浄化槽に流してはいけないものは?NG行動と正しい使い方を紹介!
浄化槽は家庭の排水をきれいにする大切な設備です。
使い方をまちがえると水をきれいにする力が落ちて臭いや詰まりの原因になります。
この記事では浄化槽管理士歴10年以上の私が、浄化槽に流してはいけないものと長持ちさせる7つの使い方を解説します。詰まりや故障を防ぐ方法もあわせて見ていきましょう。
次の動画もあわせてご覧ください。
浄化槽の構造と処理の流れ

浄化槽を正しく使うためにまず基本的な仕組みを知っておきましょう。
浄化槽内で働く2種類の微生物
浄化槽は微生物の力で汚水をきれいにする設備です。微生物が汚れのもとになる有機物を食べて分解します。
働く微生物は、酸素がいる好気性微生物と酸素がいらない嫌気性微生物の2種類です。
この2つのバランスがとれていると浄化槽はうまく働きます。
バランスがくずれると水をきれいにする力が落ちるので、定期的な点検が必要です。
汚水がきれいになるまでの流れ
合併処理浄化槽はいくつかの槽に分かれていて、槽ごとに役割がちがいます。処理の流れは次の6つです。
- 最初の槽で固形物と水に分ける
- 分けた水は次の槽に送る
- 2槽目で嫌気性微生物が水をきれいにする
- きれいになった水は3槽目に送る
- 3槽目で好気性微生物が空気の力で汚れを分解する
- 最後に消毒槽で菌を消して側溝や川に流す
家庭からの汚水は槽の中で約12時間かけてきれいになります。
流してはいけないものを流すと処理が遅れ、故障や詰まりの原因にもなるのです。
次の動画でも処理の流れを解説しています。
浄化槽を長持ちさせる正しい使い方と注意点

浄化槽を正しく使うポイントは次の7つです。
- 浄化槽に絶対流してはいけないもの
- 熱湯は配管を変形させる恐れがある
- トイレ詰まりを防ぐ正しい流し方
- 微生物を守る洗剤の選び方と使い方
- マンホールの上に物を置かない
- 浄化槽のまわりに木や植物を植えない
- 放流ポンプはできるだけ設置しない
浄化槽に絶対流してはいけないもの
次のものは排水に流さないでください。
- 油脂や食用油
- 残飯や食べカス
- シンナーやペンキ
- 除草剤や農薬
- 薬品類
- 大量の漂白剤や除菌剤
- 砂や石・石鹸の固まりなどの固形物
- おむつ・生理用品
- ペットの毛や異物
- 紙くず・ティッシュペーパー
- タバコ・新聞紙
台所からも固形物を流さないでください。
野菜くずや魚の骨・使い終わった食用油は詰まりの原因になります。
生ごみは水気を切って燃えるごみに出しましょう。食用油は凝固剤で固めるかキッチンペーパーに吸わせて捨ててください。
熱湯は配管を変形させる恐れがある
浄化槽につながる塩ビ配管の耐熱温度は約60℃と低めです。
沸騰したお湯をそのまま流すと、配管が変形する恐れがあります。
沸騰したお湯を流すときは水を一緒に流して温度を下げると、配管へのダメージを防げます。
トイレ詰まりを防ぐ正しい流し方
トイレは十分な水の量で流すことが大切です。水が足りないと汚物が流れきらず詰まりの原因になります。
トイレットペーパーをたくさん使ったときは一度に流さず数回に分けて流しましょう。
紙おむつやティッシュペーパーは水に溶けないので絶対にトイレに流さないでください。
「流せる」と書かれた除菌シートやおしりふきも実は分解されにくいものです。詰まりの原因になるのでトイレには流さないようにしましょう。
トイレに流すのは排せつ物とトイレットペーパーだけにしてください。
日本製と海外製トイレットペーパーの違い
海外製のトイレットペーパーはパルプの品質が異なり、分解しにくいためトイレ詰まりの原因になります。
日本ではトイレットペーパーを流す習慣がありますが、海外には使ったペーパーを燃えるゴミとして捨てる国も多くあります。
詰まりを防ぐには分解しやすい日本製のトイレットペーパーを選びましょう。
特に「パルプ100%のシングルタイプ」は分解が早く、浄化槽への負担を減らせます。
微生物を守る|浄化槽にやさしい洗剤の選び方と使い方
浄化槽のある家庭では中性または酸素系の洗剤を選びましょう。
アルカリ性洗剤は油汚れによく効きますが浄化槽の微生物を弱らせます。
お風呂のカビ取り剤やパイプ用洗剤にも微生物に悪い成分が入っています。
どちらも少しなら大丈夫ですが大量に使うのはやめましょう。
洗剤はたくさん使っても汚れがよく落ちるわけではありません。かえって洗剤が残ってしまいます。
洗剤を使いすぎるとすすぎに時間がかかり、使う水も増えて浄化槽の負担が大きくなります。決められた量を守りましょう。
塩素系漂白剤の影響

漂白剤には「塩素系」と「酸素系」の2種類があります。塩素系は除菌力や漂白力が強い反面、使い方に注意が必要です。
塩素系は使ったらダメなの?
塩素系漂白剤は槽内の微生物に影響を与えますが、適量なら問題ありません。
使いすぎると微生物が死んでしまい、浄化槽の働きが落ちて出ていく水も汚れます。
汚れがひどいときは漂白剤を薄めるか、多めの水で洗い流しましょう。週1回程度に抑えれば、浄化槽への負担を減らせます。
代わりに使うなら酸素系漂白剤がおすすめ
日常の清掃には微生物にやさしい酸素系漂白剤がおすすめです。種類の違う漂白剤をまぜて使わないでください。
まぜると化学反応で有害な塩素ガスが出る恐れがあります。
マンホールの上に物を置いてはいけない理由
浄化槽は定期的な点検や清掃が必要です。
マンホールのふたの上に物を置くと点検のときに開けられません。できるだけ何も置かないでください。
重い物を置くと本体に負担がかかり壊れることがあります。どうしても置くなら軽くて動かしやすい物にしましょう。
車をとめるならマンホールの耐荷重を確かめる

マンホールの上に車をとめる場合は、必ず安全荷重を確かめましょう。
「500K」の表示があればタイヤ1つあたりの最大荷重は500キロで、2トン車まで乗れます。
6トン車まで乗れるマンホールなら丈夫なので、乗用車が通っても安心です。
耐荷重については次の動画で解説しています。
枠のヒビや割れは早めに直す

見た目は何ともなくても、マンホール枠が損傷している場合があります。放っておくと事故や槽の中の破損につながるので、定期的に点検してもらいましょう。
下の写真はマンホール枠を交換した直後の状態です。

ヒビや割れがあると、配管や周りの機器まで被害が広がります。早めに直しましょう。
枠を交換するか鉄板を敷いて守るのが確実です。
専門の知識がいる作業なので、自分で判断せず契約している管理会社に相談しましょう。
マンホールはロック付きを選ぶ
マンホールにはロック付きとロックなしの2種類があります。ロックなしは安価ですが、安全面で不安が残ります。
ロックなしは豪雨や洪水時に外れる可能性があり、子どもでも簡単に開けられるため危険です。
事故を防ぐため、ロック付きマンホールを選びましょう。
浄化槽のまわりに木や植物を植えない

浄化槽の近くに木や植物を植えるのはなるべく避けましょう。
根が伸びると浄化槽や配管を壊すことがあります。配管の中に入り込むと水の流れをふさぎ、詰まりや水漏れの原因になります。
植物を植えたい場合の対策
浄化槽や配管から3メートル以上離れた場所に植えましょう。
根が深く張らない草花や低木・成長の遅い植物を選べば、浄化槽への影響を抑えられます。
庭に緑を増やしたい場合はプランター栽培もおすすめです。プランターなら土を掘る必要がなく、浄化槽に影響を与えず植物を楽しめます。
放流ポンプはできるだけ設置しない
放流ポンプはきれいになった水を自然に流せないときに、くみ上げて流す装置です。放流先が遠い・坂になっていない・放流先のほうが高いといった場合に使います。
放流ポンプを設置すると、電気代などのランニングコストが発生します。
自然に水が流れる配置にできれば、ポンプは不要です。設置前にポンプなしで済むか業者に確かめましょう。
放流ポンプは定期的に交換する
放流ポンプには寿命があるため、定期的な交換が必要です。交換しないまま使い続けると浄化槽全体の働きが落ちて、修理代が高くつきます。
保守点検のときにポンプが正常に動いているかも確かめてもらいましょう。
放流ポンプの交換方法は次の動画で紹介しています。
ブロワーは常時運転が基本|電源を切ってはいけない理由

ブロワーの電源を切ってはいけない理由を見ていきましょう。
空気が止まると微生物が死んでしまう

ブロワーは水の中に空気を送り微生物に酸素を届ける装置です。ブロワーがないと汚水をきれいにできません。
ブロワーが止まると酸素が足りなくなり好気性微生物が死んでしまいます。水をきれいにする力が落ちて臭いの原因になります。
留守中や夜間もブロワーの電源は入れたままにしてください。
1年以上浄化槽を使わないときは役所に「休止届」を出しましょう。清掃をして槽に水を張っておけば、ブロワーの電源を切っても大丈夫です。
ブロワー設置の注意点

ブロワーは熱に弱く、直射日光が当たると故障しやすくなります。風通しのよい日陰に置きましょう。
点検しやすく積雪や水たまりが起きにくい場所を選ぶと、安定して運転できます。
浄化槽の詰まりの前兆と対処法|修理費用の目安

故障や詰まりの対処法と費用について知っておきたいことは次の3つです。
- 詰まる前に出る異音の原因
- 浄化槽の修理費用の目安は10〜50万円
- 補助金や火災保険を使う|故障時の支援制度
詰まる前に出る異音の原因
家の排水管と浄化槽のつなぎ目に油や固形物がたまると詰まりや臭いの原因になります。
排水口からいやな臭いがしたり「ゴポゴポ」と音がしたりするのは詰まりのサインです。詰まった場所にたまった空気が押し出されるときに音が出ます。
自分で無理に直そうとすると排水管を壊すおそれがあります。契約している管理会社に相談しましょう。
浄化槽の修理費用の目安は10〜50万円
浄化槽本体の修理費用は壊れた場所や種類・頼む業者によって変わります。目安は約10〜50万円です。
出張費や作業時間で追加料金がかかることもあります。前もって業者に確かめましょう。
大きな工事ではさらに費用と日数がかかります。
補助金や火災保険を使う|故障時の支援制度
浄化槽の交換や修理が必要なときは自治体から補助金が出る場合があります。
くわしい条件はお住まいの自治体で確かめましょう。
火災保険で修理費用をまかなえる場合もあるので保険会社にも相談しましょう。ただし古くなって壊れた場合は対象外です。
たとえば次のような故障は火災保険の対象になることがあります。
- 火災による浄化槽の破損
- 台風による浄化槽の破損
- 落雷による水中ポンプの故障
- 豪雨や洪水による浄化槽の破損
- ブロワーの盗難
浄化槽とトイレのよくある質問
トイレットペーパーはどんなものを選べばいい?
水に溶けやすいシングルのトイレットペーパーを選びましょう。厚手のものは溶けにくいので、使いすぎると詰まりの原因になります。
ティッシュペーパーは水に溶けないように作られているので、トイレに流すのはやめてください。
トイレをリフォームするときに気をつけることは?
まずは今使っている浄化槽の種類を確かめましょう。トイレの排水しか処理できない単独処理浄化槽なら、台所やお風呂の排水もまとめて処理できる合併処理浄化槽への切り替えを考える時期です。
節水型トイレは浄化槽に入る水が減るので負担を軽くできます。ただし流す水が少ないぶん、配管の状態によっては汚物が途中で止まりやすい家もあります。
トイレを交換する前に契約している管理会社に相談しましょう。
まとめ|浄化槽を安全・快適に使おう

浄化槽を長く使うには正しい使い方と定期的な点検・清掃が大切です。
トイレや台所では流す物と洗剤の種類に気をつけましょう。それが詰まりや臭いを防ぐ近道です。
ブロワーの電源は切らずに、マンホールの上には物を置かないようにしましょう。熱湯や庭木の根も配管を傷める原因になります。
おかしいと思ったら契約している管理会社に早めに相談しましょう。放っておくと修理費用が高くなるおそれがあります。
環境にやさしい洗剤や節水型トイレを選ぶと浄化槽の負担が減って長持ちします。







