浄化槽の法定検査と保守点検の違い|点検を頼んでいても法定検査は必要?
「保守点検と法定検査はどう違うの?」「法定検査は本当に必要?」と疑問に思う方は多いです。
法定検査は浄化槽をきちんと管理するために欠かせない検査です。
この記事では法定検査の内容や保守点検との違い・受けるメリットを解説します。法定検査がなぜ必要なのかもわかります。
浄化槽利用者が知っておきたい法定検査の知識4選

浄化槽を使う人が知っておきたい法定検査の知識を4つ説明します。
- 浄化槽の法定検査と保守点検の違い
- 浄化槽所有者の義務と責任
- 法定検査でチェックする項目一覧
- 法定検査・保守点検あるある
以下の動画では保守点検について解説しています。
浄化槽の法定検査と保守点検の違い

お客様からは「保守点検や清掃をしているのに法定検査も必要なの?」とよく聞かれます。
保守点検・浄化槽清掃・法定検査の3つを順に説明します。
- 保守点検
- 保守点検は浄化槽の働きを保つために行います。3〜4か月に1回の目安で機械の点検や修理をしたり薬剤を補充したりします。(点検回数は地域によって違います)
- 浄化槽清掃
- 浄化槽清掃は年1回以上必要です。バキュームカーで槽内の汚泥(たまった汚れ)を吸い取り配管やポンプを洗います。浄化槽の働きが落ちたり汚物が流れ出たり臭いが出たりするのを防げます。
- 法定検査
- 浄化槽は年1回の法定検査(11条検査)を受ける必要があります。新しく設置したときは使用開始後3〜8か月の間に7条検査を受けます。検査は都道府県が指定した検査機関の検査員が行い浄化槽の働きや水質を調べます。保守点検と清掃がきちんと行われているかも確かめます。不備があれば所有者や管理業者に直すよう指導が入ります。
法定検査は点検や清掃とは役割が違います。どれか一つでは代わりになりません。
点検の回数と法定検査・保守点検の違いは以下の表にまとめました。
| 維持管理内容 | 業務内容 | 頻度 |
| 保守点検 | 装置の動作確認・消毒剤の補充 | 年3回以上 |
| 浄化槽清掃 | 汚泥の引き抜き | 年1回以上 |
| 7条検査 | 設置後の水質検査、浄化槽の機能確認 | 使用開始後3〜8か月の間に1回のみ。その後は定期検査(11条検査)に切り替わる |
| 定期検査(11条検査) | 水質検査、浄化槽の機能確認 | 毎年1回 |
浄化槽所有者の義務と責任
浄化槽の所有者には法律で維持管理の義務があります。
維持管理とは点検・清掃・検査をきちんと行うことです。自宅から出る排水に責任を持つのは当然のことです。
保守点検の回数は地域によって違います。お住まいの自治体の決まりを確認してください。
法定検査を受けることは浄化槽法で決められた所有者の義務です。
受けないと法律違反になり30万円以下の過料を求められることがあります。
過料とはルールを守らせるためにお金を払わせるしくみです。刑事事件の罰金とは違い前科にはなりません。
法定検査でチェックする項目一覧
検査項目は以下の表を参考にしてください。
| 検査の種類 | 7条検査 | 定期検査(11条検査) |
| 検査の時期 | 使用開始後3か月を過ぎてから5か月の間(使用開始後3〜8か月) | 年1回 |
| 外観検査 | 設置状況 設備稼働状況 水の流れ状況 使用状況 悪臭発生状況 消毒実施状況 蚊やハエの発生状況 | 設置状況 設備稼働状況 水の流れ状況 使用状況 悪臭発生状況 消毒実施状況 蚊やハエの発生状況 |
| 水質検査 | 水素イオン濃度(pH) 活性汚泥沈殿率 溶存酸素量 透視度 塩化物イオン濃度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD) | 水素イオン濃度(pH) 溶存酸素量 透視度 残留塩素濃度 生物化学的酸素要求量(BOD) |
| 書類検査 | 使用開始直前の保守点検記録をもとに、浄化槽が適正に設置されているか検査する | 保守点検や清掃の記録、前回の検査記録を参考にし、保守点検と清掃が適正に行われているか検査する |
法定検査・保守点検あるある
お客様のご自宅に保守点検に伺うとこんな会話になることがあります。
昨日も検査に来てましたよ~
それは法定検査で、本日は保守点検ですよ~
法定検査では検査員が浄化槽の状態を調べ問題があれば所有者や管理業者へ報告します。
定期的に点検していても法定検査で新しい不具合が見つかることもあります。
以下の動画は法定検査で「問題なし」と判定された2日後に撮影した槽内の様子です。
わずか2日で異常が起きています。浄化槽の中の状態は毎日変わることがわかります。
法定検査の7条・11条検査の違い

7条検査と11条検査の違いを順に説明します。
7条検査とは?浄化槽設置後の初回検査
7条検査は浄化槽を設置して使い始めてから3〜8か月の間に受ける法定検査です。新築やリフォームで浄化槽を新しく設置したときに必要です。
7条検査では浄化槽が正しく働いているかを詳しく調べます。配管のつなぎ方や水の流れに問題がないかも確かめます。
11条検査は毎年の検査
11条検査は年1回受けることが義務になっている法定検査です。保守点検や清掃がきちんと行われているかを調べます。
槽内の設備の働きや処理した水の水質が基準を満たしているかも検査します。
検査費用は地域ごとに違います。お住まいの地域の検査機関に確認しましょう。
法定検査でよくある指摘内容とは?

法定検査で指摘される問題について以下で解説します。
- 改善が必要なチェックポイント
- 法定検査の「適正」「不適正」の基準
改善が必要なチェックポイント
検査員はいろいろな項目を細かく調べます。よく指摘されるのは以下の点です。
- 漏水・湧水
- 消毒剤の不足
- 水質の悪化
- 機械の不具合
- 配管の問題
- 槽内の破損・故障
法定検査で浄化槽に問題が見つかると所有者や管理業者に報告されます。報告を受けた管理業者は指摘された箇所を直します。
消毒剤が切れていますよ~
わかりました!補充しにお伺いします。
法定検査を受けないと槽内の不具合や傷みを見逃しやすくなります。
いいかげんな管理業者が点検や消毒剤の補充をさぼると浄化槽の働きが落ちます。汚れた水が流れ出て周りの環境に大きな影響が出ます。
環境なんてどうでもいい!
検査と保守点検をしっかり行えば不具合を早く見つけてすぐに直せます。
法定検査の「適正」「不適正」の基準
検査結果は以下の3つのどれかで判定されます。
- 適正
- おおむね適正
- 不適正
結果が「適正」なら問題ありません。「おおむね適正」は大きな問題はありませんが直したほうがよい点がある状態です。
「不適正」と判定された場合は浄化槽の働きや水質または管理のしかたに問題があります。すぐに直す必要があります。
検査結果の書類は3年間保管しておきましょう。
法定検査のメリット|定期的に受けて守る環境と健康

法定検査を受けると環境に気を配りながら安心して浄化槽を使えます。以下で理由を説明します。
法定検査は安全と安心への投資となる
法定検査にはお金がかかりますが浄化槽と環境を守るために大切な投資です。
検査で指摘された問題を直せば環境を守ることにもつながります。
例:車にたとえると管理業者の保守点検や清掃は「定期点検」です。法定検査は「車検」にあたります。車に車検が必要なように浄化槽にも法定検査が必要です。
以下の動画でも維持管理の大切さについて解説しています。
法定検査を受けないと大変!命に関わる事故の例とリスク

過去には井戸水を使う地域で地盤沈下が起きて浄化槽から水がもれる問題が報告されています。
井戸水に汚水が混ざり大腸菌O157による食中毒が起きました。亡くなった方もいます。
浄化槽の管理や検査をさぼると思わぬトラブルにつながります。自分では問題がないと思っていても近所の人に迷惑をかけているかもしれません。
トラブルを防ぐには保守点検と法定検査の両方が必要です。
法定検査は集団生活と環境を守るためのルール

保守点検や清掃だけでなく外部の検査機関が行う法定検査も必要です。法定検査は浄化槽をきちんと管理するための集団生活のルールです。
浄化槽は地下にあるので不具合が起きても気づくのが遅れがちです。第三者の目で調べる法定検査は環境を守るうえでも大切な制度です。
法定検査では水質に問題がないかを調べ保守点検や清掃がきちんと行われているかも確かめます。
不備があれば管理業者にも指摘が入ります。法定検査を受けると水質を管理するしくみが整います。
次の世代にきれいな環境を引き継ぐために法定検査を受けましょう。










