「水洗トイレに変えたいけど、下水道が整備されていない地域ではどうすればいいの?」と悩む方は多くいます。
これらの問題は、合併処理浄化槽を設置することで解決できます。下水道がなくても、水洗トイレの利用は可能です。
この記事では、くみ取り式トイレや単独浄化槽から水洗トイレへリフォームする方法を解説します。水洗トイレへの変更は、環境への配慮に加え、日常生活の快適さも大きく向上します。
自治体が推奨する理由とメリット|浄化槽リフォームの必要性

合併処理浄化槽は、生活排水を微生物の働きで処理し、河川や地下水への負担を軽減します。くみ取り式トイレから水洗トイレへのリフォームは、環境保護の観点からも効果的です。
水質汚染は世界的な課題であり、途上国ではトイレの未整備が健康被害や環境悪化を招いています。日本でも、感染症の予防や自然環境の保全を目的に、水洗化と合併処理浄化槽の導入が推奨されています。
下水道未整備地域での水洗トイレ|合併処理浄化槽の役割
下水道が未整備の地域で水洗トイレにリフォームするには、「合併処理浄化槽」の設置が必要です。
合併処理浄化槽は下水処理場と同等の処理能力を持ち、生活排水をすべて処理します。水洗トイレ導入には、合併処理浄化槽が必須です。
くみ取り式トイレから水洗化の必要性

田舎ではくみ取り式トイレが多く残っていますが、近年、下水道整備や浄化槽の普及が進み、減少傾向にあります。
災害時など緊急時にトイレが必要な場合も、くみ取り式トイレが活用されることがあります。
浄化槽とはいえ「単独処理浄化槽」には問題があります。トイレ排水のみを処理するため、生活排水は処理できません。
築40年以上の建物では、単独処理浄化槽が多く使われています。
くみ取り式トイレの課題と対策
くみ取り式トイレには、衛生面で以下の問題があります。
- 臭気や害虫が発生する
- 落下などの事故リスクがある
- 生活排水が垂れ流しとなり環境に負荷をかける
- 定期的なくみ取りが必要で手間がかかる
生活の快適さや環境保全の観点からは、下水道への接続や合併処理浄化槽への移行、水洗トイレへのリフォームがおすすめです。衛生的で快適な暮らしと、持続可能な環境の両立が実現できます。
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合併処理浄化槽の仕組みとメリット

合併処理浄化槽は微生物の働きを利用し、生活排水を自然に近い方法で浄化します。
合併処理浄化槽の工程は、以下のとおりです。
- 嫌気ろ床槽は有機物を嫌気性微生物で分解する
- 接触ばっ気槽は好気性微生物で有機物を分解する
- 沈殿槽は処理後の水から固形物を沈殿させる
- 消毒槽は上澄み水を消毒し側溝へ放流する
浄化槽は正しく管理しないと浄化能力が低下するため、定期的な点検と清掃が必要です。浄化槽維持管理は所有者の法的責任であり、処理性能を維持するために欠かせません。
以下の動画では、浄化槽の仕組みや維持管理について解説しています。
水洗トイレのメリット
水洗トイレのメリットは、以下のとおりです。
- 水洗トイレは構造上、子どもの落下事故のリスクがない
- 水洗トイレは臭気が少なく、害虫の発生を抑え感染症リスクを軽減
- 浄化槽は耐災害性が高く、災害時でも使用できる
- 合併処理浄化槽は処理能力が高く、環境にやさしい
水洗トイレのデメリット
水洗トイレのデメリットは、以下のとおりです。
- 浄化槽の定期清掃と点検には維持管理費がかかる
- ブロワーやポンプの故障で設備の維持費が発生する
水洗トイレへのリフォーム手順と費用について

下水道未整備地域での水洗トイレリフォームには、綿密な計画が必要です。手順や期間、費用は以下のとおりです。
- 業者とトイレや下水道の状態を確認し状況を評価する
- 工事内容と予算を明確にし計画を策定する
- 専門業者が浄化槽リフォームを施工する
- 工事後に適切性を検査し最終チェックを行う
リフォームの期間は工事の規模に応じて、数日〜数週間が一般的です。
- 既存のトイレ撤去
- 業者によるくみ取り式トイレの安全な撤去と、既存の排水設備改修の検討を行う。
- 浄化槽埋設
- 浄化槽の埋設に適した場所を選定後、専門業者により埋設作業を行います。新モデルの水洗トイレを設置し、トイレと浄化槽との間の配管接続を実施します。
- 内装工事
- トイレのスタイルと色を選定し、床や壁の材料を選び仕上げを行います。内装工事の費用と所要時間を確認します。
トイレリフォームの工事期間の目安
浄化槽の工期は、作業内容や規模によって変わります。設置場所や配管がシンプルで距離も短い場合は、3日ほどで完了します。一般的なリフォームでは、約10日を見込んでおくとよいでしょう。
内装工事やバリアフリー化などの追加工事があると、工期は数か月に延びます。専門的な技術や詳細な計画が必要なためです。
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トイレリフォームの費用相場

工事費用は設置場所や敷地条件によって異なります。合併処理浄化槽へのリフォーム費用は100~200万円が相場です。
項目 | 費用目安 |
くみ取り式トイレの清掃・消毒・解体 | 約10万円 |
浄化槽本体 | 50~80万円 |
配管工事 | 10~50万円 |
現場養生 | 約10万円 |
失敗しない工事業者の選び方とポイント

トイレの水洗化リフォームを検討する際は、以下のポイントを参考にしてください。
- アフターサービスの充実
- 工事後のメンテナンスと修理対応を確認し、業者の過去の評判やクチコミも検討しましょう。
- 万が一の保証期間の設定
- 設備や工事の問題に対する保証内容と、保証期間及び詳細を確認します。
- 見積もりの明確さと追加費用の確認
- 明確な見積もりを取得し、追加費用の発生を防ぎます。
- 説明の丁寧さ
- 業者による工事と設備の説明を確認し、相談や見積もり時の対応も検討しましょう。
自治体指定業者の選び方のポイント
市町村が指定する浄化槽工事業者を利用すると安心です。業者は地域ごとに異なるため、詳しくは自治体の担当部署に問い合わせましょう。
計画段階からサポートを受けることで、手続きや書類作成もスムーズに進みます。
多くの自治体では、公式サイトで指定業者のリストを公開しているため、業者選びの参考になります。
自宅の建築を担当したハウスメーカーや設備工事業者が、浄化槽工事を請け負うケースも多くあります。
信頼関係のある業者に依頼すれば、安心してリフォーム工事を進められます。
複数の見積もりを取るメリット
浄化槽の工事業者を選ぶ際は、複数の会社に見積もりを依頼するのが基本です。リフォームを行う業者選びのポイントは以下のとおりです。
- 横柄な対応をする業者は避ける
- 調査なしで金額を提示する業者には注意する
- 極端に安い見積もりは追加料金の可能性を警戒する
浄化槽の工事業者を選ぶ際は、費用の安さだけでなく、対応の丁寧さや過去の実績も確認しましょう。総合的に判断すると、満足度の高い工事につながります。
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DIYでのトイレリフォームは難しい

浄化槽やトイレのリフォームには、専門的な知識と高度な技術が求められます。浄化槽の設置は、一般の方が行うことはできません。
浄化槽設置作業には、以下の知識や資格が必要です。
- くみ取り式から変更する際は既存便槽を適切に処理する
- 浄化槽設備士の監督を法律で義務付けられている
- 地中掘削作業には重機操作の専門技能が求められる
- 基礎や配管工事には高い技術と豊富な経験が求められる
浄化槽リフォームは専門知識と技術を持つ業者に依頼するのが安全かつ効率的です。
補助金申請の前に知っておくべきポイント
くみ取り式から水洗トイレへの変更は大規模な工事で、費用は約100〜200万円かかります。経済的に進めるためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 自治体の補助金を利用し浄化槽リフォーム費用を軽減する
- 要支援や要介護家庭は介護保険と補助金を併用する
- 水質汚濁防止と生活環境・公衆衛生の向上を図る
- 合併処理浄化槽の設置者として管理責任を負う
補助金の条件や金額は自治体ごとに異なるので、詳しい内容はお住まいの役所で確認するか、一般社団法人浄化槽システム協会(JSA)のホームページを参照してください。
厚生労働省の関連資料も役立つ情報源です。
浄化槽リフォームの手続きの流れ
浄化槽のリフォームを計画する際は、以下の手続きが必要です。
- 浄化槽設置申請は工事前に行い交付決定後に工事を開始する
- 自治体によってはオンライン申請が可能なため公式サイトで確認する
- 必要書類の詳細は環境省のサイトで確認する
自治体の補助金制度の活用

リフォームを計画する際は、自治体の補助金を活用しましょう。補助金の金額や申請期間は自治体ごとに異なり、詳細や条件は地域の役所で確認できます。
補助金を利用すれば、経済的負担を軽減しながらリフォームが進められます。
熊本市の浄化槽設置補助金の詳細
令和5年度(2023年度)の熊本市における浄化槽リフォームの補助金は、以下のとおりです。
項目 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 |
転換(浄化槽本体工事) | 444,000円 | 486,000円 | 585,000円 |
転換(宅内配管工事) | 300,000円 | 300,000円 | 300,000円 |
単独槽撤去 | 120,000円 | 120,000円 | 120,000円 |
くみ取り槽撤去 | 90,000円 | 90,000円 | 90,000円 |
浄化槽リフォームの際、補助金制度を利用すると費用を軽減できます。申請方法や必要書類は公式ホームページや窓口で確認しましょう。
補助金受取の条件は細かく定められています。工事前に自治体への確認が重要です。
中津市のHPにある、補助の対象となる方のフローチャートでも解説しています。
まとめ|快適な生活のための浄化槽リフォーム

くみ取り式トイレから水洗トイレへ変更する際に必要な浄化槽リフォームについて解説しました。主なポイントは以下のとおりです。
- 浄化槽リフォームは環境保全と健康維持に貢献する
- 下水道未整備地域では合併処理浄化槽を設置する
- 工事の期間や費用は地域で異なるため事前確認する
- 複数の業者から見積もりを取り比較して選択する
- 自治体の補助金制度を活用して費用を抑える
水洗トイレへのリフォームは、下水道が整備されていない地域でも暮らしの快適さを向上させます。補助金を活用すれば、費用を抑えて衛生的な住環境を整えられます。