
浄化槽を利用されている方の中には、ペットのトイレ処理について困っている方も多いのではないでしょうか?
また、日常生活でよく使用する「トイレットペーパーとティッシュペーパーの違い」を理解しておくことも重要です。
今回は、ペットのトイレの適切な処理方法と、トイレットペーパーとティッシュペーパーの相違点について詳しく解説します。
- 浄化槽にペットの廃棄物は可能なのか?
- トイレットペーパーとティッシュの違いについて
- 浄化槽対応のものと非対応のものについて
ペットの排泄物を流すべきではない理由!

浄化槽は、人間の排泄物を処理するための装置であり、「何人槽」と表記されています。
ペットの糞尿と人間の糞尿は、汚れの濃度(BOD)が大きく異なります。
BOD(Biochemical Oxygen Demand、生物化学的酸素要求量)は、水中の有機物を分解する際に必要となる酸素の量を示す指標です。
BODは、水中に存在する生物が有機物を分解するために消費する酸素量を測定することで算出されます。
一般的な測定方法としては、水のサンプルを密封した容器に入れ、定温(通常は20℃)で5日間保管します。
この期間中に、水中の有機物が微生物によって分解され、その過程で酸素が消費されます。
その後、最初の酸素濃度と5日後の酸素濃度の差を計算し、それをもとにBOD値を算出します。
そのため、ペットの糞尿が浄化槽に入ると処理能力を超えてしまい、水質が悪化したり臭いの原因になります。
さらに、浄化槽を使用している場合、猫砂をトイレに流すことは避けましょう。
猫砂は「槽内の水分を吸収し、浄化槽の処理に悪影響」を及ぼします。
そして、猫砂にはペットの毛が混じることが多いため、槽内の配管を詰まらせる原因にもなります。

ティッシュペーパーとトイレットペーパーの違い

写真のように、ティッシュペーパーは水に溶けません。
理由は、「作りが異なる」からです。
トイレットペーパーの特徴
- トイレ専用のペーパー製品
- 水に流せて柔らかく分解しやすい素材
- ロール状で専用ホルダーに装着
- トイレ使用後の衛生と清潔保持の目的で作られている
ティッシュペーパーの特徴
- 日常のマルチ用途ペーパー製品
- 鼻をかむ、顔を拭くなど多目的使用
- ティッシュボックスやポケットサイズで販売
- 水に流せず、使い捨て
要約すると、トイレットペーパーはトイレで使用するための柔らかく分解性の高いペーパーであり、ティッシュペーパーは一般的なマルチパーパスの柔らかいペーパー製品です。
それぞれの製品は異なる目的と環境で使用され、私たちの日常生活をサポートしています。
流せると書いてある物でも流してはいけない!

「トイレに流せる」と表示されている商品でも、浄化槽を利用している場合は流すことは避けましょう。
下水道による処理の場合、適切に物質を処理できますが、浄化槽では一旦物質がタンクに蓄積されます。
その過程で、ウェットティッシュのような「溶けない物質がろ過材に引っかかり、詰まり」を引き起こします。
したがって、「浄化槽には、排泄物とトイレットペーパー以外のものは流さない」ようにしましょう。
※下記の動画では、ウェットティッシュが浄化槽にどのような影響を及ぼすのかを詳しく解説しています。
トイレに流せると表示されているものでも、水に溶けるということではありません。
ドラッグストアなどで販売されている「トイレに流せる」と表示されている商品があるため、多くの方々が使用しています。
私が担当している現場でも、お客様がこれらの商品を利用されている場合、浄化槽への影響について詳しく説明し、なるべく使用を控えていただくようにお願いしています。
浄化槽はお客様の「貴重な資産」であり、適切な使用方法を守ることでその寿命を延ばすことが可能です。
これらの商品を流すと、浄化槽の詰まりや清掃時期が早まるなどの問題が起こり得るため、使用しないことをおすすめします。
シングルのトイレットペーパーが最適!

結局どのトイレットペーパーがいいの?
答えは、「パルプ100%のシングルタイプのトイレットペーパー」を使用することで安心できます。
パルプ100%とは、トイレットペーパーや他の紙製品の原材料であるパルプが100%使用されていることを示しています。
パルプは木材や竹のような植物繊維から作られ、トイレットペーパーの品質や性能に大きく影響を与えます。
パルプ100%のトイレットペーパーは、自然由来の素材が主成分であるため、環境に配慮したものになります。
また、その柔らかさや強度といった特性により、使用者に快適な使用感を提供します。

正しいトイレの使い方!

トイレがつまる原因は、トイレットペーパーの種類だけではなく、「使用方法」にも注意が必要です。
特に、「トイレットペーパーの使用量」は重要なポイントです。
一度に大量のトイレットペーパーを使用すると、トイレのつまりを引き起こす可能性があります。
トイレットペーパーは水に触れると分解されるように設計されていますが、水の量に対して紙の量が過剰に多いと、排水が難しくなることがあります。
まとめ

ペットの排泄物や猫砂は、浄化槽やトイレに流すのではなく、「可燃ごみとして適切に捨てる」ことが重要です。
浄化槽や下水処理施設は、人間の排泄物やトイレットペーパーの処理に最適化されています。
しかし、ペットの排泄物や猫砂は処理負荷を増やし、その成分や濃度が異なるため、適切な処理が行われず、水質や浄化槽に悪影響を及ぼす可能性があります。
ペットの排泄物や猫砂は、家庭の可燃ごみとして包装し、地方自治体の指示に従ったごみ収集方法で捨ててください。
これにより適切な処理が行われ、環境への影響を最小限に抑えることができます。
ごみの分別や処理方法は自治体によって異なる場合があるので、「ご自身の居住地域の自治体や市役所の指示に従い、適切に処理」を行うよう心掛けましょう。
環境保全に配慮するだけでなく、衛生的な生活環境や公共の施設の維持にも同様に注意を払うことが重要です。
