メンテナンス・点検

【セキスイSGC型】浄化槽の特徴と管理ポイント|詰まり・ガス抜き作業解説!

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この記事では、以下の内容について解説します。

  • セキスイSGC型の処理方式
  • セキスイSGC型の総容量
  • ブロワーの風量
  • 日常点検や清掃などの管理ポイント
  • 詰まりが発生した場合の対処法

古い浄化槽やメーカー情報はネット上に少なく、管理方法がわからない方も多くいます。

この記事ではセキスイSGC型浄化槽の構造や特徴、管理法について解説します。記事を読めば、浄化槽の仕組みや管理ポイントが理解できます。処理能力は以下のとおりです。

処理能力
処理対象人員5人
日平均汚水量1.0㎥
放水BOD20mg/L以下
BOD除去率90%以上

» BODについて

セキスイSGC型の処理方式とは?嫌気濾床+生物ろ過の特徴

セキスイSGC型の処理構造について、以下で解説します。

嫌気濾床と生物濾過を組み合わせた仕組み

処理方式は「嫌気濾床と生物濾過を組み合わせた方式」です。

日立KGF-2型と同様の機能を持つOEM製品です。

最初に汚水は嫌気濾床槽に流入します。槽内に設置された「ろ材」を通過し、固形物と液体に分離します。

生物ろ過の仕組みと微生物の働き

生物ろ過は、微生物の働きを利用して汚水を浄化する方法です。スポンジ担体やプラスチック製、セラミック製の担体は、微生物が付着して増殖しやすく、処理効率を高めます。担体に付着した微生物が、汚水中の有機物を分解し、水をきれいにします。

» 担体・ろ材の種類

嫌気性微生物の特徴|酸素を使わず汚水を処理する

嫌気性微生物の特徴は、以下のとおりです。

  • 酸素を使わず有機物を分解する
  • 嫌気濾床槽内で有機物を処理する
  • 分解時にメタンガスや硫化水素を生成する

好気性微生物の特徴

好気性微生物の特徴は以下のとおりです。

  • 酸素を使って有機物を分解し二酸化炭素や水に変える
  • 生物濾過槽内で有機物を浄化する

生物ろ過槽には、汚れの蓄積に対応するため逆洗管が設置されています。設定された時間になると自動で弁が切り替わり、汚れを剥がす逆洗が開始されます。

» 2口ブロワーの仕組み

セキスイSGC型の槽容量一覧|人槽ごとのフローと構造

セキスイSGC型の槽容量一覧とフローについて、以下で解説します。

5人槽モデルの容量詳細と処理フロー

セキスイSGC型5人槽槽容量(㎥)
嫌気ろ床槽第1室1.035
嫌気ろ床第2室0.517
生物ろ過槽0.400
処理水槽0.139
消毒槽0.021
放流

合計2.112㎥となります。

6人槽〜10人槽までの総容量まとめ

6人槽以上の総容量は、以下のとおりです。

人槽総容量(㎥)
6人槽2.471
7人槽2.870
8人槽3.488
10人槽4.293

セキスイSGC型のブロワーの仕様と風量

セキスイSGC型のブロワー仕様と風量について、以下で解説します。

ブロワーの風量低下と交換時の注意点

セキスイSGC型には、風量80ℓの2口ブロワーが採用されています。初期モデルではMB-80W型が標準でした。MB-80W型は現在廃盤となっています。

ブロワーの風量が弱くなったり、故障した場合は、新しいモデルへの交換をおすすめします。最新型は省エネ仕様で、電気代の節約と環境負荷の軽減に効果があります。

» おすすめの2口ブロワー

セキスイSGC型の点検・清掃ガイド

ろ材内にメタンガスやアンモニア性ガスが蓄積すると、上昇しようとするガスの圧力でろ材が押し上げられます。ガス抜きを怠ると、ろ材を支える板が破損したり、ろ材が槽内に落下する恐れがあります。

ガス抜き作業の手順は、以下の動画で確認してください。

生物ろ過槽の詰まり対策と担体交換のタイミング

担体

生物ろ過槽で使用されるスポンジ担体は、逆洗によって汚れを取り除きます。ただし、汚れは完全に除去できず、長期間の使用で担体が劣化し、水の流れが悪くなります。

逆洗や詰まりの除去後も水位が正常に戻らない場合は、担体の交換をしましょう。

» KGF型担体入れ替え工事について

担体の入れ替え動画は、以下を参考にしてください。

まとめ|セキスイSGC型の処理方式と管理ポイント

セキスイSGC型浄化槽は、嫌気ろ床と生物ろ過の二つの処理方式を組み合わせた構造です。性能を安定して維持するには、定期的なガス抜きが重要です。

槽内に蓄積したガスを放出すると、ろ材の損傷を防げます。生物ろ過槽では、スポンジ担体の詰まりが処理効率を下げる原因になります。

逆洗で改善しない場合は、担体の交換が効果的です。

» 担体・ろ材の種類

ABOUT ME
いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
わたしは浄化槽業界に10年以上携わる現役の浄化槽管理士です。「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」をコンセプトに、YouTubeやSNSを通じて現場で得た気づきや詰まり解消法、ブロワーの修理法について発信しています。 浄化槽は下水道が整備されていない地域で主に活躍するインフラ設備です。微生物の働きによって汚水を浄化する仕組みで、適切な維持管理が不可欠です。維持管理には浄化槽管理士、清掃員、検査員、そして浄化槽所有者の協力が必要です。浄化槽の役割や正しい使い方を伝える活動を行っています。
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