浄化槽基礎知識

【浄化槽漏水・湧水の解決策】原因から修理費用の目安について解説!

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管理会社や法定検査で「浄化槽が漏水している」「修理が必要」と指摘され、状況がわからず困る方は多くいます。

浄化槽の漏水や湧水を放置すると、環境汚染の原因になります。早期に発見し、適切に対応することが大切です。

本記事では、現場経験10年以上の浄化槽管理士が、漏水の原因や環境への影響について解説します。

記事を読めば、漏水や湧水の原因と解決策がわかります。

漏水とは劣化した亀裂や隙間から汚水が漏れること

漏水と湧水の違い、発生する原因を以下で解説します。

  • 漏水と湧水の違い
  • 漏水や湧水が発生する原因
  • 漏水・湧水しているかを確認する方法

漏水と湧水の違い

漏水とは、浄化槽に亀裂や穴が生じ、槽内の汚水が外部に漏れ出す現象です。浄化槽の水位が低下し、正常に機能しなくなります。

漏れた汚水は地中に浸透し、土壌や周囲の環境を汚染します。

湧水は浄化槽が破損し、地下水などが槽内に流れ込む現象です。水位が異常に上昇したり、破損箇所から水が流れ出します。

漏水や湧水が発生する原因

漏水や湧水の主な原因は以下のとおりです。

  • 地下水流や土砂の移動による自然掘削
  • 地震や強い振動の影響
  • 大型車両の通行による振動
  • 地下水圧や土圧の変化
  • 浄化槽本体の経年劣化
  • 清掃後の水張り不足
  • 施工不良や設計上の欠陥
  • 清掃や保守点検の未実施

地中に埋設されている浄化槽で正確な原因を特定するのは難しいです。

» 浄化槽基礎知識

漏水・湧水の確認方法

漏水や湧水の疑いがある場合、以下の症状が現れます。

  • 槽内の水位が低下している
  • 前回の点検時から消毒剤が溶解していない
  • 水を使用していないのに放流が続いている

浄化槽には一定の水位が設定されています。ただ、長期間の不在や空き家の場合、水の蒸発で水位が下がることがあります。

確認方法として、全ての槽に水を張り、1日後に水位が再び低下していないか確認しましょう。ブロワーを停止して確認するとより正確です。

漏水は環境汚染を引き起こします。水位低下などの異常が確認された場合は、修理や合併浄化槽への入れ替えなど、適切な対処が必要です。

浄化槽修理費用の相場と流れ

浄化槽修理費用の相場と流れ

費用の相場と修理の流れについて、以下で解説します。

  • 浄化槽修理費用の相場
  • 浄化槽漏水・湧水修理の流れ

浄化槽修理費用の相場

漏水修理費用は浄化槽の大きさや地域、作業内容により異なります。一般的な費用は10~20万円程度です。

清掃料金や狭く汚れた槽内での作業が含まれるため、適正な金額です。修理には清掃費や人件費、材料費や技術料が含まれます。

» 漏水修理工程

浄化槽漏水・湧水修理の流れ

漏水・湧水修理の流れは以下のとおりです。

  1. 管理会社から漏水・湧水の指摘を受ける
  2. 双方合意のうえで修理日を決定する
  3. 修理日にバキュームカーで槽内を清掃する
  4. 槽内作業後に水を張り漏水の有無を確認する
  5. 水位の低下がなければ修理完了

以下の動画で実際に修理を行っています。

浄化槽漏水が引き起こす影響とリスク

浄化槽漏水が引き起こす影響とリスクについて以下で解説します。

  • 環境や生活への悪影響
  • 浄化槽へのダメージとコストが増加する
  • 法律や規制に違反する

環境や生活への悪影響

浄化槽で漏水が発生すると、未処理の汚水が地中や地下水に流れ込み、周辺環境を汚染します。飲料水や農業用水の汚染につながります。

浄化槽の機能が低下し、処理が正常にできません。臭気の発生や処理水の悪化につながります。

浄化槽へのダメージと費用が増加する

浄化槽へのダメージと費用が増加する

漏水を放置すると浄化槽本体が弱まり、修理費用が増加します。修理や対応を行うことで、費用を抑えつつ環境への影響も軽減できます。

法律や規制に違反する

漏水を放置すると、環境保護に関する法律(水質汚濁防止法)に違反です。違反が確認されると、罰則や修繕命令が科されます

» 環境省(外部サイト)

単独処理浄化槽は合併処理浄化槽へ転換しよう

単独処理浄化槽は合併処理浄化槽へ転換しよう

単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換が推奨される理由について、以下で解説します。

  • 合併処理浄化槽への転換が推奨される理由
  • 浄化槽設置にかかる費用と補助金について

合併処理浄化槽への転換が推奨される理由

転換とは浄化槽を新しいものに交換することです。単独処理浄化槽はトイレの排水のみを処理できます。

トイレ以外の排水が未処理のまま側溝や河川に流れると、環境に悪影響を与えます。

現在、単独処理浄化槽の新設は法律で禁止されています。

法改正により「特定既存単独処理浄化槽」と定められました。

環境省は、特定既存単独処理浄化槽の撤去と合併処理浄化槽への転換を積極的に推進しています。

合併処理浄化槽は生活排水をすべて処理し、環境負荷を大幅に軽減します。

耐久性の高い材質が増え、故障するケースはほとんどありません。

» 単独処理浄化槽の種類詳細

浄化槽設置にかかる費用と補助金について

合併処理浄化槽への転換には、最小サイズの5人槽でも100~150万円程度の費用がかかります

多くの自治体は、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進するため、補助金制度を設けています。

補助金を利用すれば費用を大幅に削減できます。転換を検討する際は自治体に相談し、制度の詳細を確認しましょう。

» 補助金制度がある市町村はこちら(外部サイト)

まとめ

浄化槽の漏水や湧水は頻繁に起きるものではありませんが、槽が地中に埋設されている以上、完全に防ぐことは難しいです。

定期的な点検によって異常を早期に発見すれば、修理費用を抑えるだけでなく、周囲の環境を守れます。

管理業者から漏水や湧水の指摘を受けた場合は、速やかに修理や浄化槽の交換を検討しましょう。

修理費用は業者ごとに差があるため、複数の業者から見積もりを取り、内容と金額を比較することが大切です。

合併処理浄化槽への転換を検討する際は、自治体の補助金制度を活用すると、初期費用の負担を軽減できます。

» 補助金の詳細はこちら

ABOUT ME
いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
わたしは、浄化槽業界に10年以上携わる現役の浄化槽管理士です。「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」をコンセプトに、ブログやSNSで情報を発信しています。 浄化槽は、主に下水道が整備されていない地域で活躍する重要なインフラ設備です。微生物の働きを利用して汚水を浄化する仕組みで、適切な維持管理が欠かせません。 維持管理には、浄化槽管理士、清掃員、検査員、そして浄化槽所有者の協力が必要です。多くの方に浄化槽の役割や正しい使用方法を伝える活動に取り組んでいます。
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