この記事では以下の悩みを解決できます。
- ブロワーの役割と重要性
- ブロワーが故障する前兆とは?
- 故障したブロワーは自分で交換できる?
- ブロワーの処分法
浄化槽は下水道が整備されていない地域で使われる生活排水処理設備です。中でも「ブロワー」は、浄化槽内の微生物に酸素を送る装置で、処理機能を保つために必須です。
ブロワーが故障すると酸素供給が止まり、処理能力が低下します。臭気の発生や排水の不具合につながるため、異常を感じたら早めに修理や交換を検討してください。
この記事ではブロワーの役割と重要性を解説します。あわせて、浄化槽を安定的に管理する方法も紹介します。
浄化槽の心臓部|ブロワーの仕組みと機能

ブロワーは浄化槽内の微生物に酸素を送る装置です。微生物の働きを支え、浄化機能を安定させる役割があります。
ブロワーが停止すると酸素供給が途絶え、処理性能が低下します。浄化槽の機能を維持するには、ブロワーの定期的なメンテナンスが必要です。
ブロワーの寿命と主な故障原因
ブロワーの寿命は使用環境により異なりますが、目安は約5~10年です。ブロワーは消耗品のため、経年劣化によっていずれ故障します。
ブロワーの主な故障原因は、内部の熱や経年劣化の影響を受けやすいダイヤフラムです。
ブロワーで保つ浄化槽の安定運転

ブロワーが送る空気は、槽内の好気性微生物に必要な酸素です。空気の供給が止まると微生物が死滅し、処理機能が失われます。ブロワーが故障すると臭気が発生し、水質も悪化します。
点検時にチェックすべきブロワーの確認項目
保守点検時にブロワーの機能を確認し、清掃を行います。点検する項目は以下のとおりです。
- フィルターに目詰まりがないか確認する
- ブロワーに異物が触れていないか確認する
- カバーが正しい向きで取り付けられているか確認する
- タイマー付き機種は試運転で動作を確認する
- 適切な風量が出ているか確認する
- ブロワーに異音や過度な振動がないか確認する
- ブロワーが水平に設置されているか確認する
- 配管継ぎ手から空気漏れがないか確認する
- ダイヤフラムに亀裂や劣化がないか確認する
- 電源コードや配線に損傷や断線がないか確認する
ブロワー故障の前兆と初期症状

臭気や異音が発生する場合、ブロワーの故障が原因と考えられます。ブロワーの故障を見逃さないためのポイントを、以下で解説します。
- ブロワーから異音がする場合は異常を疑う
- 無音状態のブロワーは故障の可能性が高い
- 共鳴を防ぐため設置場所を地面から離す
- ブロワーが故障した状態で浄化槽を使用しない
ブロワーから異音がする場合は異常を疑う
ブロワーは運転中にかすかな音を発します。無音や普段と異なる音がする場合は、故障の可能性があります。多くの場合は部品交換で対応でき、新品への交換より費用を抑えられます。
無音状態のブロワーは故障の可能性が高い
ブロワーが稼働している場合は音がします。無音の場合は故障の可能性があります。音がしないときは、まず電源コードが正しく接続されているか確認してください。電源コードが外れていると、ブロワーは作動しません。
共鳴を防ぐため設置場所を地面から離す

共鳴による騒音問題を解消するために、以下の手順を試しましょう。
- ブロワー周辺の落ち葉やゴミを取り除き清掃する
- ブロワー下に防音マットを敷いて振動を抑える
- 電源コードがブロワーに接触しないよう整理する
ブロワーにゴム足がない場合や、設置場所が不適切だと地面と共鳴し、騒音が発生します。ブロワーの音が気になるときは、設置位置を見直すと軽減できます。
ブロワーが故障した状態で浄化槽を使用しない
ブロワーが故障すると槽内の微生物が死滅し、悪臭の原因になります。処理機能が低下すると排水が河川や海を汚染し、環境へ悪影響を及ぼします。
故障したまま浄化槽を使用し続けることは「浄化槽法」違反となり、罰則の対象です。
浄化槽管理者に関わる違反行為と罰則は以下のとおりです。
保守点検や清掃が定められた基準に従って行われていない場合、都道府県知事から改善措置や使用停止の命令が出されたにもかかわらず、命令に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
引用元:環境省
ブロワー故障の前兆を見逃すな|異常のサインと対処法

ブロワーに故障の兆候がある場合は、早急な対処が必要です。状況に応じた対処法は以下のとおりです。
- ブロワーが異常に熱くなっている場合
- 電源を切ってブロワーを停止します。触れる際は高温に注意し、やけどを防ぐため手袋を着用してください。
- ブロワーが全く動かない場合
- 電源コードが確実にコンセントに差し込まれているか確認してください。電気が通っているか、近くで停電作業が行われていないかを確認します。電気が来ているのに動かない場合は故障しているため、管理業者に修理や交換を依頼してください。
空気が弱い、空気が漏れている場合
ブロワーからシューシューという音が聞こえる場合、吐出口のゴムホースや内部のビルトインチューブが劣化している可能性があります。新しい部品に交換すれば、空気漏れは解消できます。
地中に埋設された配管が破損しているケースもあるため、注意が必要です。破損箇所を調べるには、水で薄めた洗剤をかけると、空気が漏れている部分から泡が出るため、位置を特定できます。
浄化槽に最適なブロワーの選び方と購入方法

ブロワーを選ぶ際は、風量を確認することが重要です。風量は本体のラベルや取扱説明書に記載されており、浄化槽の型式に合った機種を選びます。
ブロワーには1口タイプと2口タイプがあり、浄化槽の仕様に応じて適切なタイプを選定しましょう。
2口タイプのブロワーは、散気と逆洗の機能を分担しています。メーカーによって口の配置が異なるため、既存の配管に合うタイプを選ぶことが重要です。
初心者でも安心!ブロワー交換手順

ブロワーを交換する前に、必ず電源コードを抜いてください。コードを引っ張らず、プラグ部分を持って外しましょう。
屋外用コンセントには抜け防止のロック機能があり、プラグを左に半回転させるとロックを解除できます。ブロワーは4~6キログラムと重いため、落下に注意が必要です。
古いブロワーのゴムチューブを確認
古いブロワーからゴムチューブを外す際は、止めクリップを手で挟んで取り外します。ゴムホースは配管に密着しているため、手では外れにくいことがあります。
手では外しにくい場合は、プライヤーなどの工具でゴムホースを掴むと、取り外しが簡単です。
ゴムチューブを接続し電源を入れる
新しいブロワーを設置する際は、ゴムチューブを配管にしっかり接続します。接続後に電源を差し込み、正常に作動することを確認すれば作業完了です。
修理か交換に迷ったらプロに相談する
ブロワーが故障した際に修理をしようとする方もいます。ブロワーの内部は構造が複雑なため、原因の特定や修理は一般の方には難しいです。専門知識を持つ管理会社に相談することで、安全かつ確実に問題を解決できます。
ブロワーの処分方法|回収・引き取り手順

ブロワーを処分する際は、購入した店舗やネットショップで故障品を無料回収しています。ホームセンターや大型電器店では、購入店舗でのみ回収に対応している場合が多く、持ち込みが必要です。事前にブロワーの回収方法や条件を確認しておきましょう。
自治体のリサイクルセンターで処分する方法
ブロワーは小型家電に分類されますが、回収方法は自治体によって異なります。地域のリサイクルセンターに問い合わせて、適切な処分方法を確認してください。
処理方法や回収費用にも地域差があるため、詳しくはお住まいの役所へ相談すると安心です。
管理業者にブロワーの処分を依頼するメリット
ブロワーを交換する際は、古いブロワーを管理業者に引き取ってもらうと便利です。処分まで対応してもらえるため、手間がかからず安心して任せられます。
まとめ

浄化槽の機能を維持するには、ブロワーの定期的なメンテナンスが重要です。故障を放置すると処理性能が低下し、臭気の発生や環境への悪影響を与えます。
ブロワーは定期的な点検や清掃により寿命を延ばせます。浄化槽への負担を避けるためにも、異常が見られた際は速やかに修理や交換を行いましょう。