浄化槽は下水道未整備地域で非常に重要な役割を果たします。主要な役割を担うのが「ブロワー」です。
ブロワーの風量と圧力は極めて重要で、定期的な点検が必要です。故障が発生した場合は、迅速に修理または交換を行うことが必要です。
- ブロワーの役割と重要性について
- ブロワーが故障する前兆とは?
- 故障したブロワーは自分で交換できる?
- ブロワーの処分方法
この記事ではブロワーの機能と重要性について詳しく解説します。最後まで読むことで、ブロワーの役割と故障時の対策方法が理解できます。
浄化槽の心臓ブロワーの機能について
ブロワーは槽内の微生物に酸素を供給し浄化槽の性能を支えます。微生物が健康に活動し、浄化機能を維持します。
ブロワー停止時は酸素供給が途絶、浄化槽性能が低下します。
ブロワーは外部に設置されているため、さまざまな要素により故障する可能性があります。持続的な性能を確保するためには定期的なメンテナンスが必須です。
ブロワーの寿命は?故障する主な原因
ブロワーは24時間連続運転し、寿命は環境によりますが大体7〜8年です。消耗品としての性質を持つため、耐久性には限界があります。
主な故障の原因は、熱や外部環境の影響を受けやすいゴム製のダイヤフラムです。
槽内を清潔に保つ方法と重要なポイント
ブロワーが供給する空気は浄化槽内の好気性微生物に必要な酸素です。空気供給が停止すると好気性微生物は生存できず、浄化槽の機能も停止します。
結果としてニオイが発生し水質が悪化します。ブロワーの正常な動作は清潔な環境と快適な生活を保つために重要です。
ブロワーの動作確認に必要な項目
浄化槽管理士は定期的な保守点検の中で、ブロワーの正常な機能を確認し清掃を行います。ブロワーの点検では以下の項目に異常がないかをチェックします。
- フィルターが目詰まりしていないか確認
- タイマー付きの場合、機能しているか試運転
- 適切な風量が出ているかを確認
- ブロワーから異音や振動がないかを確認
- ダイヤフラム(ゴム弁)に亀裂や劣化がないかを確認
- 電源コードや配線にダメージや断線がないかを確認
ブロワー故障のサイン!ニオイや異音の原因
浄化槽からのニオイや異音が聞こえる場合、ブロワーの故障が原因です。
ブロワーの不具合は浄化槽の機能停止につながり、日常生活に影響を及ぼします。
ブロワーの故障を見逃さないポイント3選!
ブロワーからのSOSを見逃さないために3つのポイントを紹介します。
- 音が全くしない
- 異音や大きな音がする
- ゴム足が摩耗してなくなっている
ブロワーから異音が聞こえる?
ブロワーは運転中微かに振動音を発します。通常と異なる音がする場合は故障の可能性があります。
長時間の連続運転により経年劣化から故障が生じやすいです。部品交換で問題が解決するケースもあり、新規交換よりコストを抑えることもできます。
無音状態のブロワーは危険信号?
ブロワーが停止し音がしない場合は、電源コードの接続を確認してください。コードが外れていると、ブロワーが作動していないことに気付かないことがあります。
地面との共鳴を防ぐ方法と対策
ブロワーがゴム足がない場合や不適切な設置場所にあると、地面と共鳴して騒音が発生することがあります。
騒音問題に直面した際はブロワーを軽く手で抑えるか、位置を微調整してみてください。音が小さくなれば、振動が地面と共鳴して騒音を引き起こしている可能性が高いです。
共鳴による騒音問題を解消するため以下の手順を試してみてください。
- ブロワー周りの清掃を行い、落ち葉やゴミの接触を確認する
- 防音マットをブロワーの下に敷くことで、振動を抑えられる
- 電源コードがブロワーに触れている可能性があるので整理する
壊れたブロワーの使用は要注意
ブロワーが故障すると槽内の微生物が死滅し、汚水の浄化が停止します。不快なニオイが発生し日常生活に影響が出ます。
未処理の排水が自然環境に放流されると川や海を汚染し、地球環境に悪影響を及ぼします。
故障した浄化槽を修理せずに使用すると「浄化槽法」に違反し、罰則の対象になることがあります。
浄化槽管理者に関わる違反行為とその罰則は次の通りです。
保守点検や清掃が定められた基準に従って行われていない場合、都道府県知事から改善措置や使用停止の命令が出されたにもかかわらず、この命令に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
引用元:環境庁
ブロワー故障の前兆!具体的な状況と対処法
ブロワーの故障の兆候を見つけた場合、適切な対処が必要です。以下で状況別の対処方法を解説します。
- ブロワーが異常に熱くなっている場合
- 高温に注意し、火傷を防ぐために手袋を使用してください。購入したばかりの製品に関しては、保証内容を確認しましょう。
- ブロワーから異常な音がする場合
- 電源を切りブロワーを停止します。管理業者に連絡し、修理や交換の必要性を相談しましょう。
- ブロワーが全く動かない場合
- 電気が通っているか、停電の有無を確認。管理業者に交換、修理の依頼をする。
電源コードが正しく接続されているにも関わらずブロワーが動かない場合は、ブレーカーのチェックを行います。
ブレーカーに問題がなければ、周囲の電源や他の電化製品の動作を確認し、停電の有無を確かめましょう。
問題が解決しない時は専門家に相談し、新規交換や修理を検討してください。
ブロワーが動いていない場合
電源コードがしっかりとコンセントに差し込まれているかを確認します。コードが抜けている場合は再度接続してください。
空気が弱い、空気が漏れている場合
シューシューと空気が漏れているような音がする場合、吐出口に接続されている「ゴムホースや内部部品であるビルトインチューブの劣化」が原因と考えられます。
新しいゴムホースやビルトインチューブに交換することで空気の漏れを防げます。ゴムホース、ビルトインチューブの詳細は以下の記事で解説しています。
ブロワーの選び方と購入方法!
ブロワーを選ぶ際、最も重要な点は「風量」の確認です。風量はブロワーの本体ラベルや取扱説明書に記載されています。
浄化槽の型式に合った適切な風量のブロワーを選ぶ必要があります。風量が不足すると浄化槽の処理が不十分になり、ニオイや水質の悪化を引き起こします。
ブロワーには「一口」と「二口」のタイプがあります。自宅の浄化槽の型式に合わせて選ぶことが重要です。
二口タイプは散気と逆洗の役割があり、メーカーによって配置が異なるため、同じ配置のタイプを選ぶ必要があります。
ブロワーはホームセンターやAmazon、楽天などのネット通販でも購入できます。
ブロワー交換方法【3ステップ】
作業開始前にはブロワーの電源コードをコンセントから抜くことが安全対策として重要です。コードを外す際はコードではなくプラグを持って行いましょう。
屋外で使用されるブロワーのコンセントには、誤って抜けることを防ぐためロック機能が備わっていることがあります。プラグをしっかり握り、左に半回転させることでロックを解除できます。
Step2:古いブロワーのゴムチューブを確認
古いブロワーからゴムチューブを取り外す際は、止めクリップを手で挟んで外します。
ゴムホースは密着しているため、手で取り外すのが難しいことがあります。その場合はプライヤーなどの工具を使用してゴムホースを掴むと取り外しやすくなります。
さらに詳しい手順を知りたい場合は、この手順を解説する動画を参照してください。
Step3:ゴムチューブを接続し電源を入れる
新しいブロワーを設置する際は、ゴムチューブを配管に接続します。ゴムチューブがしっかりと接続できたら、次に電源を接続して作業を終了します。
一般家庭用のブロワーは約4〜6キログラム程度の重さがあるため、設置中に落下させないよう注意が必要です。
修理か交換に迷ったらプロに相談!
ブロワーに故障が疑われる場合、内部構造の複雑さから原因を特定し修理を行うのは難しいです。
故障の原因や修理方法に自信がない場合は、専門知識を持つ管理会社に相談しましょう。管理会社に依頼することで、安全かつ確実に問題を解決することが可能です。
ブロワーの処分方法
ブロワーを購入した店舗やインターネットショップでは、故障したものを無料回収していることがあります。しかし、サービスを利用する際にはいくつか条件が存在する場合が多いです。
例えば、多くのホームセンターや大型電器店では、購入した店舗でのみ回収が有効である場合があります。また、故障品を直接持参する必要がある場合もあります。
スマートなゴミ処分方法
ブロワーは小型家電に分類されますが、回収方法は自治体によって異なる場合があります。地域のリサイクルセンターに連絡し処分方法を確認すると良いでしょう。
廃棄物の処理方法や費用は地域ごとに違うため、お住まいの地域の役所で相談することをおすすめします。
手間いらず!交換依頼した業者に引き取ってもらおう
ブロワーの交換を浄化槽管理業者に依頼する際、作業完了後に古いブロワーを引き取ってもらう方法は非常に便利です。
古いブロワーの適切な処分を管理業者が担ってくれるため、安心して任せることができます。
まとめ
浄化槽は日常生活において重要な役割を果たしており、正常な運用にはブロワーの動作が不可欠です。
- ブロワーは浄化槽にとって心臓部分
- 故障すると異音や異臭が警告のサイン
- ブロワーの交換、DIY可能、不安な場合は管理会社に相談する
- 古いブロワーは無料引き取りサービスを使う
定期的にブロワーの動作を確認することは、浄化槽の安定した運用に必要です。確認作業により早期に問題を発見し、修理を行うことができます。