浄化槽基礎知識

【浄化槽に悪影響】油・嘔吐物による詰まりと臭気・水質悪化の対処法!

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料理後の油や嘔吐物を正しく処理していますか?排水口に流すと浄化槽に負担をかけ、水質悪化の原因になります。

油は管内で固まり、詰まりの原因になります。トラブルを防ぐには、適切な処理が必要です。

本記事では、油や嘔吐物が浄化槽に与える影響と具体的な対策について解説。クボタHY型を例に、槽内の写真付きで紹介します。

記事を読むことで、詰まりや臭気を防ぐ方法がわかります。浄化槽を正しく使用しましょう。

油や嘔吐物が浄化槽で処理できない理由と与える影響

油や嘔吐物が浄化槽に与える影響

浄化槽は、家庭や店舗の汚水を微生物の働きで浄化処理する設備です。

嘔吐物排泄物と異なり、浄化槽の処理能力を超えて水質を悪化させます

油や嘔吐物が浄化槽に与える影響は、以下のとおりです。

  • 油が引き起こす浄化槽の詰まりと機能低下
  • 油が詰まりを引き起こす理由
  • 油の蓄積による影響

油が引き起こす浄化槽の詰まりと機能低下

調理後の油を排水口に流すと、配管や計量マスで固まり詰まりの原因になります。汚水の流れが悪化し、浄化槽の機能が低下します。

下の写真は正常な槽内です。

油が詰まりを引き起こす理由

油は水と混ざらず、槽内のさまざまな箇所で固まります

排水管に流れた油が固まると、配管の内壁に付着し、徐々に詰まりが発生します。

» 詰まったときの対処法

油の蓄積による影響

お客様

浄化槽なのになぜうまく処理できないの?

じょー太郎くん

エサが多くなる=微生物が増えすぎる=水質が悪くなります。

油が槽内に蓄積すると処理水が濁り、臭気が発生します。

浄化槽の機能が低下すると、汚水が処理されず、臭気や環境へ影響を引き起こします。

槽内の様子は以下の動画でも視聴可能です。

油や嘔吐物による詰まりを防ぐ対策

浄化槽の詰まりや機能低下を防ぐためには、日常的な習慣が大切です。油や嘔吐物によるトラブルを防ぐ対策を紹介します。

  • 油の処理方法と家庭でできる対策
  • 嘔吐物による浄化槽への負担を軽減する方法

油の処理方法と家庭でできる対策

調理後に排水口へ油を流すことを避け、以下の方法で処理しましょう。

  • 使用後のフライパンや鍋の油は、ペーパーで拭き取り、燃えるゴミとして処分する
  • 大量の油は、油凝固剤で固めてから処分する
  • 調理時に油の使用量を減らして、排水口の詰まりを予防する

浄化槽への負担を軽減する方法

嘔吐物が浄化槽に直接流れ込むのを防ぎ、負担を減らすための処理方法を実践しましょう。

使い捨ての嘔吐袋を利用する
嘔吐物は専用の使い捨て袋に入れ、燃えるゴミとして処分する
嘔吐物の水分を吸収して処理する
嘔吐物の水分を吸収し固形化してから、紙ごみとして処分する
トイレに流す場合の注意点
やむを得ずトイレに流す場合は、多めの水で流し、詰まりを防ぐ。固形物は事前に取り除くこと

嘔吐物には未消化の食べ物や油分が含まれ、槽内で微生物が過剰に増殖し、処理能力を超えます。

固形物が浄化槽に流れ込むと微生物のバランスが崩れ、処理不良や臭気、詰まりの原因になります。

» 臭気が発生する原因5選

浄化槽の正常と異常を見分けるポイント

下の写真が正常な槽内です。

浄化槽の状態は、水の色やニオイで確認できます。異常が見られた場合は、清掃などの対応を早急に行いましょう。

5番の沈殿槽を確認すると、通常の状態と比べて水の色が異なります。

異常な浄化槽の特徴

槽内の水が濁ったり臭気がする場合、詰まりや処理不良が考えられます。油分の蓄積は臭気を強めるため、早めに清掃しましょう。

正常な状態の特徴

正常に機能する浄化槽の処理水は透明でほとんど無臭です。定期的に点検と清掃を行い、異常がないか確認しましょう。

詰まりや臭気を防ぐ商品を活用する

詰まりや悪臭を防ぐ製品の活用

油や嘔吐物による浄化槽トラブルを防ぐために、以下の商品を活用しましょう。

  • 使い捨て嘔吐袋
  • シーディング剤の利用

使い捨て嘔吐袋

嘔吐物をトイレに流さないために、使い捨ての嘔吐袋を活用しましょう。

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シーディング剤の利用

微生物の活性を高めるシーディング剤を使用すると、ニオイの軽減や水質改善に期待できます。

シーディング(種付け)とは、生物処理槽(曝気槽など)に微生物群を定着させることです。

微生物を定着させることで、脱臭効果や浄化槽の処理能力が向上します。使用方法はトイレに流すだけで簡単です。

浄化槽への負担を軽減する方法

日常的な習慣で浄化槽への負担を軽減する方法

浄化槽への負担を減らすため、日常的に次の習慣を実践しましょう。

  • 油を流さない工夫をする
  • 嘔吐物処理の際に注意する

油を流さない工夫をする

油を流さない工夫は、以下を参考にしてください。

  • 調理後の油は新聞紙や凝固剤で処理し、排水口に流さない
  • 食器の油はキッチンペーパーで拭き取り、流出を防ぐ
  • 揚げ物など油を多く使う料理の頻度を減らす

嘔吐物処理の際に注意する

嘔吐物は直接トイレに流さず、袋に入れて処理します。万が一流してしまった場合は、多量の水で流し、詰まりを防ぎましょう。

まとめ

定期的な清掃とメンテナンス

浄化槽の機能を長期間維持するには、定期的な点検と清掃が欠かせません。

油や嘔吐物の対処法は、以下のとおりです。

  • 油は流さず、紙や固めるテンプルで処理する
  • トイレでの嘔吐は避け、吐いた場合は水を流して詰まりを防ぐ
  • 嘔吐物の水分は紙で吸収し、可燃ごみとして処分する
  • 臭気が続く場合は浄化槽清掃を実施する

管理業者から「油の使用が多い」と指摘された場合、浄化槽の機能が低下しています

臭気や水の流れの悪化、詰まりがある場合は、早急に管理業者へ連絡してください。早めの対応がトラブル拡大を防ぎ、浄化槽の寿命も延ばします。

清掃のタイミングや頻度も、管理業者に相談しましょう。

» 浄化槽基礎知識

ABOUT ME
いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
わたしは、浄化槽業界に10年以上携わる現役の浄化槽管理士です。「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」をコンセプトに、ブログやSNSで情報を発信しています。 浄化槽は、主に下水道が整備されていない地域で活躍する重要なインフラ設備です。微生物の働きを利用して汚水を浄化する仕組みで、適切な維持管理が欠かせません。 維持管理には、浄化槽管理士、清掃員、検査員、そして浄化槽所有者の協力が必要です。浄化槽の役割や正しい使用方法を多くの方に伝える活動に取り組んでいます。
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