水張りを行う理由3選!
浄化槽の破損を防ぐ
固形物と液体を分離するため
ニオイ、詰まりを防ぐ役割
浄化槽清掃後の「水張り作業は必須」です。
多くのお客様から「水道代はどの程度か?」や「バキュームカーで槽内に戻す方法の安全性は?」といった疑問が寄せられます。
本記事ではこれらの疑問にわかりやすく答えています。
自宅で簡単にできる水張りの方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
浄化槽は水がないと破損する
「漏水」とは、浄化槽に亀裂や穴が開き、水が外に漏れ出る現象を指します。
この状況は、水を保持する槽やタンクから水が外部に流出してしまうことを意味し、浄化槽からの漏水は周囲の環境や建築物に重大な影響を及ぼす可能性があります。
地下に浸透した汚水は環境汚染を引き起こし、建物の構造にも損傷をもたらす恐れがあります。このような事態は緊急を要し、放置することはできません。
また、「湧水」とは浄化槽内が破損し、割れた部分から水が自然にわき出る現象を指します。
漏水と同じく湧水もまた、速やかに対処しなければならない深刻な状態です。
浄化槽は地下に設置されると、周囲の土からの土圧が加わります。
地下にある浄化槽は、中が空よりも水で満たされている方が破損しにくいです。これは水を充填することで内部と外部の圧力が均衡され、浄化槽にかかる圧力が軽減されるためです。
清掃後の浄化槽は空に近い状態になるため、清掃後はできるだけ速やかに水張りを行うことが重要です。この対策により、槽の損傷を防ぐことができます。
一方的な土圧がかかるのを防ぎ、浄化槽を安定した状態に保つことができます。
浄化槽の管理では、「均等なバランス」を維持することが重要です。
バランスを保つことで浄化槽の耐久性が向上し、長期にわたって安定した運用が実現できます。
水張り方法の適切な手順
水張り方法は主に以下になります。
- 汚水桝から水を入れる
- 汚水処理場から水を汲んでくる
- お客様の水道水を使用する
水張り方法について詳しく解説した動画はコチラ。
汚水桝というのはこのようなモノです。
汚水桝は必ず浄化槽に接続されており、桝に流れ込む水は最終的に浄化槽へ流れます。
浄化槽の清掃後、水を張る際は自身のホースを使用することをおすすめします。
お客様のホースを使用すると予期せぬトラブルの原因となり、お客様に不快感や迷惑をかける可能性があります。
お客様のホースを使用する必要がある場合は、事前に許可を得るようにしましょう。
汚水処理場の役割と仕組み
汚水処理場は、汚れた水や汚泥を清潔にする施設のことです。
施設で浄化処理された水は、「張り水」として使用され、再び浄化槽に供給されます。
初めて聞く方は、「浄化された水がなぜ再び浄化槽に戻されるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、ご安心ください。
「張り水」として使用される水は、高度な処理を経ており安全に利用できる水質に処理されています。
清掃後お客様に水張りを依頼するときのポイント
大前提として「水張り作業は清掃業者が行います。」
お客様の浄化槽における水張りをサービス範囲に含めています。原則としてお客様自身に水張りをお願いすることはありません。
浄化槽についての知識をお持ちの方、深い信頼関係を築いている方などから、水張り作業の協力を申し出てくださる場合があります。
特別な状況下では、「お言葉に甘えて水張りをお願い」することもあります。
「水張り作業の手順や注意点を事前に詳しく説明し、適切な作業が行われるように」十分注意しています。
お客様に作業を依頼する場合、仕切り板の破損リスクを避けるために最低限の水張りは必要です。
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子供や高齢の方には依頼しない
子供や高齢者しか家にいない場合は水張り作業を依頼することは避けましょう。
- 子供、高齢の方には水張りを頼まない
- 家の中から水張りできる方法を選ぶ
理由は子供が責任を持つことが難しいこと、高齢者の方はお伝えしていたことを忘れてしまうリスクがあります。
誤操作によるトラブルを防ぐためにも、清掃会社が責任をもって水張り作業を行いましょう。
子供、高齢の方には頼まない。
家の中からできる水張り方法
お客様に水張り作業をお願いする場合、屋内でできる方法を選択しましょう。
- お風呂の残り湯を排水する
- 台所、洗面所から水を流す
- トイレから水を流す
屋外での作業には水の止め忘れや手が汚れるリスクが高まります。これにより安全かつ清潔に作業を進めることが可能になります。
浄化槽の型式や大きさ、水圧によって水張りにかかる時間は異なります。お風呂の残り湯を利用することで、わずかですが水道代を節約できます。
お風呂、台所、洗面所から水張りを行うことができるのは、「合併処理浄化槽」を導入している家庭に限られます。
「単独処理浄化槽」を使用している場合、トイレからの水張りのみが可能です。
トイレの洗浄レバーを「大」の位置に合わせ、テープでしっかり固定します。
この操作により水が連続して流れるようになります。 約1時間そのままの状態を保持した後、テープを剥がして作業を完了させます。
もしテープが手元にない場合、少し厚めにとったトイレットペーパーも代用可能です。
最初に、洗浄レバーを「大」の位置に合わせます。トイレットペーパーを丸めて、レバーと隙間に固定するように挟みます。
この状態を約1時間保持します。時間が経ったらトイレットペーパーを取り除き、トイレに流すことで作業は完了です。
水張りにかかる費用はいくら?
結論として「蛇口を1時間間開放した場合の水道代は、概ね200円前後」となります。
お住まいの地域によって差異が生じることはありますが、こちらの金額を一般的な目安として心に留めておくとよいでしょう。
水を長時間流し続ける習慣のない多くの方々にとって、間違えて水を出しっぱなしにした場合や、うっかり忘れてしまった際の水道代は気になるところだと思います。
固形物と液体の分離について
水張りの二つ目の目的は、固形物と液体の効果的な分離を促進することです。
浄化槽の初段には沈殿分離槽があり、固形物や不純物が底に沈み、軽い物質や油分は上に浮上します。
水張りが不足すると分離作用がうまく機能しません。分離後、嫌気性微生物が汚水を浄化します。水張りは微生物が適切に機能する環境を確保するためにも必要です。
水張りにより固形物と液体が分離され、嫌気性微生物が最良の条件で汚水処理を行えます。
ニオイや詰まりの原因に
三つ目の目的は浄化槽が正常に動作する上で欠かせない要素です。
水量が不足すると固形物と液体の分離が難しくなり、処理効率が落ちてしまいます。
また、「槽内に水量が十分でない場合、ニオイの発生リスクが増加」します。
この他にも、固形物によって嫌気ろ材が詰まるなどの問題が生じる可能性があります。
水張りを行うことで問題を予防し、浄化槽が効率良く動作します。悪臭や詰まりのリスクを減らし、健康的な生活環境を維持できます。
まとめ
- 清掃後は水張りが必須
- 水張り方法は複数存在する
- 水道代はそれほど大きな負担ではない
水張りは浄化槽の維持に不可欠で、破損防止や水処理効率の向上に役立ちます。
槽内の固形物と液体を分離し、ニオイや詰まりのリスクを抑えます。浄化槽を最適な状態で保つためには水張りが必要です。
浄化槽を長く使用するために徹底して水張りを行いましょう。