
浄化槽の維持管理には、「保守点検、浄化槽清掃、法定検査」の3つの重要な要素があります。
- 定期的な保守点検
- 汚泥の清掃で浄化機能最適化
- 法的要件を満たす法定検査
浄化槽の適切な管理には、「浄化槽管理士」の専門知識を持った定期的な保守点検が欠かせません。
浄化槽は経年劣化するため、処理不良を防ぐための定期点検が必要です。
浄化槽のメンテナンスの約6割は自動化されており手間がかからないものの、残る4割は手動でのメンテナンスが求められます。
点検時には、配管やろ材の劣化、漏水や湧水の確認、微生物の処理状態などをチェックし、必要に応じて修理や補修を実施します。
浄化槽では、塩素消毒剤を使用して滅菌消毒が行われ、処理後の水が川や側溝に放流されます。
適切な維持管理が行われないと、「消毒剤の不足から大腸菌などが放流されるリスク」が生じます。
浄化槽の維持管理は環境の健全性を保つ上で必須であり、定期的な点検とメンテナンスが極めて重要です。
好気性微生物と嫌気性微生物の違い!

浄化槽は、主に3つの槽で構成され、それぞれが異なるな役割を果たして汚水を処理します。
第一室と第二室では、汚水が受け止められ、固形物と液体が分離されます。
そして、分離した液体部分、すなわち「中間水」が第三室へと送られます。
第三室では、中間水が「接触ばっ気槽」と呼ばれる部分で好気的処理を行います。
ここでは好気微生物が活躍し、汚れを分解して水を浄化します。
一連のプロセスが繰り返されることで、槽内の汚水は順次処理され、水質が改善されていきます。
槽内には、「好気性微生物」と「嫌気性微生物」という2種類の微生物が存在します。
第一室と第二室は嫌気槽であり、主に嫌気性微生物が活動します。
これらの微生物は酸素を必要とせず、有機物を分解して二酸化炭素やメタンに変換します。
一方、第三室である接触ばっ気槽には好気性微生物が生息しています。
こちらの微生物は酸素を必要とし、有機物を窒素ガスなどに分解します。
微生物について詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください。
ろ材とは?嫌気性微生物の住処!

槽内には、「ろ材」と呼ばれるプラスチック製のものが存在します。
ろ材は、微生物の増殖を促進し、有機物(汚れ)の分解を助ける役割を果たします。
微生物の生息数が増加すると、分解活動が活発化します。
微生物はろ材を通じて有機物を分解し、浄化処理効率が向上します。

1室目は汚泥を主に貯留するための槽で、沈殿物や固形物を水中から分離する「ろ材」が配置されています。
1室目では「メタンなどの温室ガスが生成」されます。
ガスが蓄積すると、ろ材が浮き上がるリスクがあり、浄化槽内の装置に損傷をもたらす可能性があります。
そのため、定期的なガス抜きが必要となります。
具体的には、塩ビ管などの棒を使ってガスを放出させる作業を行います。
ガス抜きの詳しい手順については、以下の動画をご視聴ください。
接触ろ材とは?好気性微生物の生息場所
3室目は「接触ばっ気槽」として知られる部分で、好気性微生物が生息しています。
3室目には「ブロワー」という装置から継続的に空気が供給されています。
エアーが供給されることにより、好気性微生物の生存と活動に必要な酸素が含まれています。
微生物はこの酸素を利用し、汚水中の有機物を分解し浄化作用を果たします。
しかし、ブロワーが停止すると、好気性微生物は酸素を得られなくなり、結果として死滅してしまいます。
これにより、ニオイの発生や処理効率低下のリスクが高まってしまいます。
そのため、ブロワーの正常な動作を確保するための定期的なメンテナンスが極めて重要です。
定期的な点検や清掃を行うことで、ブロワーの異常や故障を早期に発見し、事前に防ぐことができます。


好気性微生物は接触材に付着して生物膜を形成し、その上で有機物(汚れ)を分解します。
接触材にはさまざまな形状のものが存在し、それによって有機物の効率的な処理が実現されます。
逆洗とは?逆方向から空気を送り洗浄できる

水処理の一般的な流れでは、散気管から特定の方向へ空気が供給される仕組みが採用されています。
この空気の流れに従って、接触ろ材に微生物が集まり、生物膜を形成して有機物の分解処理を進めます。
保守点検の際には、「逆洗」という作業を行います。
これは、通常の供給方向とは逆の方向から空気を送り込むことで、生物膜を剥がし、接触ろ材の汚れを効果的に除去する方法です。
剥がされた生物膜は底部に沈殿し、新たな生物膜の形成と微生物活動が活性化されます。
この結果、水の処理能力が全体的に向上します。
逆洗は、水処理の過程で非常に重要で、この作業を適切に行うことで、より高品質な水の供給が可能となります。

剥がれた生物膜は底部に沈降し、エアリフトポンプ配管を介して最初の槽、1室目に返送されます。
以下のリンクは、ブロワーが停止した状態での逆洗作業を分かりやすく解説した動画です。
まとめ
浄化槽維持管理の主な作業は以下の通りです。
- 定期的な浄化槽清掃
- 排水量の管理と汚泥の除去
- 消毒剤の管理とバルブ調整
- 水質検査の実行
浄化槽維持管理とは、「浄化槽が適切に機能し、排水処理を行うために必要な作業のこと」です。
浄化槽から放流される水が自然環境に悪影響を及ぼさないよう、定期的な水質検査が大切です。
検査の結果に基づいて、浄化槽のメンテナンスを行うことが求められます。
このような取り組みによって、浄化槽の寿命を長く保つことができるだけでなく、未然に問題を防ぐことも可能です。さらに、自然環境を守る重要な一歩ともなります。
浄化槽の維持管理は高い水質を保ちつつ、浄化槽を効率的に運用するための不可欠な作業です。
適切なメンテナンスが行われることで浄化槽の働きがスムーズになり、環境への負担も減らすことができます。