浄化槽の維持管理とは?点検・清掃・法定検査の基本を解説!
浄化槽は下水道が整備されていない地域で生活排水を処理する設備です。維持管理は法律で決められた義務です。
定期的な点検と清掃が必要です。
この記事では浄化槽の利用者やこれから導入を考えている方に向けて、維持管理の基本と正しい使い方を解説します。
管理をしないと臭気や水質汚染の原因になるので注意してください。浄化槽を正しく使えば、環境を守りながら快適に暮らせます。
以下の動画では浄化槽の仕組みや維持管理を紹介しています。
浄化槽の仕組みと役割

この章では、次の3つを解説します。
- 汚水処理設備としての浄化槽の役割と使い方
- 生活排水を浄化し環境を守る役割
- 浄化槽の普及状況
汚水処理設備としての浄化槽の役割と使い方
浄化槽は下水道がなく、今後も整備される予定のない地域で多く使われている汚水処理設備です。
家庭や施設から出る生活排水をきれいにして、環境の汚れを防ぎます。
浄化槽の仕組みは人間の体によく似ています。人間は口に入れるものが健康に大きく関わります。浄化槽も流し込んだものの影響を直接受けます。例えば殺菌力の強い液体歯磨きは口の中の悪い菌だけでなく良い菌まで殺してしまいます。
浄化槽の中でも同じことが起こります。殺菌力の強い洗剤を使いすぎると汚水をきれいにする微生物まで死んでしまいます。
浄化槽のはたらきを保つために微生物に悪いものは流さないでください。代表的なものは次の4つです。
- 揚げ物などで出る油
- 決められた量を超える洗剤
- 水に溶けないティッシュやおもちゃなどの異物
- 食べ残しや料理で出る野菜くず
生活排水を浄化し環境を守る役割
浄化槽はトイレや台所、お風呂などの生活排水を処理します。
処理していない排水が川や海に流れると川や海の生き物に大きな影響が出ます。
汚水をきれいにして自然に返すことは今の暮らしだけでなく未来の暮らしを守るためにも大切です。
川や海が汚れると魚が減ったり悪臭が出たり飲み水が足りなくなったりします。
浄化槽の普及状況
浄化槽を使っている人は全国の約10%と少なく、あまり知られていません。北海道や東北、四国地方では多く使われています。
下水道がない地域では浄化槽を設置する必要があります。補助制度を使えば設置費用の負担を軽くできます。
以下の動画では実際の浄化槽を紹介しています。
浄化槽の種類と処理性能

浄化槽には以下の2種類があります。
- 合併処理浄化槽
- 単独処理浄化槽
合併処理浄化槽|生活排水をすべて処理
合併処理浄化槽は家庭からの生活排水をすべて処理できます。BOD除去率が90%以上と高く、環境にやさしい設備です。
BOD(生物化学的酸素要求量)
Biochemical Oxygen Demand(BOD)は水の汚れの程度を表す数値です。水の中の有機物を微生物が分解するときに使う酸素の量を測ります。BODの値が高いほど有機物が多く水が汚れています。
BODの測定では水を20℃で5日間置きます。その間に水にとけている酸素がどれだけ使われたかを測ります。
単独処理浄化槽|トイレ排水のみ処理

単独処理浄化槽はトイレの排水だけを処理する設備です。
台所やお風呂などの生活排水はそのまま流れるので環境への負担が大きくなります。
今は新しく設置できません。
環境を守るために合併処理浄化槽への切り替えがすすめられています。
ブロワーの役割と重要性

ブロワーは浄化槽の「心臓部」ともいえる装置です。微生物に酸素を送る役割があります。
以下でブロワーの役割と故障したときの影響を解説します。
- ブロワーの役割
- ブロワーが止まったときのリスク
ブロワーの役割
ブロワーは酸素を好む微生物に空気を送る装置です。微生物は酸素を使って生活排水の中の汚れを分解します。
ブロワーが止まったときのリスク
ブロワーが止まると酸素が足りなくなります。微生物が死んで処理する力が落ちます。臭気が出て水質も悪くなります。
きれいになっていない汚水がそのまま流れ出てしまいます。ブロワーは定期的に点検しましょう。
以下の動画ではブロワーが故障したときの槽の中の変化や影響を解説しています。
浄化槽の維持管理に必要な3つの作業

きちんと維持管理をすれば排水をきれいにできます。環境の汚れも防げます。維持管理には次の3つの作業があります。
- 保守点検
- 浄化槽清掃
- 法定検査
保守点検|運転状況の確認
保守点検では浄化槽の運転状況や異常を確かめます。点検は国家資格を持つ浄化槽管理士が行います。
浄化槽の型式に合わせて点検します。消毒剤の補充やエアーの調整、修理なども行います。
浄化槽清掃|汚泥やスカムの引き抜き

浄化槽清掃は槽の中にたまった汚泥やスカム(水面に浮いたかたまり)をバキュームカーで引き抜く作業です。
清掃をしないと処理能力が落ち、臭気や環境汚染、故障の原因にもなります。
きれいになっていない汚水が外に流れ出ると環境が汚れ、近所迷惑になることも。
定期的な清掃を行えば浄化槽は長く使えます。
法定検査|機能と管理状況の確認
法定検査は浄化槽の機能や管理状況を確かめるために行う検査です。
指定検査員が第三者の立場で検査します。定期的に検査を受けることは法律で決められた義務です。
以下の動画でも解説しています。
浄化槽管理士の役割と資格

浄化槽管理士は国家資格を持つ専門家です。浄化槽の保守点検を行い、浄化槽のはたらきを保ちます。
浄化槽管理士の仕事内容と重要性を以下で解説します。
浄化槽管理士の仕事内容
浄化槽管理士は点検のときに消毒剤を補充します。ブロワーの動きや水質も確かめます。
詰まりや異常があれば修理や調整をして浄化槽を正常に動かし続けます。
浄化槽管理士の重要性
浄化槽管理士が定期的に点検や修理をすれば浄化槽は長持ちします。環境への負担も減らせます。
環境にやさしい洗剤や正しい使い方を利用者に伝えることも管理士の大切な仕事です。
浄化槽清掃|バキュームカーと業者の選び方

この章では以下の内容を解説します。
- 浄化槽清掃にはバキュームカーを使用
- バキュームカーの操作と技術
- 信頼できる業者の選び方
浄化槽清掃にはバキュームカーを使用
浄化槽の清掃は年に1回以上行うことが法律で決められています。
単独処理浄化槽の中でも「全ばっ気型」というタイプは槽が小さいので6か月に1回以上の清掃が必要です。
浄化槽清掃ではバキュームカーで槽の中の汚泥を吸い取り処理場まで運びます。
清掃のときはふだんの点検では見えにくい部分の状態も確かめられます。異常を早く見つけて直すためにも定期的な清掃が大切です。
バキュームカーの操作と技術
バキュームカーの操作は簡単そうに見えますが専門の知識と技術が必要です。
汚泥の状態やたまり具合を見きわめます。浄化槽の構造もよく知っていなければなりません。
汚泥がかたまると吸い取りにくくなります。槽の中の装置や配管をこわさないようにホースを入れる位置や角度にも気をつけます。
信頼できる業者の選び方
業者選びは浄化槽の寿命に関わる大切なポイントです。料金の安さだけで決めず次の点を確かめましょう。
- 許可を受けた清掃業者かどうか
- 清掃後に作業内容を説明してくれるか
- 地域での実績や評判
信頼できる業者を選べばトラブルを防げます。長い目で見て費用もおさえられます。
法定検査の詳細|7条検査と11条検査

法定検査には「7条検査」と「11条検査」の2種類があります。
どちらも浄化槽がきちんと管理されているかを確かめるための検査です。それぞれの違いを見ていきましょう。
- 1度だけ行う7条検査
- 毎年受ける11条検査
1度だけ行う7条検査
7条検査は浄化槽を使い始めて3か月たってから8か月以内に1度だけ受けます。
排水の流れやブロワー、配管に問題がないかを確かめます。浄化槽が正しくはたらいているかを詳しく調べます。
毎年受ける11条検査
11条検査は年1回行う定期検査です。指定検査員が保守点検や清掃の状況を確かめます。浄化槽の機能が正常に保たれているかも調べます。
見のがしやすい問題を早く見つけられます。浄化槽を安定して使い続けるのに役立ちます。
浄化槽の維持管理にかかる費用

維持管理には費用がかかります。主な費用は以下のとおりです。
- 保守点検費用
- 浄化槽の清掃費用
- 法定検査の費用
- ブロワーや放流ポンプの運転費用
保守点検費用
保守点検はふつう3か月に1回以上行います。
費用は契約内容や人槽、地域によって異なります。1回あたり数千円〜1万円程度が一般的です。
浄化槽の清掃費用
5人槽(一般的な家庭用サイズ)の清掃費用は年間2〜4万円ほどが目安です。
費用は地域や業者、使い方、汚泥のたまり具合によって変わります。
法定検査の費用
法定検査を受けることは浄化槽管理者(持ち主)の義務です。設置したあとに受ける7条検査と毎年受ける11条検査があります。
費用の目安は7条検査が約1万円、11条検査が約6,000円です(地域によって異なります)。
ブロワーと放流ポンプの運転費用
ブロワーの運転費用は消費電力と使用時間によって変わります。
月あたりの目安は数百円〜1,000円程度です。年間では数千円〜1万円ほどです。
放流ポンプの運転費用も動く時間と消費電力によって変わります。月あたりの目安は数百円程度です。
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まとめ|浄化槽の維持管理で環境を守ろう

浄化槽の維持管理は生活環境を守るために欠かせません。
保守点検・清掃・法定検査をきちんと行えば浄化槽のはたらきを保てます。環境への負担もおさえられます。
この記事ではブロワーの役割や浄化槽管理士の仕事も紹介しました。バキュームカーでの清掃と法定検査の種類、費用の目安も説明しました。
浄化槽はふだん目に入らないので管理業者に定期的に見てもらうことが大切です。






