浄化槽基礎知識

浄化槽に詰まりにくい紙の選び方|トイレットペーパーとティッシュの違い!

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浄化槽を使用していて、トイレの詰まりやニオイで悩んだことはありませんか?普段使用しているペーパーの種類によっては故障を招き、高額な修理費や生活への支障がでます。

この記事ではトイレットペーパーの選び方や正しい使用方法、トラブルへの対処法を解説します。適切なペーパーを選び正しく使えば、浄化槽の不調を防ぎ余計な出費を抑えられます。

浄化槽を快適に長く使うための知識と習慣を身に付けましょう。

浄化槽にやさしいトイレットペーパーの選び方

浄化槽にやさしいトイレットペーパーの選び方について、以下の内容を解説します。

  • パルプ素材かを確認する
  • シングルとダブルの構造や特徴の違いを把握する

パルプ素材かを確認する

トイレットペーパーを選ぶ際は、原材料が「パルプ100%」であるかを確認してください。安心して使えるのは「パルプ100%」や「ピュアパルプ100%タイプ」です。

パルプは木材や竹などの植物繊維から作られ、自然素材のため環境にやさしく、柔らかさと強度にも優れています。

シングルとダブルの構造や特徴を把握する

トイレットペーパーには、1枚重ねの「シングル」と2枚重ねの「ダブル」があります。シングルは水に溶けやすく、浄化槽への負担が少ないのが特長です。

ダブルは使用量を抑えられるため、流す紙の量を減らせます。家庭の使い方に合ったタイプを選びましょう。

分解しにくいペーパーが浄化槽に与える影響

分解しにくいペーパーが浄化槽に与える影響

分解しにくいペーパーが浄化槽に与える影響は、以下のとおりです。

  • 「ろ材」が詰まりを引き起こす
  • 満水になり排水の流れが悪くなる
  • 修理・清掃コストが膨らむ

「ろ材」が詰まりを引き起こす

浄化槽の内部には、微生物が汚水を分解するための「ろ材」が設置されています。

水に溶けないティッシュペーパーやウエットティッシュを流すと、ろ材に絡まり詰まりの原因になります。

» ろ材について

満水になり排水の流れが悪くなる

ろ材の詰まりが進行すると、浄化槽内の水位が上がり、排水の流れが悪くなります。悪化すると、トイレの逆流や臭いの発生など、日常生活に支障をきたすトラブルにつながります。

修理・清掃コストが膨らむ

浄化槽の詰まりを解消するには、専門業者による清掃や修理が必要で、数万円の費用がかかります。日常的に適切なトイレットペーパーを使えば、不要な出費を防げます。

» 浄化槽の修理法や費用について

トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いと実験

トイレットペーパーとティッシュペーパーの違いと特徴を以下で解説します。

トイレットペーパーの特徴

トイレットペーパーの特徴は以下のとおりです。

  • トイレ専用のペーパー製品
  • 水に流せる柔らかく分解しやすい素材を使用
  • ロール状で専用ホルダーに装着可能
  • トイレ後の衛生と清潔を保つ目的

トイレットペーパーは水に溶けやすいように設計されており、短い繊維で構成されています。

ティッシュペーパーの特徴

ティッシュペーパーは多目的に使える一方で、水に溶けにくいという特徴があります。主な特徴は以下のとおりです。

  • 鼻をかむ・顔を拭くなど多用途に使える
  • ティッシュボックスや携帯用サイズで販売
  • 水に溶けにくく使い捨てを前提とした設計
  • 繊維が長く、分解に時間がかかる

溶解実験による結果

トイレットペーパーとティッシュペーパーを水に浸すと、トイレットペーパーは数秒で溶け始めますが、ティッシュペーパーは形を保ったまま残ります。興味のある方は、以下の動画や画像をご確認ください。

以下の写真をご覧ください。左から順にトイレットペーパー・ティッシュペーパー・ウェットティッシュが並んでいます。

ダブルのトイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウェットティッシュが並んでいます

水に入れて1時間後の状態。

撹拌すると、左側のトイレットペーパーだけ分解できました。

24時間後。再度撹拌しましたが、トイレットペーパー以外は分解できませんでした。

正しいトイレの使い方

正しいトイレの使い方について、以下の内容を解説します。

  • 紙の使用量目安と流すタイミング
  • 流せる表示付き製品の注意点
  • 節水トイレでのレバー(小・大)使い分け

紙の使用量目安と流すタイミング

一度に大量のトイレットペーパーを流すと、詰まりの原因となります。適量を使用し、必要に応じて数回に分けて流すようにしましょう。

» トイレの正しい使用方法

流せる表示付き製品の注意点

「流せる」と表示されている製品でも、水に溶けるわけではありません。浄化槽を使用している場合は、流せると書かれていても使用しないでください。「流せる」と「溶ける」とは異なり、浄化槽内で詰まりの原因になります。

節水トイレでのレバー(小・大)使い分け

トイレではレバーの「小」と「大」を適切に使い分けることが大切です。小便の場合は「小」でも問題ありません。

大便やトイレットペーパーを流すときは、必ず「大」で流してください。「小」ばかり使うと水量が不足し、詰まりの原因になります。

詰まりを防ぐためにも、状況に応じた使い分けを心がけましょう。

トラブルシューティングとメンテナンスについて

トラブルシューティングとメンテナンスについて、以下の内容を解説します。

  • 詰まりの初期症状と応急対応
  • 保守点検・清掃のスケジュール
  • 専門業者に相談するタイミング

詰まりの初期症状と応急対応

詰まりの初期症状としてトイレの流れが悪くなったり、ゴポゴポといった異音が発生したりします。異変に気付いたら早めに専門業者へ相談し、適切な対応を取りましょう。

» トイレが詰まる理由はこちら

保守点検・清掃のスケジュール

浄化槽の点検や清掃は、自治体の基準に従って実施することが義務付けられています。一般的には、年3回以上の点検と年1回以上の清掃が必要です。

合併処理浄化槽では薬剤の減りが早くなるため、年4回以上の点検が求められます。

» 浄化槽の基礎知識

専門業者に相談するタイミング

専門業者に相談するタイミングは、以下のとおりです。

  • トイレの排水がスムーズに流れない
  • トイレ周辺に悪臭が発生している
  • ブロワーから異常な音がする

上記の症状が見られた場合は、速やかに専門業者に相談しましょう。

【よくある質問】ペットの排泄物を浄化槽に流してはいけない理由

ペットの排泄物を浄化槽に流してはいけない理由について、以下の内容を解説します。

  • 浄化槽は家庭の生活排水を処理する設備
  • 猫砂や動物の毛は浄化槽の処理能力を下げる
  • ペットの排泄物は自治体のルールに従い分別して処分する

浄化槽は人間の生活排水を処理する設備

浄化槽は生活排水を処理する設備で「人槽」として設計されています。

ペットの糞尿は人の排泄物よりも汚れが濃く、微生物による分解処理が追いつかなくなります。

ペットの排泄物は浄化槽に流さず、適切に処理しましょう。

猫砂や動物の毛は浄化槽の処理能力を下げる

ペットの排泄物はトイレに流さず、可燃ごみとして処理してください。特に猫砂は水分を吸収して膨らみ、配管の詰まりや浄化槽の機能低下を引き起こします。

動物の毛は配管やろ材を詰まらせる原因になるため、トイレには流さないでください。処理能力を超えると、水質悪化や臭気の発生につながります。

ペットの排泄物は自治体のルールに従い分別して処分する

ペットの排泄物は、各自治体のルールに従い可燃ごみとして処分しましょう。新聞紙やビニール袋で包み、密封すれば臭い漏れを防げます。

ペット用トイレの砂は「可燃ごみ」または「不燃ごみ」に分かれます。処分前に自治体の分別ルールを確認してください。

» 猫砂の正しい処分法

まとめ

浄化槽を快適に長く使うには、日常のトイレットペーパー選びが大切です。適した紙を選び、正しく使えば、浄化槽の寿命を延ばせます。今日からできることなので、家庭のトイレ環境を見直してみましょう。

» 浄化槽にやさしい商品10選

ABOUT ME
いなかの浄化槽
いなかの浄化槽
わたしは浄化槽業界に10年以上携わる、現役の浄化槽管理士です。「浄化槽をもっと身近に、浄化槽の仕事が好きになる」がコンセプトです。実体験をもとにYouTubeやSNSを通じて、現場で得た気づきや詰まり解消法、ブロワーの修理法を発信しています。 浄化槽は、主に下水道が整備されていない地域で活躍する重要なインフラ設備です。微生物の働きを利用して汚水を浄化する仕組みで、適切な維持管理が欠かせません。 維持管理には浄化槽管理士や清掃員、検査員、そして浄化槽所有者の協力が必要です。多くの方に向けて、浄化槽の役割や正しい使い方を伝える活動を行っています。
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