
水よりも重いゴミや食物の残りかすは底部に沈殿していきます。
一方、水よりも軽いゴミや油は上部に浮き上がり、ここに「スカム」という固形物が形成されます。
ダイキアクシスオリジナル横向流夾雑物除去
2番から3番への間では、ダイキ独自の「横向流夾雑物除去」方式が採用されています。
排水の流れを蛇行させることで、水流を緩め、沈殿分離や安定した脱窒性能を実現するよう設計されています。
この浄化槽の大きな特徴は、「流量調整ポンプが不要」である点です。
一般的に、使用頻度が高い場合には「流量調整ポンプ」が必要とされることが多いのですが、この浄化槽は試行錯誤を重ねることで、そのような追加設備を必要としない設計になっています。
システムがシンプル化され、メンテナンスも簡単になりました。
これは、管理者にとって非常に扱いやすいというメリットを持っています。
接触ろ床槽、消毒槽

この浄化槽は「接触ばっ気方式」で、シンプルなろ材を使用しています。
ブロワーは1口で、メンテナンスは手動の逆洗で行います。
特に、水の透明度が不足している場合や使用負荷が高い際には、「常時逆洗」の運用がおすすめ。
常時逆洗を実施することで、ばっ気槽内の風量が増加し、水の透明度の向上が期待できます。
逆洗の具体的な手順については、下記の動画で詳しく解説しています。
基本的な手順は、まず「赤いバルブを開き、続いて青いバルブを閉じる」というものです。
逆洗の手順は非常に重要です。
青いバルブを先に閉じると、ブロワーに過大な圧力がかかり、内部のダイヤフラムの破損リスクが増大します。
ダイヤフラムが破れると、ニオイの発生や排水の詰まりの原因となる可能性があるため、逆洗を行うときは正しい手順が必須です。

詰まりの経験はまだありませんが、もし問題が発生するとすれば、「底部の汚泥返送管や処理水を揚水するエアリフト」が考えられます。
揚水が停止した場合、まずはエアリフトバルブを全開にしてみてください。
それでも解決しない場合は水道ホースを利用し、エアリフトの揚水部分や汚泥返送の穴に水圧洗浄を行い、詰まりを解消しましょう。
まとめ
この浄化槽は、構造上、詰まりにくく、メンテナンスや管理が非常に容易という特長があります。
現時点では大規模な設置はまだ進んでいませんが、すでに使用している場所では問題なく稼働し、その性能を発揮しています。
さらに、使用する電力量も最小限に抑えられており、高い効率で排水処理を行います。
環境負荷を最小限にしつつ、私たちの生活を快適に保つサポートをしてくれる、大変重要な存在だといえます。
揚水とは水を高い所にあげること!