
- 浄化槽が割れることを防ぐ
- 固形物と液体に分離するため
- ニオイ、詰まりを防ぐため
浄化槽の清掃後は、「水張り作業が必須」です。
しかし、「具体的に水道代はどれくらいかかるのか?」、「バキュームカーを使用して槽内に戻すのは安全なのか?」といった疑問が浮かぶことでしょう。
この記事では、そのような疑問についてわかりやすく解説しています。
さらに、ご自身でも簡単に実施できる水張り方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
浄化槽の割れに注意!

「漏水」とは、浄化槽が割れて水が漏れ出る現象のことを指します。
この状態は、水が蓄えられたタンクや容器から水が流出してしまう事態を意味します。
浄化槽からの漏水は、環境や建築物にとって大きな問題となり得ます。
具体的には、地下へ浸透した汚水が環境を汚染し、建物にも損傷を与える可能性があります。
このような状況は放置できません。
さらに、「湧水」とは、割れた部分から水がわき出る現象を指します。漏水同様に深刻な状態であり、早急な対応が求められます。
浄化槽は地下に設置されるため、周囲の土から均等に土圧がかかります。
このため、地下に設置された浄化槽は、空の状態よりも水が充填されている状態の方が、破損しにくくなります。
清掃後の浄化槽は、早めに水を充填することが大切です。
これにより、一方向からの土圧を防ぎ、安定した状態を保つことができます。
浄化槽の運用においては、「均等なバランス」を維持することが極めて重要です。
水張り方法を解説!適切な手順
水張り方法について詳しく解説した動画はコチラ。
- 汚水桝から水を入れる
- 汚水処理場から水を汲んでくる
- お客様の水道水を使用する
基本的には上記2つがメインの水張り方法となります。
汚水桝というのはこのようなモノです。

汚水桝は必ず浄化槽に繋がっており、桝に流れ込む水は最終的に浄化槽へ流れていきます。
浄化槽の清掃後、水を再充填する際には、自身のホースを使用することをおすすめします。
お客様のホースを使用すると、予期せぬトラブルの原因となり、お客様に不快感や迷惑をかけるリスクがあるためです。
何らかの理由でお客様のホースを使用する場合には、事前に許可を取るよう心がけましょう。
基本的にお客様のモノは使用しない!
汚水処理場の役割と仕組み!
汚水処理場とは、汚れた水や汚泥をきれいにする施設のことです。
この場で浄化された水は「張り水」として知られ、再び浄化槽に供給されます。
初めて聞く方は、「既に浄化された水が再び浄化槽に戻されるの?」と少し疑問を持つかもしれません。ですが、ご安心ください。
その「張り水」は高度処理されており、皆さんが安心して使用できる水質になっています。
とてもキレイな水なので安心して下さい!
水張りを依頼するときのポイント

基本的には、「水張り作業は専門の業者に依頼することが望ましい」です。
私たちの業務としては、お客様の浄化槽の水張りまでを範囲内と考えております。ですので、原則としてお客様に水張り作業をお願いすることはありません。
浄化槽についての知識をお持ちの方、または私たちと深い信頼関係を築いている方などから、水張り作業のお手伝いを申し出ていただくこともございます。
そのような「特別な状況においては、お言葉に甘えて水張りをお願い」することがあります。
ただし、「水張り作業の手順や注意点について、作業を開始する前に十分に説明し、適切な作業が行われるように」配慮しています。
また、お客様に依頼する際でも、仕切り板のある浄化槽については、仕切り板が破損する恐れがあるため最低限の水張りは必要です。
お客様に依頼する際の注意点
- 子供、高齢の方には頼まない
- 家の中から水張りできる方法を選ぶ
家庭に子供や高齢者がいる場合は、水張り作業を依頼することは避けましょう。
理由は、子供が十分な責任感を持つことが難しいこと、また高齢者の場合は操作を忘れてしまうリスクがあるからです。
これらのことから、誤操作による問題を防ぐためにも、専門家が水張り作業を行うことが望ましいです。
子供、高齢の方には頼まない。
万一、お客様に水張りをお願いする状況になった場合でも、家の中でできる方法を選ぶことが望ましいです。
理由は、屋外での作業は、水の流し忘れや手を汚すなどのリスクが増えるためです。
- お風呂の残り湯を排水する
- 台所や洗面所の水を流す
- トイレの水を流す
浄化槽の型式や大きさ、さらには水圧の状況によって、水張りにかかる時間は異なります。多くの場合、「約1時間程度」の水供給が推奨されています。
お風呂の残り湯を利用することで、一定の水道代を節約することが考えられます。
しかし、お風呂、台所、洗面所からの水供給が許されるのは、「合併処理浄化槽」を導入している場合だけです。
もし「単独処理浄化槽」を利用している場合は、トイレからのみ水張りが可能です。
トイレの洗浄レバーを「大」の位置に合わせ、テープでしっかり固定します。
この操作により、水が連続して流れるようになります。 約1時間そのままの状態を保持した後、テープを剥がして作業を完了させます。

もしテープが手元にない場合、少し厚めにとったトイレットペーパーも代用可能です。
最初に、洗浄レバーを「大」の位置に合わせます。続いて、トイレットペーパーを丸めて、レバーと隙間に固定するように挟みます。
この状態を約1時間保持します。時間が経ったら、トイレットペーパーを取り除き、トイレに流すことで作業は完了となります。

水張りの費用を知りたい方必見!

結論として、「蛇口を1時間間開放した場合の水道代は、大体200円前後」となります。
もちろん、お住まいの地域によって差異が生じることはありますが、こちらの金額を一般的な目安として心に留めておくとよいでしょう。
多くの方は日常で水を長時間出しっぱなしにする習慣はないので、何かの間違いや忘れてしまったときの水道代について不安に感じる方もいるかと思いますが、過度な心配は不要です。
固形物と液体の分離について!

適切な水張りの二つ目の目的は、「固形物と液体の分離」を効果的に促進することです。
浄化槽には初槽として沈殿分離槽が設けられています。
沈殿分離槽では、重い固形物や不純物が底に沈殿し、一方、軽い物質や油分は上部に浮上します。
しかし、水張りが不足している場合、分離作用がうまく機能できません。
分離が完了した後、嫌気性微生物が汚水の浄化を行います。
これらの微生物が適切に機能するための環境を確保するという意味でも、水張りは欠かせません。
適切な水張りを実施することで、固形物と液体が効率良く分離され、嫌気性微生物が最良の状態で汚水処理が可能となります。
ニオイや詰まりの原因になる?

適切な水張りは、浄化槽が正常に動作する上で欠かせない要素です。
水の不足が生じると、固形物と水の適切な分離が困難となり、処理効率の低下を引き起こします。
さらに、「水の量が十分でない場合、ニオイの発生リスクが増加」します。
この他にも、固形物が嫌気ろ材を詰まらせるといった問題を引き起こす可能性があります。
水張りを適切に行うことで、浄化槽の効率的な動作をサポートし、ニオイや詰まりのリスクを低減できます。
健全な生活環境を維持するため、水張りの重要性を認識し適切な管理を心掛けましょう。
まとめ

- 浄化槽清掃:清掃後は水張りが必須
- 水張り手法:複数の方法が存在
- 水道代:浄化槽の水張りにかかる水道代は、それほど大きな負担にはならない
水張りは浄化槽の維持に欠かせない重要な作業です。
水張りの主要な目的は、浄化槽の破損を防ぐことと、水処理を効率的に行うためです。
具体的にいうと、水張りにより槽内の固形物と液体が分離され、効率的に浄化処理を行っています。
また、水張りはニオイの発生を抑えるとともに、浄化槽の詰まりのリスクを低減する役割も果たしています。
浄化槽が最良の状態で動作するため、結果として環境への負荷を最小化するために、水張りの実施は必要です。
浄化槽を長く使用するために徹底して水張りを行いましょう。