浄化槽の放流ポンプは何年もつ?寿命の目安・交換時期・費用を解説
浄化槽で使われる放流ポンプは処理した水を外へ流す装置です。敷地に傾き(勾配)がなく処理した水が自然に流れない場合に使います。
この記事では放流ポンプの役割や選び方のポイントと寿命の目安を解説します。読めば放流ポンプの故障を早めに防げます。
放流ポンプの動きを確かめる方法は以下の動画で紹介しています。
浄化槽の仕組みと放流ポンプの役割

浄化槽の仕組みと放流ポンプの役割を以下で解説します。
- 浄化槽は生活排水を浄化処理する設備
- 放流ポンプの役割は処理水の排出
浄化槽は生活排水を浄化処理する設備
下水道のない地域で水洗トイレを使うには浄化槽が必要です。
浄化槽は家庭や施設から出る生活排水を微生物の力できれいにして自然へ流す設備です。汚れた水をそのまま流さないことで自然環境を守ります。
放流ポンプの役割は処理水の排出
放流ポンプは浄化槽で処理した水を外へ流すための装置です。
土地に傾きがない場所や排水先が高い場所では水が自然に流れません。そのため放流ポンプが必要です。
放流ポンプは水の中に沈めて使うため「水中ポンプ」とも呼ばれます。
放流ポンプの種類と選び方を用途別に解説

放流ポンプの種類と選び方を以下で解説します。
- 放流ポンプの種類と特徴|自動運転型・センサー制御型
- 放流ポンプの選び方|失敗しない3つのポイント
- 家庭用浄化槽におすすめの放流ポンプ
- PRW型とPRA型の違いは運転方式
放流ポンプの種類と特徴|自動運転型・センサー制御型
放流ポンプの種類と特徴は次のとおりです。
- 自動交互運転水中ポンプ
- 2台のポンプを交互に動かします。1台あたりの負担が減り寿命がのびます。
- 水中ハイスピンポンプ
- 鶴見製作所のPU型・PN型は軽くて丈夫な樹脂製の水中ポンプです。羽根車の形に工夫があり大きな異物も通せます。
- 樹脂製ポンプ
- 新明和工業のポンプは軽くて丈夫でさびにも強い設計です。樹脂とステンレスを組み合わせて長く使えるようにしています。
- センサー制御型ポンプ
- センサー制御型ポンプは電極センサーで水位を正確に読み取って動きます。フロート式に比べて設置に必要な面積が約半分ですみます。
放流ポンプの選び方|失敗しない3つのポイント

放流ポンプを選ぶときに見るポイントは次の3つです。
- 出力(kW)
- 出力はポンプの力の強さを表します。数値が大きいほど水を押し出す力が強くなります。
- 吐出口のサイズ
- 吐出口は水が出ていく口です。配管に合ったサイズを選ぶとむだなく排水できます。
- 使用環境への適合性
- 排水の量や水の汚れ具合に合うポンプを選びましょう。泥や異物が多い場合はそれに対応したモデルを選びます。
家庭用には小型モデルが向いています。施設や工事現場ではたくさんの水を出せるモデルが必要です。
置く場所がせまい場合は小さく設置できるモデルも考えましょう。
ポンプ選びでは買うときの値段だけでなく電気代も確かめましょう。省エネ性能が高いモデルを選べば電気代を抑えられます。
家庭用浄化槽におすすめの放流ポンプ

家庭用には鶴見製作所のPRW型とPRA型の放流ポンプがおすすめです。
どちらもフロート(水位を感じ取る部品)を内蔵しています。せまい場所にも設置でき位置の調整もいりません。
現場でも多く使われていて故障が少なく長もちします。主な特徴は次のとおりです。
- 浄化槽専用の放流ポンプ
- 筒形フロートスイッチで設置が簡単
- フロートの位置調整がいらず場所を取らない
- 耐塩素仕様のケーブルで塩素ガスによるさびを防ぐ
PRW型とPRA型の違いは運転方式

PRW型とPRA型の違いは運転方式にあります。
- PRW型|自動交互形(親機)で2台のポンプを交互運転
- PRA型|自動形(子機)で単独動作する放流ポンプ
PRW型とPRA型の性能は同じです。基本の仕様は次のとおりです。
- 吐出し口径:32mm
- 出力:0.13kW
- 全揚程:2.5m(50Hz)/ 4m(60Hz)
全揚程はポンプが水を汲み上げられる高さを指します。PRW型はNo.1ポンプ(親機)、PRA型はNo.2ポンプ(子機)として使用します。
2台が交互に動くので動く時間が同じになります。1台にかかる負担が減り長もちします。
放流ポンプの主なトラブルと対処法

放流ポンプに起こる主なトラブルは次のとおりです。
- 放流ポンプが故障・停止する5つの原因
- 排水不良の症状と対策|詰まり・逆流への対応
- 電気系トラブル|水中ケーブルとモーターの不具合
放流ポンプが故障・停止する5つの原因
放流ポンプが止まると浄化槽が満水になったり臭いが出たりする原因になります。
主な原因は次の5つです。
- 漏電の発生
- 古くなってポンプの中に汚水が入る
- フロートスイッチがうまく動かない
- 異物が詰まって負担がかかる
- 羽根車がこわれる・ベアリングがすり減る
排水不良の症状と対策|詰まり・逆流への対応
ポンプが故障すると次の問題が起こります。
- 汚水が溢れる
- 水が逆流して流れが悪くなる
- 臭気が発生する
- 処理した水の水質が基準より悪くなる
吸い込み口に異物が詰まるとポンプの力が落ちたり止まったりします。詰まりを防ぐには流すものに気をつけることが大切です。
浄化槽には排泄物と分解しやすいトイレットペーパーのみ流しましょう。逆流が心配な場合は逆止弁(水の逆流を防ぐ弁)を付けると効果があります。
電気系トラブル|水中ケーブルとモーターの不具合
電気系統で起こる主なトラブルは次のとおりです。
- 水中ケーブルの断線
- 汚水が入ってモーターの中がこわれる
- モーターの絶縁抵抗の異常(電気が漏れやすくなる状態)
- ブレーカーが落ちる
電気系トラブルの主な原因は経年劣化です。異常が出たときは新品に交換しましょう。
放流ポンプの寿命は約7〜12年|交換時期のサイン
放流ポンプの寿命は約7〜12年です。
水をくみ上げない・止まらずに動き続けるといった異常は寿命のサインです。新品に交換しましょう。
交換の手順は以下の動画で解説しています。
浄化槽の機器は長く使うと必ず劣化します。故障はさけられません。交換費用をあらかじめ見込んでおくと急な出費にもあわてずにすみます。
放流ポンプを長持ちさせる5つのポイント

放流ポンプを長持ちさせるには次の5つのポイントを守りましょう。
- 定期的なメンテナンスで早期発見
- 浄化槽を適切に使う
- 2台で交互運転して負荷を分散
- 逆止弁で逆流を防止
- 油や薬品など有害物質を流さない
定期的なメンテナンスで早期発見
保守点検は4か月に1回以上行いましょう。浄化槽管理士の点検で異常や劣化を早く見つけられます。
早めに直したり交換したりするとトラブルを防げます。
浄化槽を適切に使う
一度に大量の水を流すなど無理な使い方はポンプに負担をかけ寿命を縮めます。
異物が多い水を流すと羽根車が詰まったり故障したりして寿命が短くなります。
2台で交互運転して負荷を分散
2台のポンプを設置すると水の量に合わせて交互運転や同時運転が可能です。
1台あたりの負担が減り寿命をのばせます。
逆止弁で逆流を防止
放流側に逆止弁(水の逆流を防ぐ弁)を取り付けると逆流を防げます。ポンプの負担も減らせます。
油や薬品など有害物質を流さない
油や薬品や異物を流すとポンプが詰まり故障の原因になります。浄化槽にも悪い影響が出るので正しく処分しましょう。
浄化槽の消毒剤から出る塩素ガスでケーブルがさびることがあります。
耐塩素仕様のケーブルを使ったポンプを選ぶと塩素ガスによるさびを少なくできます。
放流ポンプ導入時の注意点|設置の必要性と排気管の取り付け

土地の形や浄化槽の位置によって水が自然に流れない場合は放流ポンプの設置が必要です。
自然に流れる場合は電気代などがかかるので設置しないほうがよいでしょう。
放流ポンプ槽が一体になった浄化槽では排気管(臭突管)の設置が必要です。
排気管の出口は側溝の水位がいちばん高くなる位置より上に取り付けてください。
放流ポンプに関するよくある質問

放流ポンプに関するよくある質問は次のとおりです。
- 家庭用放流ポンプの交換費用は?
- 2台のうち1台だけで運転してもよい?
- 放流ポンプは修理できる?
- 放流ポンプのメンテナンス頻度は?
家庭用放流ポンプの交換費用は?
家庭用放流ポンプの交換費用は8~15万円程度です。費用は地域やメーカーや現場の状況によって変わります。
2台のうち1台だけで運転してもよい?
1台だけでも運転はできます。ただし残った1台に負担が集中して故障しやすくなります。ポンプが故障すると槽の中が満水になり正常に処理できません。
ポンプは消耗品です。古くなって故障することはさけられません。計画的に点検と交換を行いましょう。
放流ポンプは修理できる?
放流ポンプの修理は可能です。
ただし家庭用放流ポンプのオーバーホール(分解修理)は修理費が高くつきます。新品に交換したほうが結果的に安くすむのでおすすめです。
放流ポンプのメンテナンス頻度は?
保守点検や清掃や法定検査のときに放流ポンプを動かして動作を確かめます。正常に動いているかを定期的に見てもらいましょう。
まとめ|放流ポンプは寿命を見極めて計画的に交換

放流ポンプは処理した水を外へ流す大切な装置で、水が自然に流れない場合に使用します。自動運転型やセンサー制御型などの種類があるので用途に合わせて選びましょう。
設置場所や排水量に合ったモデル選びが大切です。浄化槽を正しく使えばポンプが長もちしトラブルも防げます。
寿命の目安は約7〜12年です。水をくみ上げないなどのサインが出たら計画的に交換しましょう。浄化槽と放流ポンプは生活と環境を守る大切な設備です。






